どらごんさんの作品

ジャスティーナ  序章



(そんなバカことってあるかしら……。この私がクビになるなんて……)
 外資系投資会社の日本法人で幹部として華々しく活躍しているジャスティーナの運命は、
本国からの通知で一挙に奈落の底へと落とされた。
 本国から日本法人の全社員に一斉配信された電子メールの内容は信じられないものであった。
いきなり日本市場から撤収するというのである。
そして、日本法人勤務の全従業員は、本国から派遣された者も含めて、
この日限りで解雇されるという文字があった。
(もうどうにでもなればいいわ……)
 会社を解雇されたジャスティーナは自暴自棄になった。
毎晩、六本木界隈で明け方まで酒びたりになった。
だが、日本の物価は安くなく、以前は会社が全額負担してくれていた高級マンションの家賃も
ジャスティーナの肩に重くのしかかってきた。
ジャスティーナはその重圧から逃れるために、さらに浪費し、貯金を使い果たしてしまった。
そして、ついには闇金融に堕ちこんだのである。
    
闇金融を経営する立岩の事務所にやってきたジャスティーナの目は心労のあまり窪んでいた。
毎日のように、朝から晩まで繰り返される執拗な督促にジャスティーナも心が休まる日がなかった。
「この書面にサインして下さい。私の話す日本語は分かりますね」
立岩の言葉に、ジャスティーナは頷き、手渡された紙をじっと見た。
立岩は、三十代後半の若さながら、広域暴力団の幹部を務めている。
高級そうな黒っぽいスーツに身を包み、目付きの鋭さが目立つ。
まがまがしい調度品が所狭しとあまり広く事務所に並べられていた。
その中で、ジャスティーナは革張りのソファーに俯き加減に座っている。
緊張のためか、喉がからからに渇いていた。
「サインさえすれば、貴女の借金はすべてなくなりますよ」
署名欄の他は白紙となっている。立岩から高級万年筆を受け取ると、ジャスティーナは震える手で署名した。
立岩の腕時計が鈍い金色に輝いている。立岩がこれから自分の降りかかる運命について説明を始めた。
 ジャスティーナは立岩の説明を上の空で聞いていた。
どうにでもなるがいいという自暴自棄な気持ちにもなってしまうが、
このままおめおめと日本人達に屈したくないという思いも強かった。
「ジャスティーナさん。なかなか高そうなスーツを着ていますね。
いかにもキャリアウーマンという感じが出ていますね」
 立岩が煙草をくゆらせながら、柔和な笑顔を一変させる。
「でも、もうそんなご大層な服なんて要らないでしょう。もう脱いでしまいなさい」
 ジャスティーナは立岩の強烈な視線に見つめられて、いても立ってもいられない気持ちになっていった。
ジャスティーナは大きく息を吸い込むと、顔を紅潮させながら、服のボタンに手をかけた。
震える指でボタンを全て外し、着衣を全て脱いだ。 
「もっといやらしく脱げないのかな」
 当初の柔らかい物腰は影を潜め、立岩はヤクザの本性を現していた。
「そんなじゃ、全然値が上がんないぞ」と立岩は哀れなジャスティーナに吠えた。
 ジャスティーナは気圧されて、立岩に抵抗できなかった。
言われるままに、恥ずかしいポーズを色々と取らされた。
少しでも反抗的な目を向けると、立岩の拳や蹴りが飛んだ。
「そうだ、ジャスティーナ。もっと腰を上げるんだ。いやらしく腰を振ってみせろ」
「もっと足を大きく開くんだ」
「恥ずかしがるなよ、バカ」
 立岩はジャスティーナの痴態に、にやけた笑いをしながら、目を細めている。 
ジャスティーナの身長は百八十センチほどであり、かなりの長身である。
やや白に近い金髪が肩甲骨の下辺りまで垂れていた。
青い目で立岩をおびえたような目付きで見つめている。
腰は細くくびれ、背中にはほとんど肉がなかった。
このようにジャスティーナの肉体には贅肉は全くなく、非常にバランスのとれたプロポーションである。
胸も尻も大きく、豊満な肉体といえた。
年齢はようやく三十歳になったばかりである。
 立岩の目は獣のような光を帯びてきた。
「オー、プリーズ――」
 ジャスティーナは通じないとは知りつつ、英語で哀願しようとした。
しかし、ジャスティーナに残された唯一の武器かもしれない英語も、
裏社会を遊泳している立岩には全く通用しなかった。
「英語なんかじゃべるんじゃない、ボケ。てめえ、日本語話せるだろうが」
 立岩に怒鳴りつけられ、ジャスティーナはうなだれるしかなかった。 

 夕方になる頃、立岩の事務所に数人のいかつい男たちがやってきた。
「この外人はすっかり仕込んでやったよ。
あとはよろしくな」と立岩が笑って、オークションに出品されるジャスティーナを引き渡したのである。


メニューへ 妄想小説へ 次へ進む

動画 アダルト動画 ライブチャット