えりさんの作品

えり断章8 えりの気持ち



 「中学の時さあ、初めて食べた蟹、サイコー旨かった!」
「あたしは三田牛のステーキ。パパに超高級店に連れてってもらったの」
「うちはさあ、ビンボーだから、そんなのじゃないけど、おばあちゃんが作ってくれたお米のおまんじゅう!
大きくてほかほかで」
学生食堂で昔のおいしいもの話で盛り上がる友達と笑いながら、
窓の外に見えるいろんな部室の建物を眺めて、私はべつのことを考えていました。
こうやってくだらないかもしないけれども楽しくおしゃべりと食事をしているとき、
このなかでもし私だけが誰も来ない薄汚いどこかの部室で、
むせ返る汗のにおいがする男子学生の足の指を一本一本しゃぶって、
濡れた足の裏をほっぺたに押し付けられて作り笑いをさせられているとしたら……。
男子学生は私にご奉仕させながらパンをかじって牛乳を飲んでいて、
足もとにいた私が食事の代わりに許されたのは、男子学生のおしっこを飲むこと。
おちんちんを自分から口に含み、飲み干そうとするけれど、どうしても唇のはじっこからこぼしてしまって、
「チッ」と私の髪の上に足が乗って、私の唾液で濡れてる足の指で私の髪の毛がぐしゃぐしゃにされて。
それで、食事の後におなかいっぱいになった男子が私を連れてトイレに行き、
私は戸が閉まった中で用便後のお尻をなめさせていただく……。
あの苦い味を思いだした私がはっと気がつくと、友達のみんなは食事をおわって、
そろそろ午後の授業に出るために立ちあがるところでした。
「えり、大丈夫?」
まだ食事を残してた私に友達は言ってくれました。
私は「大丈夫。みんなのおいしい食事の話を聞いたから、今日はもうおなかいっぱい」と笑い返して、
一緒に立ちました。
でも食器を返す私の身体の奥は、
熱くてそしてねばついていたのに自分で気づきました。
私はたまらなくなって「後で行くね」と友達に言って一人になりました。
目の前のB棟の前のトイレに走りこんで、濡れた自分の姿を確かめよてみようかなと思っていたときです。
 いきなり「金田さん」と私の名前を呼ぶ声がしました。
私はあわてて笑顔をとりつくろって振り返りました。
目の前にいたのは、知らない子で、私のことを不思議そうに見ています。
「な、何ですか?」
私は相手に不快感を与えないように、気をつかいながら訊ねました。
女の子は安心したように笑って言いました。
「わたし、文学部2年の姉ヶ崎奈美枝。ちょっと話があるんだけど」
  私は女の子の遠慮のない態度にちょっと驚きました。
「なんでしょう?」
「ここじゃなんだから、旧サークル棟までつきあってくれない。」
「すいませんが、あのう、わたし用事が、、、」
 思わず反射的にこう言ってしまいましたが、授業が始まっているのにトイレに行こうとしていた私です。
そんな自分をこの女の子は見抜いているようにちょっと思いました。
女の子はいきなりポーチから写真を取り出して、私に突きつけました。
「これ、あなたでしょ。あなたしだいでこれを返してもいいのよ」
 それは、見たとたんになんだか私にわかるものでした。
幼い顔立ちの女の子が、全裸で引きつった笑いを浮かべ、指でVサインを作り、
下半身はM字に開脚しているポラロイド写真。
小さな口の周りは白濁した液で汚れ、額にはマジックで「虫2号」の落書き。
おっぱいには赤い痣や、傷跡。そして写真の脇に「みなさんの肉奴隷です。
心も身体もいじめ抜いてもらうのがえりの希望です」と女の子っぽい字で書かれています。
 これは昔の私でした。
「どう、つきあってくれる?ね、虫2号さん」
  自分は、普通の女子大生に混じって、普通に生活をしているけれど、
本当は、「性処理奴隷虫2号」なのです。
 そのことを知っている人に、大学で初めて会いました。
<なんで知っているの?>
<この子、私をどうするつもり?>
 さっきまで昔の自分に戻るようないけない妄想をしていた私ですが、妄想は妄想です。 
 いまの平和な大学の毎日を壊されたくない。友達に知られたくない!
 さっきまでのぼおっとした気持ちが消えて、急に学校のにぎやかな音が大きく感じられました。
 姉ヶ崎と名乗った女の子が見せた写真は何枚かありました。
 プリクラやラメやマジックの寄せ書きを体中に貼られ、書かれて撮られたあの写真もありました。
 そこには、私の字でこう書かれてありました。
「いつまでも私を忘れないでください。またお会いしたいです。 性処理肉奴隷虫2号」
 作り笑顔の私の股間に男子のげんこつがずぼっと入っています。
 私は中三でここまで拡張されていたのです。
 思い出の甘い感じがなくなって、現実の私がむきだしになった気がしました。
 全身の血の気が引いたっていうのは、こういうことなんでしょうか。


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