えりさんの作品

えり断章10 えりの気持ち



  かつて自分が書いた、奴隷宣言を読んでいる私は、たぶん外から見たら石のように
固まって見えるでしょう。
 姉ヶ崎さんは私にこの紙を渡したまま、自分からはなにも話そうとはしません。
ただただ余裕たっぷりに私を見下ろしています。
 私は、バカな頭でいろいろ考えてみました。
「こんな紙、知りません」
 そう答えることも考えました。
 でもさっきトイレの前で写真を見せられ、私はこの薄汚い部室までついてきてしまったのです。
 いまさらそんな言い訳できるでしょうか。
 たとえどんな理由があっても、もう二度と他人の言いなりにはならない。
大険に受かったとき決心したことを思い出しました。
 そして私の頭にはだんだん怒りがわいてきました。
 こんな女の子に、私は負けるわけにはいかない。
私は姉ヶ崎さんの目をにらみ返そうと顔を上げようとしました。
 でも出来なかったのです。私の目はさまよいました。
 知られたくない。あんな写真を配られて、噂になるだけで、私はもう、大学にいられない。
 怒りをがまんしようとするほど、悔しいのが内側にたまって、熱くなってきました。
昔鞭でたたかれたとき、叫び声をあげるより、黙って内側にためた方が、
長く耐えることができたときのことを思い出しました。

 ここからあとに姉ヶ崎さんとする話は、想像できました。
でも、私はもうためらいませんでした。
「どう、すれば、、みんなに内緒にしてくださいますか?」
 私は搾り出すように、やっと声を出しました。
姉ヶ崎さんは勝ち誇った顔になりました。
私は自分の言葉が敬語だったことに自分で気づきました。
 「わたしのサークルのマスコットになりなさい。
女の子が少なくて男子が多いの。いろんなイベントを企画実行するサークルなんだけどね。
打ち上げや飲み会の時に楽しい余興がいるの」
 姉ヶ崎さんはたたみかけるように言って、ゆっくりと私に詰め寄りました。
「わかるでしょう?言ってる事」 
 姉ヶ崎さんはバチンと平手で私の頬をひっぱきました。
耳が一瞬ふさがれ、頬がジーンとなりました。
次の瞬間、お腹に痛みが走って私はうずくまりました。
彼女がヒールで私を立て続けに蹴っ飛ばします。
私は床に転がりました。
 思わず見上げた私の目と、姉ヶ崎さんの目が初めて合いました。
私は決して抵抗しないことを伝えてるつもりでした。もう私は奴隷モードだったのです。
「さあ、お願いしなさい。わかるでしょ? 昔のように」
 私は心の中ではいと言いましたが、もう一度目を合わせないで、
立ち上がって素早く自分の服を脱ぎ始めました。
中学校の更衣室で、教室で、理科室で全裸にさせられたときのことが思い出してきました。
 私は土下座して、姉ヶ崎さんに言いました。 
 「お願いします、お願いします! い、至らない肉奴隷ですが、
ぜひ、サークルの、マスコットに、してください。そのためならなんでも、いたします」 
 そのころは六月で梅雨でした。外からは雨の音がします。
 部室は冷え冷えとしていて、私は鳥肌になりながら薄汚いコンクリートに頭をこすりつけて、
姉ヶ崎さんに頭を下げ続けていました。

 この部室に入ってから、姉ヶ崎さんは三回私に話しかけただけです。
それだけで、私を最下等の奴隷にしてしまいました。
私は姉ヶ崎さんのやり方にうっとりしている気持がこのときにもうあったんです。
心から媚びる用意が始まっていたのです。

 この日以来、私はもう学食で食事をすることはありませんでした。
 学校の友達は誰も知らない暗い汚い部室で、奴隷の餌をいただく日々がはじまったのです。

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