えりさんの作品

えり 断章〜17〜 上A 明子の気持ち


  「飲み物はいいです。それより、金田さんのこと、、、」
「そう、あなたに来てもらったのはその事。当サークルのマスコット、金田えりのね。」
 マスコットとはどういう意味だろうかと当時の私は思った。
自分の都合のいいように親友を利用しているとしたら、許せなかった。
 「えりは、、、金田さんは私の大切な友達なんです。
失礼ですけど、2時間後には別の約束がありますから、もし私がそれまでに帰らないと、、、
ちょっと問題になるかもしれませんよ」
 これは私にとって、精一杯の強がりだったと思う。
そんな自分が、いまにして思えばかわいいとすら感じられる。
 (サークルに近づかないで、警察でもなんでもいいから、
いざという時は自分の身を守って)というえりの言葉を全部真に受けていたわけではなかったが、
責め抜かれてボロボロになったえりの姿を目の当たりにしているのは事実だった。
だから万が一を考え、いとこに時間になっても自分から連絡がない場合は、
旧サークル棟に人が倒れているといって警察を呼んでくれといってあったのだ。
 私は奈美枝をにらみつけたつもりだった。
ところが、彼女はかすかに軽蔑の色を混ぜた笑みを返してきた。
 「わたしはね、友情とか信頼とかっていう言葉は嫌いなの。
特に、貧乏人がいう時にはね。どうしてかわかる?」
話の主導権を奈美枝に奪われないように私は怒りに燃えた。
金持ちの娘だかなんだか知らないが、それだけでなんでこの女はこんなにえらそうなのだ。
「貧乏人なんて口でいうだけで、そこには何も無いからよ」 
そう奈美江は続けた。
なにを言っているのだこの女は、と思いながらも、あまりにあっさりと断定されると、
かえってなにも反論できないものだということを、そのときの私は知った。
「裏切られても、一銭の損もない。金が無い人ほど言葉を飾るのよね」
 奈美江は自慢げにそう言う。
 だがたとえ言葉で反論できなくても、心まで負けることはない。
その時の私は、まだそう思っていた。
「違うというなら、あなたの友だちとの友情を、私に示してくれる?  
それができるのなら、前言撤回して金田さんをサークルから脱退させてもいいわ」
 私は、そんな奈美江の挑発に思わずうなづいていた。
 それ自体が、すでに敵の術中にはまっていることに、私は気付いていなかった。
 否、半ば危険を察知していたとしても、もう後戻りできない気分だった。

 「あのとき、後戻りしてたらよかったんじゃない」
 河本に奉仕している私を、サークル部室へ遅れて到着した姉ヶ崎奈美江が見下ろして言い放つ。
 その通りだ、と私は思った。
 いまの私は激しく後悔している。
 世間知らずの私と、数知れない被害者を騙し、
陥れていた彼らが同列に戦って、私が勝てるわけはなかったのだ。
 だが、この一か月で、私と彼らの違いがそれだけではなかったことを、私は気づき始めている。
 
 「しゃぶり方、うまくなってきたじゃねえか、前よりはな」
 河本が両手で私の顔をすくい上げ、陰茎でビタビタと頬を叩く。
 自分の唾液と河本の先からこぼれ出たエキスが私の頬を汚していく。
 「上気してきたわね。赤くなっているわよ」
 奈美江の言葉に、私は自分が恥ずかしくなっている。


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