どらごんさんの作品

性奴系図外伝(佐藤敬吾篇)

第4章  白い獲物


繁華街のはずれには夕闇が迫っていた。
慶蔵はある古ぼけたマンションのエレベーターを下り、一室のブザーを押した。
護衛として、敬吾も一緒に連れてきている。
部屋の中は、あいかわらず混沌とした雰囲気を出している。
「いつもお世話になりありがとうございます」
暴力団員風の男たちを引き連れて、脂ぎっていて、色黒の大男が挨拶にやってきて、
慶蔵に深々と頭を下げた。
「おっ、津島君。いつも悪いね」と慶蔵が言った。
これから、オークションが行われる。
主催は慶蔵が親しくしている暴力団である。
慶蔵はもうすでに何度も足を運んでいた。
「そろそろ新しい性奴隷はいかがですか」と津島が慶蔵に声をかけたのである。
慶蔵以外にも、風俗店主や慶蔵と同じような大富豪、政治家など10人ほどが招待されて参加していた。
慶蔵は用意された高級ウィスキーを口に含みながら、楽しみにオークションの開始を待っていた。
オークションされる女はその日は3名という。
(いつもよりは少ないな……)と慶蔵は思った。
出品される女の質が良くない場合には、慶蔵は落札することなく帰宅する場合もあった。
本当にいいと思う女しか落札しないのが慶蔵のやりかたである。
最初の一人は40代の女であった。
やや太めで肌の状態も悪い女には、なかなか買い手がつかなかったが、
脂切った顔をした風俗店主が格安で手に入れた。
次は、20代の女であった。
確かにスタイルはある程度良かったが、目がヒラメのようで口が突き出ており、器量が悪いと言えた。
最初の女には慶蔵は見向きもしなかったが、今度の女は若いということで、
一応、慶蔵は女の肉体を他の参加者とともにチェックした。
女の肌を手で触り、敏感な部分も指で開いたり、軽く刺激してみたりして確かめたが、
慶蔵には、この女を飼いたいという衝動が起こらなかった。
他の参加者も同じ思いを持ったのか、最初の女と同じようになかなか手が挙がらなかった。
結局、別の風俗店主が最初の女より若干高い金額で入手した。
最後に引き出されてきたのが透き通るように白い肌をした白人女であった。
参加者がどよめいた。
白人女は明らかに嫌がっている表情を浮かべていた。
最初の二人がいくぶん割り切っていて開き直った雰囲気を持っているのに比べると、
この場に引き出されたのを納得していないのか、時折逃げようとするかのように身体をよじったりした。
長身であり、赤毛、青い目で、手足がほっそりしている。
胸はやや小振りであるが、尻は大きい。それなりの美人といえた。
白人女は、全裸で後手に縛られながらも、反抗的な視線を参加者に向けていた。
時折、英語や片言の日本語で参加者に喚きちらし、そのたびに司会者の暴力団員に殴られていた。
殴られた直後は卑屈な笑みを浮かべるのだが、白人女はすぐに反抗的な視線を参加者に向けた。
「ほう、そんなに悪くないね」
慶蔵は敬吾を見て言った。
白人女は後手を縛られたまま、床の上に腰を下ろしていた。
両足は男たちによって大きく開脚させられている。
白人女は喚き疲れたのか、肩を大きく上下させて荒い息を吐いていた。
慶蔵の指はいやがる白人女の秘裂を開いていた。
そして敏感なところを刺激して、女の反応を楽しんでいる。
「はい。最初の二人よりはすばらしいと思います」
敬吾も淡い色をした秘園を、長身を屈めて覗き込んでいる。
「ここはきれいなピンクをしているなあ」
慶蔵が感心したような声を上げた。
慶蔵は、結局2,000万円に迫る金額で、落札できた。
落札と同時に、慶蔵は現金の束をぽんとテーブルの上に置いた。
「確かに受け取りました」
津島が慇懃に頭を下げた。
白人女が慶蔵に落札されると、大柄な暴力団員が赤い犬の首輪をいやがる女の首に巻いた。
慶蔵は首輪につながったリード紐をヤクザから受け取った。
飼い主としての自覚が湧いてくる。
