えりさんの作品

奴隷階級えり・3

ごく当り前の日常生活を送っている生徒たちの横で、私たち奴隷階級は存在していました。
 死ぬ勇気もなく、奴隷であることを受け入れた以上、死ぬまで黙って奉仕を続けるのは、
当り前のことです。

 そう、死ぬまで……。

 奴隷3号は、自殺しました。
 遺書一つ残しませんでした。
 復讐で、自分をいじめた相手を告発したりすることもなかったのです。

 その気持ちはわかる気がします。

私たちは、人間から奴隷になることを、自分に許した存在です。
抵抗したり逃げたり出来るのなら、もっと前にすればよかった。
どうしても逆らえなかったのなら、命を絶ってきれいなままで死ぬことも出来たはず。

いまさら誰にチクる気もないし、外に告発する気も失せていました。

3号だって、いまさら同情の対象になんかなりたくなかったはず。

死んで、最後は自分だけの自由な世界へ旅立っていきました。
彼女の死は、新聞にも報道されませんでした。

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