どらごんさんの作品

性奴系図外伝(佐藤敬吾篇)

第15章  最後の想い出


悟は山野グループの管理部門会議に山野建設の管理部門担当取締役として出席していた。
山野グループ傘下企業の管理部門を預かる役員たちの意見交換会である。
会合は月に1回の割合で定期的に行われている。
本日は珍しく山野グループ会長である慶蔵が出席していた。
会合が終わって帰り支度をする悟を慶蔵が呼びとめ、会議室の隅へと移動した。
「川上君。圭子のことは覚えているだろう」
悟の表情が少し曇った。
悟の初体験の相手である。忘れるはずがなかった。
「今度、圭子は海外へ売られることになってねえ」
「そうなんですか……」
悟は衝撃を感じたが、平静をよそおった。
「君の初めての相手なんだろう」
悟の顔は真っ赤になった。
慶蔵は郊外の温泉地にある自分の別荘を貸してくれるという。
その場で住所を教えてもらい、鍵を渡された。
「佐藤に、圭子を送らせるからね。好きにしなさい」
悟は会社に戻った。
かつては近郊地方都市にこじんまりとした本社ビルを持っていた藤川建設であったが、
山野建設になってから急拡大し、最近、都心のインテリジェントビルに本社を移転したのである。
悟は社長室に浩二を訪ねた。
藤川建設時代とは、社長室の広さも優に3倍近くあった。
忙しくて各地を飛び回っている浩二は、社長室にいる時間が最近めっきり減っていた。
いったんは倒産した会社を発展させた浩二は今や経済マスコミの寵児といってもよい。
各メディアからの取材を受ける身となっていた。
最近では、ワイドショーにも時々ゲストとして呼ばれるくらいになっている。
「今日の夕方からまたテレビ局で経済討論番組の収録をしなくてはね」
浩二の口ぶりにかつて備えていた慇懃さが薄れ、少々軽薄さが目立つようになっていた。
悟が浩二の以前より派手になったネクタイを見ながら、声を落とした。
「ところで、圭子さんが中東の王族に売られていくみたいですね」と悟が言った。
「ああ、そうなんだあ」
浩二はまるで気のない返事である。
「それにしても、慶蔵さんもさんざん圭子の肉体を遊び尽くしたんだから、
もう売ってしまっても後悔しないということだね、わっははは」
浩二は豪快に笑った。
悟は4月から会社の近くにある大学の夜間学部で経営学を勉強していた。
山野建設の役員としてかなり忙しいはずの悟が、
ほんの数ヶ月ほどの受験勉強で何とか目標の大学に行けたというのは、
悟の元々の学習能力が非常に高かったからであろう。
妻の知香も大学進学には、大賛成であった。
家計の都合で優秀な成績にもかかわらず大学進学できなかった悟には遅い青春といってもよい。
大学での勉強と会社での仕事との両立は大変であったが、悟はなんとかやりくりしていた。
大学では、サークルにも入った。温泉同好会である。
活動内容として、毎週1回のコンパに加えて、時々、泊まりがけで各地の温泉に行くのである。
「知香。悪いけど、今度の週末、温泉同好会の同輩や先輩と温泉に行ってくるからね」
「あなた、いいわよ。いってらっしゃい」
かつては慶蔵の秘書をしていた知香であったが、結婚後は退職し、現在は専業主婦をしていた。
知香は元々社交的ではなかった悟に、友人がたくさんできたのはとてもいいことだと思っているようだ。
週末になった。
悟は会社を多少早めに出て、いったん家に戻ると山野家の別荘まで自家用車で行った。
渋滞にも遭わずに、悟は圭子が来るという約束の時間の1時間ほど前に到着した。
悟は、紅茶を飲みながら、圭子の到着をひたすら待っていた。
テレビ番組を見ているが、内容が全く頭に入ってこない。
心臓の鼓動が聞こえるかのごとく波打っている。
壁にかけられた時計を何度も繰り返して見た。
圭子は時間通りに敬吾の運転する車で別荘に到着した。
裸足に白いガウンを羽織っていた。
いくら初夏とはいえ、標高の高い別荘地では肌寒い格好である。
圭子の首輪に?がるリード紐を敬吾が悟に手渡す。
圭子は悟の前で俯いている。
その圭子の態度はまるで新しい主人に仕えるかのごとくであった。
「それでは、日曜日の朝10時に迎えに来ますので、それまでは圭子を自由にして下さい」
敬吾は事務的に述べて、帰っていった。
悟はリード紐を引いて、圭子を別荘の中へと引き入れた。
悟の心臓はもはや早鐘のようになり、股間が痛いほどに張っていた。
白いガウンを羽織っていたとはいえ、圭子の美しいプロポーションは過酷な性奴の生活の中でも保たれていた。
栗毛色の麗しい髪も美しい。
妖艶な美しさも増している。
それは、被虐地獄の中で、さまざまな淫靡な恥辱を経て、熟成された妖しい美しさであった。
圭子の肉体から発する甘い淫靡な香りに、悟のオベリスクも発射寸前にまで追い込まれていた。
悟の心には天使と悪魔が交互に訪れるような状態になっているといってよい。
揺り椅子に座っていた悟は、新聞を広げた。
「圭子さん。悪いけど、そこで四つん這いになってくれないかな。もちろん裸になってね」