女の名前はリディアといった。
たどたどしいながらも、リディアは日本語で挨拶の言葉をしゃべった。
「ほう、お前は日本語ができるんだね」
慶蔵はうれしそうに土下座しているリディアの頭を撫でた。
日本語は聞く方はかなり理解できているようだった。
「そのうち、圭子も要らなくなるかなあ」
慶蔵は新しい玩具を手に入れて、古い玩具に飽きた子供のような言葉を吐いた。
リディアがまた暴れた。大声で叫びまくる。
だが、敬吾の動きは素早かった。
目にも留まらぬ早業で、リディアの鳩尾に拳で突きを入れると、リディアは失神してしまった。
敬吾は、失神したリディアを肩に担ぐようにして、部屋から出た。
「これだけ反抗的だと、調教の楽しみが増えるわい。わははは」
慶蔵はリディアを担ぐ敬吾の後姿を見ながら、微笑んだ。
一週間後。
深夜の山野邸はひっそりとして、虫の鳴き声だけが闇夜にこだましている。
サッサッサッ。サッサッサッ。
芝生の上を擦って行くように滑る影があった。
裏門へ向かっている。
「誰だ?」
いつものように夜の見回りをしていた敬吾が音もなく影に迫った。
影は敬吾に気づくと、立ち上がって脱兎のごとく駆け出した。
が、すぐに追いつかれ、敬吾に芝生の上に荒々しく組み伏せられた。
「ヘルプミー」
「なんだ。お前はこないだ来たばかりの外人女か」
敬吾はつまらなそうに言った。
「無駄なことをするな。殺されるぞ」
女の顔は恐怖に震えていた。
脱走を図ろうとして敬吾に取り押さえられたリディアは、すぐに慶蔵たちの前に引き出された。
リディアは敬吾によって後ろ手にきつく縛り上げられている。
赤毛の髪には芝生が付着し、ほつれきっていた。
赤毛で青目のリディアが、明治時代の安宿の下働きのような絣の着物を着させられているのがおかしい。
リディアには環境に適合しようという気はいっさいなかった。
夕食後に慶蔵に抱かれるときでも、慶蔵の寝室で大暴れして敬吾が折檻を加えるために何度も呼ばれていた。
リディアの教育は雅代が担当して、掃除洗濯や炊事をやらせているが、
夜には明美が中心になって調教を行っていた。
調教の鞭を揮う明美や家事を指導する雅代に対しても、何かあるたびに反論しようとするし、
隙さえあれば、真っ赤な首輪を外そうとするとする。
脱走に失敗したリディアは罰として浣腸されることになった。
「か、かんちょう?」
意味の分からないリディアに敬吾が英語で説明する。
(な、なんてことを…………)
リディアはさんざんに慶蔵たちを罵倒したが、そのたびに敬吾にひどく殴られた。
瑠美や美紀もさんざん足蹴にしている。
白い尻を明美に向けさせられる。
浣腸液を注入された。
「どこまで耐えられるかな、こいつは……」
瑠美が嘲るようにリディアを見下ろした。
リディアがこらえきれずに排泄した。
肛門が汚物で汚れている。
「圭子。キレイにしてあげなさい」と瑠美が言った。
慶蔵が飼っている別の性奴隷である圭子が犬のように四つん這いに這ってきた。
「うっ」
リディアの汚れているであろう尻に舌の感触を感じ、怖気を揮った。
その日以来、リディアが排泄をするたびに、圭子が舌で清めるようになった。
リディアは恥ずかしいのか、明美や雅代に鞭で打たれて初めて、
汚れた尻を四つん這いで待っている圭子の顔に突き出した。
だが、慣れると圭子の柔らかい舌は心地よい刺激を与えることに気づいたのか、
「圭子、しなさい」とリディアはすぐに自分からすすんで、圭子に清めてもらうようになっていた。
リディアの圭子に対する口調も命令口調になっている。
圭子は連れられてきたリディアを初めて見たとき、その高い鼻筋や理知的な大きな青い目を見て、
今は亡き祖母を思い出した。  
リディアの透き通るような白い肌も祖母と同じであった。
圭子の肌が透き通るように白いのも、髪が栗毛色をしているのも、祖母からの遺伝といってよかった。
