どらごんさんの作品

性奴系図外伝(藤田浩二篇)(改定判)


第8章  花嫁と花奴



悟は結婚式の準備に忙しかった。
やはり会長秘書との結婚ということになれば、きちんと式を挙げなければならない。

知香とは数回デートしただけで、あわただしく婚約をした。
山野グループの会長室に慶蔵を訪ねて婚約報告をした悟と知香に対し、
慶蔵はお祝い金として1,000万円を送ろうと申し出てくれた。
それが何を意味していたのかは男女関係に疎い悟にも理解できた。
新居は知香が現在住んでいる瀟洒な100平方メートルほどの高級マンションになった。
元々は、慶蔵が所有していたマンションで、愛人である知香を住まわせていたのであるが、
悟も一緒に住むことになったのである。
確かに知香が慶蔵の愛人だったとはいえ、慶蔵の厚遇は悟にはありがたかった。
山野建設での出世もなかば約束されたようなものである。

「知香さん、ごめん遅れて」
悟はコートを脱ぎつつ、喫茶店に入ってきた。
「おそーい」
知香がふくれっ面をした。
悟と知香は結婚式の打ち合わせで、山野建設の近くの喫茶店で打ち合わせをしていた。
招待客リスト、引き出物の確認、料理の選定など、やらなければならないことが山ほどもある。
二人はテーブルの上に、パンフレットを広げながら、必要なことを話し合い、
その合間に恋人らしく様々な雑談をする。
知香はコーヒーを一口すすり、悟を見てつぶやくように言った。
「圭子って最近どうなったか知ってる?」
悟は圭子の名前を聞いて、少し動揺を示した。
忘れようとしていた名前である。
「あぁ、圭子さんのこと。別に。どうしてるのか知らないけど」
「赤ちゃんができたらしいよ」
「まさか…………」
知香が軽蔑したような表情で、続ける。
「息子の子供を妊娠したらしいよ」
悟はかつて山野邸で圭子と一郎との交尾ショーを鑑賞させられたことを思い出した。
「実の息子の子供を妊娠するなんて、なんてあさましいんでしょう」
「ああ……」
悟は圭子と一郎の絡み合いが脳裏に焼きついているのを振り払いながら、生返事を返した。

いよいよ結婚式の当日になった。
結婚式は教会で行い、披露宴は山野グループ傘下の高級ホテルで行うのである。
結婚式は親族と親しい友人のみが参列した。
悟は神父の前での誓いの言葉もどもってしまうほど相当緊張していたが、知香は雰囲気を楽しんでいた。
教会で結婚式を挙げた新郎新婦が披露宴会場に到着した。
会場に集まっていた数百人の男女は盛大な拍手で迎えた。
披露宴は山野グループの社婚といっていいかのようだった。
山野グループの社章をかたどったオブジェが置かれている。
金色の円の中に黒光りする山の字のマークである。
新郎新婦の立っているところの真後ろに置かれているのである。
新郎新婦の縁の人たちが次々とスピーチをしていく。
まず慶蔵が山野グループを代表して挨拶し、来賓の政治家がスピーチをする。
次に、新郎新婦の上司・同僚や友人らがスピーチをしていく。
浩二も悟の上司として挨拶をした。
出席者は圧倒的に知香の知り合いが多いが、知香の社交性と会長秘書という立場から言えば、
やむをえないことであろう。
スピーチをする知香の友人には大学時代の友人が多い。
悟は、優秀な成績にも関わらず、家計の事情で大学進学できなかったことをあらためて残念に思った。
もともと社交的ではない悟は早くこのさらし者のような披露宴が終わってくれないのかを考えていた。
ようやくスピーチの時間が終わり、自由歓談の時間となった。
「ああ、これで何とか過ごせそうだな」
安堵した悟はふと斜め後ろに立てかけてある巨大な山野グループの社章を振り返った。

「うん?」
社章が動いた気配がした。
「そんな馬鹿な」
近視の悟が目を凝らして見ると、なんと圭子の肉体が真っ黒に絵の具で塗りたくられていたのだ。
足をM字に開脚させられた上に縛られて固定されているので、遠目には「山」という字に見えなくもない。
圭子の美しいプロポーションが見事にオブジェとして機能していたので、なかなか気づかなかったのだ。
「ああ……」
これが社章の正体だったのか。
圭子の腹はすでにはっきりと妊娠しているのが分かるほどであった。
悟は圭子が一郎の子を身篭ったという話を改めて思い出した。