悟の口元に嗜虐の笑いが浮かんだ。
圭子は白いガウンを脱いだ。
ピアスを付けられた圭子の惨めに改造された肉体が現われた。
ピアスは銀色に鈍く光っており、重量感があった。
「いいから、テーブルになりなよ」
悟は、普段から想像できないような乱暴な口調で、圭子の白い背中に脚を置いた。
そのまま平然と経済新聞を読み続ける。
かつて圭子の夫の運転手であった頃に比べれば、信じられないことである。
圭子を椅子代わりにして新聞を読んでいた悟は、立ち上がった。
悟の心の中で悪魔がささやいている。
悟はズボンの前を乱暴にはだけた。硬く屹立したオベリスクが現われた。
「圭子さん。あんたの口でサービスしてくれないかな」
悟はヤクザになったかのような口調で命令すると、圭子はやや恥ずかしげに返事をした。
圭子の柔らかい唇がそれを包み込んだ。
「うっ……」
悟はあまりの快感に腰を思わず浮かせた。
悟はあまり長持ちしなかった。
白液を圭子の口内にぶちまけた汚れたオベリスクを、圭子は舌を使ってキレイにした。
悟のモノはすぐに激しく復活した。
悟はリード紐を持って圭子を寝室へと導いた。
悟は、ベッドの端に腰掛けながら、目の前に圭子を立たせた。
悟は無雑作に圭子の肉体を貫くピアスを撫で回していく。
「な……なんでこんな惨めなものを付けてんだよ。前より増えてんじゃんか」
悟は圭子を嬲るように言うと、圭子が肩を小刻みに震わせていた。
「さ、悟さんまでこんなひどいことを言うのね」
圭子がつぶやくように声を漏らした。顔は泣き顔になっている。
悟は聞こえないふりをした。
圭子は俯き加減に悟の瞳を覗き込んできた。
悟も圭子と目を合わせたが、悟の方が先に視線をはずした。
「わ、私はあともう少しで日本から売られていってしまうんです。
せめて最後に貴方に会えるなんて、うれしいです」
「そ、そうかい」
悟はわざとぶっきらぼうに答えた。
悟の脳裏に、入社当時に仰ぎ見た社長夫人としての麗しい圭子夫人の姿、運転手時代に送迎したときの姿、
そして性奴に堕ちた圭子と初めて情を交わしたときの姿がまざまざと蘇ってきていた。
自分は想い出の中では、圭子を崇拝していた。
悟は想い出に引きずられそうになる自分を鼓舞しようとした。
今や自分は旧藤川建設、いや山野建設の取締役なのである。
山野財閥総帥の性奴隷である圭子に情を移すわけには行かないと強く思おうとした。
数日前に慶蔵から別荘で圭子と会ってもいいと言われたとき、表向きはあまり喜んでいない顔をしたが、
内心では再び圭子と二人きりになれることに喜びを感じていた。
悟の心は今や二つに引き裂かれそうである。
悟は服を脱いでいく。
アドレナリンが高まってきている。いよいよ久しぶりに圭子さんを抱けるのである。
「圭子さん。おい、寝るぞ」
悟はわざと乱暴に言って、ベッドへと圭子を導いた。
圭子の白い肌を抱いた。
「お……相変わらず気持ちいいな」
ここまでが悟の偽悪を装うことの限界であった。
悟の中に初めて圭子と肌を触れ合ったときの感覚が蘇ってきた。
それが怒涛の奔流となって悟の中に流れ込んでくる。
「け……圭子さん」
悟の声が上ずった。
悟の中で、過去の思い出とともに悪魔が天使に置き換えられてくる。
嗜虐的な気持ちが急速に後退していく。
悟の目に涙があふれてきた。
「け、圭子さん、貴女は相変わらず素敵だ」
悟は圭子の半身を起こさせた。
そのまま唇を重ねた。
圭子の唇をやさしく吸った。
久しぶりに吸った圭子の唇は相変わらず甘かった。
ここで、悟の心に愛妻の知香にすまないという心が湧いてきたが、情欲には勝てなかった。
悟は圭子の白い肌に舌を這わせた。
圭子が甘い声を漏らし始めた。
圭子の絹を裂くような声に、悟の五感が刺激される。
「うっ」
悟が自分のモノを圭子の中に沈めたとき、思わず声を漏らした。
悟は耐え切れずにすぐに発射してしまった。
ベッドの中で、悟は圭子とじゃれ合っていた。
圭子のたわわに実る柔らかい乳房を触り、圭子のうなじにキスをした。
「圭子さんってキレイです」
かつて運転手として仕えていた頃の、圭子に対するあこがれの気持ちが再び蘇っていた。
「いやですわ、川上様。圭子はもう奴隷なのですから。
貴女様の好きなように嬲られる奴隷なのですから、そんなことはもう言わないで下さいまし」
「圭子さん、そんなことは言わないで下さいよ。お願いですから」
悟は圭子の首輪を外した。
もう2年近くも填められたままの首輪は皮も硬くなっていて、外すのに少し苦労した。
「これで貴女も自由の身ですね、圭子さん」
「ええ、悟さん。たとえつかの間でもね」
首輪の外された圭子の首にはくっきりと痕が残っていた。
「こ、これはひどい」
悟が圭子の美尻の上に刻印された焼印を撫でた。
「しかたないですわ」
圭子はあきらめきったようにため息をついた。
圭子はこれから海外へと牝奴隷として売られてしまうのである。
そのことを知っている悟には、圭子にかけてやる言葉が見つからなかった。

