えりさんの作品

えり 断章〜16〜 終章(中)



 一人残った私は、朝の鳥の声を聞きながら、自分の乳房からぶら下がった名札を触りました。
取る気力もありません。
 針を抜かなければ痛みは続きます。
 思い切って気力を振り絞らなければ……。
 でも……この針を抜いたって、私の地獄は終わりはしない。
 私はそのままの姿でしばらく呆然とへたり込んでいました。
 針の傷みを感じ続けながら……。

ふと放心していたようです。
気が付くと私の身体は誰かに揺り動かされていました。
「えり……えり、大丈夫?」
 私の身体を揺さぶっていたのは藤本さんでした。
「藤本さん? どうして」
 藤本さんは自分の上着を私の肩から掛けてくれていました。
「ひょっとしたらって思って。えり、このサークルの人たちと付き合っていたみたいだから」
 足元には、破り捨てられたポラ写真が幾枚もありました。
 私が股を開かされて無理矢理笑顔を作らされている写真です。
「こんなひどいこと……」
 藤本さんは私の名札を外そうと手をかけます。
「痛いかもしれないけど、一瞬だから……抜くね」
私はまだ放心状態の余韻が続いていたのを思い切って断ち切り、彼女の手を払いました。
藤本さんはえ?という顔になります。
「あ……ありがとう。でも、これは取らないで」
「どうして、どうしてなのえり?」
私は思い切って言います。
「こ、これは私が自分でつけたの。私はあの人たちの奴隷なの。だから、もう私にかまわないで」
藤本さんは愕然としています。
「あの人たちはあなたも狙っているかもしれない。だから私に近寄らないで。
学校に来ても、出来るだけ友達と一緒に居て。あの人たちが近づいてくる隙を見せないで……」
「えり……そんな」
「いざとなったら警察を呼んでもいい。自分の身は守って」
涙目になっている藤本さんに、私は続けます。
「私のことは心配要らない。私は好き好んでやっているの。決して強制されてるんじゃない」
「でも、さっきの電話も、あの人たちに掛けさせられたんでしょ?」
 私ははっとなりました。


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