えりさんの作品
えり 断章〜15〜 下A えりの気持ち
これが人間の姿でしょうか。
姉ヶ崎さんが顔をしかめるのも当然です。
どんなことをされても進んで従う自分の異様な姿が客観的に写っています。
私は改めてうちのめされた心のまま、口上を述べました。
「お…おいしい精液を、ありがとうございました。
たくさん…私の便器マンコに精子を注いでいただき、感謝いたします。
お尻の穴にまでおちんちんをいただき虫2号は幸せです。
すこしでも皆様のお役に立てたなら身に余る光栄です。
もっともっと性処理奴隷をオモチャにしてください」
自分から言わされているけれど、実は決められている言葉。
命令通りの言葉。
でも、鏡の自分は、それを積極的に言っているようにしか見えません。
その自分の姿は、カメラにも撮られています。
人間以下の存在。もちろん、ただの動物だってこんなことを自分からしないでしょう。
動物以下のこんな姿が私の本当だと言われても、違うと言えない…。
それからも私に2度目3度目の精を放った男子たちは、
「おい、ユルくなってるぞ、このガバマン」「気持ちよくねえんだよ」などと罵りながらガンガン腰を振ります。
私は自分がより以上に汚い存在になったことを自覚しました。
私は、自分がこの人たちから性処理奴隷として見捨てられることを考え、急に不安になったのです。
ユルユルでガバガバになった私に、もし彼らが完全に飽きてしまったら……。
私は性の道具になるというおぞましい行為の中にいながら、
それがなくなったらもう生きていけないような心地だったのです。
女として求められることがもしなくなったら、私は……もうお金を上納したり、
人間サンドバッグになったりするしか、この人たちの役に立たない。
中学時代、男子のいじめられっ子たちが、最下等の「ウジムシ」と呼ばれ、
女子に要求される以上の上納金と、女子に加えられえる暴力とは比較にならない暴力で、
地獄の中の地獄のような目に遭っているのが私の脳裏によみがえりました。
鼓膜を破られ、薬物をかけられ、彫刻刀で刺され…
翌日学校で待っている恐怖に自殺や転校した子もいます。
同じいじめられている存在でも、彼らに対してはあまり思い出のない私ですが
自分もああいう存在になってしまうことを考えると、怖気がきました。
私たち性処理肉奴隷は、女の性を踏みにじられることで、最下等には落とされずにすんでいたのです。
身体を売っていたのと同じです。
いじめのときによく「私には慰安婦の血が流れております」と言わされていましたが、
本当にその通りだったのです。
ただのいじめられっ子以下の、うす汚れた、穢い存在。
本当の奴隷にもなれない卑しい慰安婦。
それが私です。