えりさんの作品
えり断章 おまけ 3
私は、最初に写真を撮られたときのことを思い出しました。
授業が終わった後、呼び出された私に、サークルのみんなは、小笠原くんだけじゃなくて、
歴代のメンバーが撮った写真を貼ったアルバムを私に見せてくれました。
カメラの前で媚びた笑いを見せながら股を開いている女の子の写真が何枚も貼ってありました。
そんな状態を、心から納得していた女の子は一人もいないでしょう。
そしてきっと、こんな写真を撮られた後で、
あなたたちの命令に従わなかった女の子もいなかったのでしょう。
サークルの自慢のコレクションとなった写真には、
そんな女の子たちの無念がいっぱいつまっていると思いました。
ここに、これから撮るお前の写真も貼られるんだ、と島くんはうれしそうに言いました。
「ほら、うれしいだろ」
奴隷だったらうれしいはずだと、江田くんは言います。
「でもお前は貧乏な家で育って、いじめられっこだったのが這い上がって、俺達の学校に来たんだろ。
それでこれじゃ、悔しいよな」
藤巻くんが見透かしたように言います。
「どっちなんだ? 言ってみろよ!」
河本くんが私の顎をしゃくりあげます。
私は、思いっきり悔しそうな顔をして、言いました。
「はい、うれしいです」
みんなの嘲笑が私を包みました。
目の前で、小笠原くんのカメラのセッティングが完了したようです。
「わかってるだろうな」
河本くんが笑い続けながら、そう促しました。
私はうなずき、持っていたバッグを下に置き、一枚づつ脱いで、畳んではバッグの上に置きました。
カメラの前に置かれた机の上にしゃがむと、写真で見た女の子と同じポーズをしました。
そしてカメラに向かって、思い切り冷たい目で睨み返しました。
「笑え!」
小笠原くんの命令が飛びます。
私は一転して、にこっと笑いました。