会場がざわめいてきた。
山野グループの社員たちも興味深そうに「社章」に近寄っていった。
「何だよ、これ、人間だよ」
「ほんとだ」
「あれ、この人、圭子さんだよ」
圭子を知っている旧藤川建設の社員が言った。


「ああ、ばれてしまった」
圭子は絶望的な気になった。
山野グループの社員たちが圭子の周りを取り囲んだ。
「へえ、こんなのつけられているんだね。噂では聞いてたけど」
知香の同僚である女子社員の一人が、圭子の股間に固く嵌められたリングを指で転がした。
「でも会長もすごいことやるね」
「ほんと。スケールが大きいと言うか、なんと言うか」
「でも、この人も元はお金持ちの奥様って聞いたけど」
「ほんとなのかなあ。それはないんじゃないのか」
「ほんとにみじめだよね。もう人間じゃないよね」

圭子はすっかりオブジェになりきっている。
そしてかつての藤川建設を征服したといっていい山野グループの社章に改造させられたのである。
旧藤川建設、いや山野建設の社員達も圭子の惨めな姿をじっくりと観察するために、集まってきていた。
誰も圭子を同情的な目で見る者はいない。むしろ軽蔑の表情である。
それにしてもかつては圭子を仰ぎ見ていたであろう山野建設の社員たちの変わりの身の早さはどうだ。
圭子は今や物言わぬ人形である。

「それにしても本当にうれしいよ」
側にやってきた浩二は、圭子を前にして言った。
「圭子さんがここまで堕ちるなんて、ホントにまあ」
浩二は圭子の黒光りする肌を撫でた。手に絵の具が少し付着した。
浩二はかまわず、圭子の切れ細った腰辺りをみだらに撫でる。
浩二がにやけた表情を圭子に向ける。
圭子はもはや浩二の侮辱的な言葉にも屈辱を感じることは少なくなり、
むしろ被虐に支配された心が刺激されて、快感の波に洗われてきている。
蜜がどうしても溢れてきてしまう。
慶蔵が近寄ってきて言う。
「瑠美が、お兄ちゃんが結婚するからって、一生懸命に美紀と協力し合って塗ったんだよ。
最後の方では明美と雅代も手伝ったけどね。でも、結構上手く塗れているだろう。言ってみれば、
瑠美から川上君へのプレゼントかな」
「瑠美さんもそんな可愛いところがあるのですね」
浩二と慶蔵はお互いを見合わせて大笑いした。

招待客に挨拶するため、会場内をぐるぐると回っていた悟と知香が圭子の置かれた場所へと戻ってきた。
悟は無言であるが、知香は圭子の乳房に手を触れ、股間を撫ぜ回し、リングを引っ張って遊んだ。
「あら、いやだ。圭子さん、また濡らしているよ。いやらしいわね」
圭子は被虐の甘美に心が打ち震え、股間から透明な液体を分泌している。
それが、絵の具を溶かしていた。
「ねえねえ、知香、これ何?」
「これって、もしかして人間なの?うそでしょ、これ」
知香の大学時代の友人達が集まってきた。
初めて見る奴隷の惨めな姿に目を丸くしている。
「これは山野慶蔵会長に飼われている性奴隷の圭子さん」
「えっ、性奴隷って何?」
知香は圭子を友人達に紹介し、圭子の性奴隷ぶりをいろいろと話した。
「今はね、圭子って、実の息子の子供を妊娠しているんだよね。
信じられないでしょう」
圭子の腹を指で突付き、リングをまた引っ張って遊んだ。
「なんか面白そうね、これ」
「ここも硬くなっているね」
圭子は胸の突起をぴんとはねられた。
友人達も面白がって、圭子のあちこちを触った。
ペンライトを当てて見る者もいた。
だが、圭子に話し掛ける者はほとんどいなかった。
まるで圭子は置物であるかのように、人々は圭子の人格には無関心であった。



披露宴がようやく終わった。
悟は披露宴でのあわただしさに圭子のことなど脳裏から消えてしまっていた。
圭子の方を振り向きもせずに、そのまま出口へと向かっていった。
悟は知香とともに、これから会場の出口に行き、
帰っていく招待客の一人一人に挨拶をしなければならないのだ。
それから、中庭に出て記念撮影を撮ったり、友人達との撮影に応じたりした。
それが済むと、いよいよ新婚旅行へと出発である。
空港近くのホテルで初夜を迎えることになっていた。
悟と知香は披露宴会場からそのままタクシーに乗り込んでいったのである。


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