えりさんの作品

えり断章21 えりの気持ち



やっと立つことを許された私たちですが、後手の縄をといてもらえないまま、
スケートボードを二つくっつけた台に一人ずつ正座させ直されます。
息をぜいぜいさせたままのアコの長い髪は、汗でべったり背中に貼りついています。
そしてまた、私たちの身体の、さっきとはズレたところにクリップが挟まれます。
クリップの外側の丸くなっている部分を目標に竿を振り下ろすのですが、カギ針が私たちの身体に刺さらないか、
かすらないかという気遣いはいっさいしてくれません。
相変わらず勢いよくビュンビュン振ってきます。
「うッ、痛ッ」
今度はクリップごと私たちの身体を引っぱるのです。
虫一匹に三人づつの釣り人が、竿を引っ張ります。
手前の床にテープを貼ったゴールに先に たどりついたチームが勝ち。
彼らはお金を賭けています。
三本の糸でも、スケートボードはなかなか前に進みません。
あまり強く引っ張られると、クリップがはじけ飛んでしまうので、竿を引っ張る時の力の強さのタイミングに工夫が要ります。
私たちは肉がちぎれてしまうのではないかと、痛みと共に恐怖も大きくなります。
脂汗を垂らしながら、今度は身をよじることも出来ず、私たちはひたすらゴールの瞬間までの地獄を耐えるのです。

私よりずっと豊満な乳房に挟んだクリップに引っかかった針を引っぱられる3号は、
何も見ていないかのように、宙に視線を漂わせながら、身体を引かれていました。
「うううううううううううう……」
うめきながら引かれていく3号。
「お、お母さん……」
虫3号アコは自分の母親の名前を呼んでいるようです。
彼女のお母さんは、娘がまさか通っている大学でこんな目に遭っているとは夢にも思わないでしょう。
しかもサークルの学生たちの「賭け」の対象として……。
その悲哀は私の胸にも迫ります。
私の身体もゆっくり、ゆっくり引っ張られていきます。
まさに地獄です。


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