再会

再会・シーン7『決断』



 この国のとある地方都市での出来事。
 人の一生は、いくつもの決断の繰り返しである。
その結果は、本人次第である。不思議なことに、傍目には不幸に映っても、本人が選ぶ事もある。
だから人はいつになっても分からない。
暗闇の中を三人の男女が走っていた。
折からの降り注ぐ雨に濡れた三人は、漆黒のアウディに駆け込んだ。
ノイジーな始動音が重厚感のあるエンジン音に切り替わると、車は細い路地を抜け、大通りを進んだ。
「あぁもう、びしょ濡れ。そうだ貴方たち、家で服を乾かしていくと良いわ」
ハンドルを握る恭子がバックミラー越しに後部座席の二人に話しかける。
「助かるよ」
短くユウが答えると、
「あの、ありがとうございます。でも、私は結構です」
隣に座るマリは遠慮がちにそう答えた。
「角田さんも遠慮することは無いのよ。風邪ひくと悪いし寄っていきなさいよ」
恭子が半ば強引に誘っているうちに、車はなだらかな坂を登って行く。
 そうこうしている間に、車は小高い丘の上に建つ四階建ての社宅に着き、ユウとマリの二人は、恭子の家に招かれた。
「角田さんからシャワーお先にどうぞ。お風呂も入れてあるから、温まると良いわ」
恭子はマリの手を取り浴室へと案内する。
帰宅するタイミングを逃したマリは、恭子の好意を受け入れる事になった。
脱いだ衣服を畳み浴室に入る。そこはマリの思っていた印象と少し違っていた。
保温性の高い石を敷いた広い床に、数人は入れそうなジャグジー、湯船にはバラの花びらが浮かんでいた。
マリは映画でしか見たことの無いような高級な作りに始めは戸惑いながらも、
シャワーの温もりを肌で感じていると、脱衣所の方から声がかかった。
「角田さん、バスタオル置いとくね。それと、衣服を乾かしておくわね」
恭子だった。マリは一瞬ビクッとなったが気を落ち着けて
「ありがとうございます」
と、声をかけた。すると急に浴室の戸が開かれた。
 マリが慌ててその肢体を隠そうとすると、
「あら、ごめんなさい。女同士だし驚く事は無いわよ。ジャグジーの説明を忘れてたから」
恭子が浴室に入って来た。その顔には悪戯な笑みが浮かんでいた。
 簡単な説明の後、マリに再び至福の時が戻る。
浮べられた花びらを掬いながら、贅沢な気分を味わい身も心も温まったマリは、浴室を後にした。
 濡れた体をバスタオルで拭きながら、マリは異変に気付いた。下着まで全てが無くなっていたのだ。
脱衣所の入口で何度も恭子を呼ぶが、返事は無かった。
仕方なくマリはバスタオル一枚で体を包み、おずおずとリビングへと向かった。
「あのぅ」
小さな声で呼びかけると、恭子が振り向いた。
「あら角田さんお風呂済んだの?面白いDVDを見てたの。あなたもこっちに着て見ようよ」
恭子はマリの手を引き、ソファーに座らせた。マリは恥ずかしさを隠すように俯いた。
 恭子はマリの背後に回りこむと、濡れたマリの黒髪を鷲掴みにし、正面を向かせた。
「面白いでしょ?このビデオ。否、懐かしいと言った方がいいのかなぁ?角田さん。じゃなくて、虫2号の椎名エリさん」
恭子の口端から嘲笑うかの様に笑みが零れる。
 エリは硬直したまま画面を直視すると、目の前には数年前の自身の姿が映し出されていた。
呆然と画面を直視しているエリの後ろで、誰かが部屋に入ってくる気配がした。
「ただいまお姉ちゃん。はい、これが今日の稼ぎ」
ブレザー姿の背の低い少女が、制服のポケットから札束を取り出し、姉に渡す。
恭子は札束を数え終わると
「今日は撥ねてないのね。いつもちゃんと渡すのよ。はい、これが香織の取り分」
恭子は、妹の香織に札束の一部を手渡した。
札を無造作にポケットに仕舞った香織がユウ達の存在に気付く。
「ユウ兄ちゃん?」
声をかけられたユウは、
「ん?香織ちゃん?大きくなったねぇ。一度言ってみたかったんだよなぁ」
と、照れ笑いをしながらお決まりの台詞を口にした。
「もぉーいつまでも子供じゃ無いんだからぁ」
と、香織は膨れてみせる。同時にエリを見た香織は、彼女の前に立つと、値踏みをするように見つめて
「こいつが、前に言っていた新しい虫?」
と、姉に尋ねた。
「まだ違うわ。本人に確認してないもの」
と、答えた。
「えー、虫に意思なんて必要無いわよ。こいつみたいにボコって服従させればいいのに」
そう言うと香織は手にしたリードをグィっと引っ張った。
リードの先には、ベビーフードを被り、オムツを履いた少女が貧相な胸を晒しながら四つん這いで俯いていた。
首から掛けられた涎掛けには、虫4号と、大きく書かれていた。
 エリは見覚えのある顔に小さな声でポツリと呟いた。
「森山さん?」
虫4号が首を上げると
「逃げて」
と、声に出さずに口を開いた。望まない再会も束の間、
「これは返してもらうわね」
恭子はエリが着けているバスタオルを剥ぎ取った。
「きゃっ」
短い悲鳴を上げたエリは、周囲に晒した肉体を、慌てて四肢をくねらせ隠そうとする。
「椎名さんには、選ばせてあげるわ。昔のお友達を見捨てて、素っ裸で帰るか?それとも、再び虫2号になるか?」
恭子はエリに決断を迫った。
「そうそう。忘れてたわ。虫に戻るのなら、これを忘れないでね」
恭子は、エリが入浴中に取り上げたびしょ濡れのパンティを、床に放り投げた。
 じっとりとした汗を体表に浮かべ、エリは葛藤していた。
四肢で隠しきれない叩きがいのある双臀を蹴飛ばされたえりは、思わず両手を突いて倒れこんだ。
はちきれんばかりに実った果実を晒したえりは、もう隠す事もなく、ゴクリと唾を飲み込んだ。
そして床に捨てられた自身の下着を拾うと、それを何の躊躇いもなく被っていた。
 こうしてエリの淫夢は再び幕が開き、ユウの退屈な人生は幕を下ろし、恭子は姦計を巡らす事となった。


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