えりさんの作品
えり断章〜18〜中A 明子の気持ち
これから、私は自分の処女が奪われたときの話しを書く。
私にとって、処女が奪われるということが、どれだけ重要なことなのかは、自分にもわからない。
ただ、あの時は、もっとすごい恐怖を前にしておののいていたことは事実だ。
「さあ、お前の初体験のお相手を紹介しよう。こいつだ」
私の目の前に、男子の一人がこれ見よがしに突き出したのは、柄のついたタワシ、いわゆる便所ブラシだった。
「サークルの精液便所になるお前にはお似合いだよ。まあ、このブラシは一年は使ってるから、お前より先輩になるんだけどな」
部屋中に何度目かの嘲笑があふれた。ショックを受け続け、ただ涙を流すだけだった私だが、咄嗟のことに認識が追いつかなかった。
男子が突き出したブラシにも、無理やり私の方を向かされているえりの苦しそうな顔にも、心が反応出来なかった。
姉ヶ崎奈美枝は、わざと私に聞こえるようにえりに語りかける。
「藤本さんの処女膜が便所ブラシの柄で破られるのは可哀想、なんて思ってるんじゃないでしょうね、
虫2号? 違うわよ、ヴァージンのお相手はタワシの方だから」
私はここで、初めてことの恐ろしさに気づいた。
「ひぃぃぃぃぃ」
私の声は、悲鳴にもなっていなかったようだ。
男子が、ぼろぼろになっているタワシを、私の股間にこすりつけた。ざりっとした感触がする。
「いや……イヤアア……許してください。そんなの、入りません。イタイです。やめてぇぇ!!!」
先ほどまでぐったりと泣くだけだった私も、今度はあらん限りの力で暴れ始めた。
だがお腹に何度も苦痛が走る。蹴りや拳骨が入れられたのだ。
まるで男子が女子にする行為だとは思えない。
「やめて、やめてあげてええええええ!」
えりも、火がついたように叫びだした。
「さあ、処女膜破りゲームのスタートだ。このタワシが3号のマンコに入ると思うヤツは、手を挙げて」
男子の笑いながらのせりふに、全員が挙手する。
「手を挙げてないのは、えりだけか。じゃあ、8対1で、ゲーム開始」
ボロ衣のようになった二人の女は、叫んでも叫んでも、泣いても泣いても、
まだ先に苦しみと悲しみが待っているこの地獄を、全身で味わい続けるしかなかった……。