えりさんの作品
えり 断章〜13〜 えりの気持ち 上
私は、いつのまにか気絶していたようです。
いまから考えれば笑い話ですが、私はもう死ぬんじゃないかと思っていたぐらいなんです。
それは、快感が押し寄せてきたからです。
不様な上半身のパラパラと、腰を上下させてのオナニーショーで変態と呼ばれ、
みんなの爆笑に包まれ、私は人間としてのタガが外れてしまったようです。
たしかに私は中学時代もいじめられていました。
でも大人になってからのこの屈辱と、人間としての自分の否定は、思っていた以上に私を崩壊させました。
青山さんがそんな私のクリトリスを指でひねり潰しました。
その後のことはハッキリとは覚えていません。
私が皆さんの前で塩を吹いていたのだと、後から姉ヶ崎さんが笑いながら教えて下さいました。
夜中12時を過ぎたサークル室には、姉ヶ崎奈美枝さんと男子主力メンバー7人、
それに私こと「虫」が残っていました。
青山さんも残りたいと言ったのですが、姉ヶ崎さんは認めませんでした。
その理由は私にはわかりません。
けれど、私に塩を吹かせた青山さんよりももっと残酷で恐ろしいことをこの人たちはしようとしているのだな、
ということだけはわかりました。
その名も「肉奴隷反省会」。
私は、いったい何を反省すればいいのでしょうか。
「私は、見たくもないんだけどね」。そう姉ヶ崎さんは吐き捨てる様に私に向かって言いました。
その瞬間、わかりました。
女性から見てもあんまり楽しくないもの。
その中に、私は身一つで放り込まれるのです。
「冷静な人間も、一人ぐらい必要だから。でないと、あなた死んじゃうし。フフ」
私は島くんの顔を思い浮かべました。
島純一くんは、顔はハンサムで頭も良いけれど、凶暴な人です。
ちょっと木村くんを思わせるところのある人です。
何日か前、酔っ払って近所の飼い犬をからかって、吠えられると逆上して殴り殺してしまいました。
その上、夜中に私を呼び出して、穴を掘らせて犬の死体を運ばせて始末するように命じました。
今、私の首についている赤い首輪は殺された犬のしていた物なのです。
「さあ、これからお前の反省会だぞ」
やってきた島くんが全裸の私を見てニヤリと笑います。
<やっぱり、木村くんに似ている>と私は思いました。獲物を見る目です。
私は先刻までのショーで心身ともにかなり疲れていました。
けれども、誰一人そんな事は気にしていません。
いま、私は獲物なのです。
「まずは開会の挨拶だよな。ほら、頼むぜ」
全裸のまま床に這いつくばっている私に近づいた島くんが容赦なくお腹を蹴っ飛ばします。
うぐうううううううううう。
小柄な私は蹴りを受けて体が浮き上がります。
サッカーボールみたいに島くんのキックが私を部屋の真ん中に運んでいきます。
私はころころ転がります。反動で動いた方がショックが少しでも軽くなると思ったからです。
さっき、死にそうだなんて思ったのは甘かったです。
それに、島くんは木村くんよりずっと残酷。