土曜日の朝。
遅い朝食を摂った悟と圭子は車で別荘地の近くに広がる観光用の牧場で子供のように馬に
乗ったりして遊んだ。
それから温泉に行き、家族風呂で二人だけの入浴を楽しんだ。
もはや温泉に行くことはあるまいと思っていた圭子は、湯船の中で、子供のようにはしゃいだ。
身体を貫くピアスも尻の焼印も全て忘れ去った。
悟はそういう圭子をやさしく洗ってあげた。
圭子の目には涙が光っていた。
夜は別荘に戻って、圭子の手料理で食卓を囲んだ。
圭子には分かっていた。
おそらく最後の手料理になるであろうことを。
食後のワインで、圭子はすっかり酔いで顔を紅くした。
その頬に悟はやさしくキスをしてくれた。
「今夜は圭子さんを寝かせないから」
「悟さん、うれしい」
悟と圭子は唇を重ね合った。
そのままお互いの肉体をまさぐり合った。
「ベッドに行こうか」
悟は圭子をベッドに誘導した。
お互いに全裸となり、お互いの肉体を舌や指で愛撫し合った。
圭子はおそらく人生最後になるであろう「女」としての時間を心ゆくまで楽しんだ。
悟に抱かれて、何度も絶頂に達した。
蜜も大量にあふれさせた。
できればこの夜が永遠に続いて欲しいと思っていた。
無情にも日曜日の朝がやってきた。
時間は残酷にも時を刻んでいく。
「もうそろそろ佐藤さんが来ますからね」
圭子はそう言って、首輪を悟に付けさせた。
悟は圭子に降りかかるであろう過酷な運命を改めて思った。
おそらくもう二度と会うことはないであろう。
それを思うと悟の目からはらはらと涙がこぼれて来るのである。
圭子はそうした悟を見て、涙を目に溜めていた。
敬吾の迎えはまもなくやってくる。敬吾は時間に正確で一分以上遅れることはまずない。
車が別荘の外に停まった音が聞こえた。
敬吾がほとんど無言のまま、後部座席のドアを開けた。
悟は圭子と最後に抱擁した。
「圭子さん、お元気で」
「悟さん。貴方の方こそ。もう会うことはないでしょうけど」
ドアが無情にも閉められた。
悟ははずしていたリード紐を敬吾に渡した。
敬吾は悟に軽く会釈して、運転席に乗り込んでいった。
月曜日には、悟は会社を休んだ。家の布団の中でも涙が流れてしかたなかった。 
妻の知香がカルチャーセンターで不在であることに感謝した。
昨日、敬吾から別れ際に聞いた貨物船の停泊場所を頭に反芻していた。
悟は時計を見て、布団から起き上がった。


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