リディアに対して、圭子は同じ性奴隷として、すぐに親近感を覚えたが、リディアは心を完全に閉ざしていた。
リディアはむしろ全裸で暮らしている圭子たちを見下すような視線を送ることもあった。
圭子の少し伸びてきたとはいえ丸刈りにされた頭、体内のあちらこちらに付けられたピアス、
特に女として恥ずかしい部分を貫通しているピアスや刺青、美尻に焼印で刻印された慶蔵のイニシャルにも、
リディアは露骨に嫌悪の視線を向けた。
通常の夕食は、リディアは慶蔵たちと食卓を囲むことが多かったが、
圭子や静江は、床で全裸になって犬のように控えさせられていた。
慶蔵や瑠美たちが床に落とした食べ物を四つん這いの圭子たちは犬のようにむさぼり食うのである。
落とされた食べ物を食べるのが遅れると、フォークで美尻を突き刺されたりもした。
その度に圭子や静江は哀れな悲鳴をあげる。
その有様を青い瞳が冷ややかに見ていた。
食卓ではリディアはたどたどしいながらも日本語を話した。
瑠美や美紀はそのおぼつかない日本語を露骨に馬鹿にしていたが、慶蔵や明美はからかいながらも、
面白がって相手にしている。
リディアは食事のたびに新しい表現を覚えていっていると言ってよかった。
敬吾はその様子をじっと見ながらも、リディアの中に語学の才能を含む頭の良さを感じ取っていた。
リディアが汗だくになって漢字の書き取りのドリルをやらされている。
「ばかだねえ、お前はこんな簡単な漢字知らないの」
「ほんと、外人って頭悪いわね。学校行ってたの」
瑠美と美紀がリディアに漢字のことでからかっている。
リディアは日本語での会話をなんとかこなせるとはいえ、読み書きはまだまだ低レベルであった。
そのリディアをいたぶろうと、美紀が小学生時代の漢字ドリルを取り出してきて、
無理やり漢字を覚えさせているのである。
小学生でも約1,000文字の漢字を覚えさせるのが日本の教育である。
アルファベット26文字しか知らないリディアにはあまりにも過酷ないじめであった。
瑠美と美紀は大きくて理知的な青い目をしたリディアが自分たちにとっては
当たり前の簡単な漢字さえなかなか覚えられないのが愉快でたまらないらしい。
「やっぱり、奴隷ってバカね」
「というより、バカだから奴隷になるのよね。きゃっははは」
リディアが懸命に漢字らしきものを書き出しても、
瑠美と美紀は何て下手な字かしらといってバカにするのである。
リディアは美紀に「物覚えが悪い」と言われて何度も頭をたたかれた。
屈辱のあまりリディアは涙を流した。
リディアの泣き顔を見て、瑠美や美紀は反省するどころか、リディアへの口撃を激しくする一方である。
そんなみじめなリディアの様子に嗜虐心を刺激されたのか、明美が瑠美に訊ねる。
「お嬢様。リディアの調教をこれから始めましょうか。どうしましょうか、一緒にご覧になりますか。
あ、そうだ。リディアもせっかく漢字を勉強しているんですから、圭子と一緒に習字の練習もさせましょうか」
「いや、そんなものは見たくもないわ」
「あたし、外人ってきらいだし」
瑠美と美紀はそのまま自室へと戻っていった。
瑠美たちは外国人女性の調教にはどういうわけか消極的であった。
SMは究極のコミュニケーションと考えている瑠美にとり、
言葉の壁のあるリディアは対象外に映っているのかもしれなかった。
明美も気を削がれてか、リディアを放っておいたまま、圭子や静江の調教のために地下室へと降りていった。
リディアは屈辱のあまり漢字ドリルを開いたまま、机に突っ伏して泣いた。
嗚咽の声を上げた。
遠巻きにして経緯を見ていた敬吾が近寄っている。
「リディア、泣くな。俺も昔は苦労した」
敬吾は泣いているリディアの背中をやさしく叩いて声をかけると自分の部屋へと戻っていった。


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