どらごんさんの作品
ジャスティーナ 第二章調教@
数日後、藤堂は反抗的な態度を崩さないジャスティーナの調教を自分でやることを
あきらめざるをえなかったようであった。
「こうなった以上、姉さんに頼むしかないな」
藤堂は、ジャスティーナの両手を後ろ手にして手錠をかけると、乱暴にジャスティーナを車の中に押し込んだ。
車の中で、藤堂はジャスティーナに藤堂剛の姉である藤堂輝子のことを話して聞かせた。
(藤堂輝子……。聞いたことあるわね)
輝子は服飾デザイナーとしては、世界的に知られた存在であった。
だが、裏の趣味があった。
SMである。女王様として、男女を問わないマゾ奴隷を責めることを楽しみにしているそうである。
(あの華やかそうな女性がそんな趣味を持っていたなんて……)
ジャスティーナは藤堂から聞いた話に半信半疑であった。
自分の日本語能力が低くて、聞き間違えたのかとも思った。
輝子は百五十平方メートルの広さがある高級マンションに住んでいて、
藤堂の家から車で十五分ほどの場所にあるとのことであった。
「姉さんだったら、きっとうまく躾けてくれるであろう……」と藤堂はつぶやき、ジャスティーナを見て笑った。
「剛君、いらっしゃい」
輝子は藤堂たちを上機嫌で迎え入れた。藤堂の姉である輝子はすでに五十代の半ばを超えているが、
これまで独身であった。顔には目尻に皺が目立つとはいえ、ほっそりとして贅肉が全くない肉体を誇っていた。
藤堂は大柄な身体を丸めて、頭をかくような仕草をしながら、姉にジャスティーナのことを託した。
輝子は上品なたたずまいを身につけており、口調も自信に満ちている。
「わかったわ。では、まずこの子の肉体の隅々まで見せてもらうわ」
「姉さん、よろしく頼むよ」
「剛君、任せておいてね……」
輝子は満面の笑みを浮かべていた。
すでに、ジャスティーナを罠にかかった美しい獲物というような目で見ている。
「三ヶ月間、この子を預かればいいのね。なかなかかわいい子じゃない。
きちんと調教してあげるわ。
ここには、私の内弟子がいつもいるから、彼女たちも調教してくれるからね。
みんな、まだ若いのよ。
二十代から三十代ぐらいかしら。
彼女たちは、日常的な家事はもちろんですけど、私の趣味にも助手としてつきあってくれるのよね」と
輝子は言って、意味ありげに笑った。
「それは頼もしいね」と藤堂が返した。
「ジャスティーナさんでしたかしら……。
私が藤堂剛の姉の輝子です。
これから、貴女の調教を引き受けることになりました。よろしくね……」
数人の内弟子に傅かれた輝子がジャスティーナに慇懃に挨拶した。
ジャスティーナは、輝子を前にして、震えを感じた。
根っからのサディストである輝子が発する負のオーラに打たれたのであろうか。
輝子は決して大声で威圧するようなタイプではないが、冷ややかな輝子の視線が恐くて、
視線を合わせられなかった。
まるで哀れな白い兎を飲み込もうとする冷酷な大蛇のような目である。
「もし私に反抗したら、これですからね。この子、日本語分かるのかしら」
輝子は警棒型のスタンガンを取り出すと、ジャスティーナの豊かな尻に当てた。
猛烈な電撃に、ジャスティーナは飛び上がった。
「あれほど反抗だったジャスティーナがスタンガンを振り回す姉さんの前では
卑屈な表情を浮かべているとはね」と藤堂が笑った。
「裸になりなさい」
輝子はジャスティーナに羽織っている白いガウンを脱ぐように命じた。
「ハ、裸ニナルノデスカ……」
ジャスティーナが躊躇した。だが、すぐに輝子の内弟子達によって羽交い絞めにされた。
スタンガンが容赦なくジャスティーナの美脚を電撃した。
「私の命令を聞かないと、こうですからね」と輝子は言い聞かせるように言った。
ジャスティーナはスタンガンの直撃で体が痺れるような状態になり、
輝子にはとても逆らえないと思い知らされた。
言われるままに、白いガウンを取って、白い裸体を惜しげもなく輝子と藤堂の前に晒した。
ほんの少し前まで、インテリジェントビルにあるオフィスで颯爽として仕事をこなしていた
自分を思い浮かべると、あまりにも惨めであった。
今や奴隷に堕ちたのだと自分に言い聞かせようとした。
それにしても、軽蔑していた地上げ屋の一味に恥ずかしい姿を晒さなければならないなんて――。
藤堂は羞恥で身をよじるジャスティーナの恥態を心ゆくまで楽しんでいるかのように、にやにや笑っていた。