えりさんの作品
奴隷階級えり・4
3号は、奴隷になることを自分に許してしまいましたが、その代わり、死ぬことで自分に落とし前を
つけました。
私には、そんな勇気もありません。
よく「生きているだけで強い」「生き残っただけで得」と私に言ってくれる人がいますが、
私にとって3号は、死ぬ勇気を持っているというだけで、いつまでも尊い存在です。
3号の親は「遺書ぐらいせめて残して欲しい」と言っていたそうです。
それを知って、この親は何もわかってないと思いました。
でも同時に、彼女が死んでも、まだ黙って奴隷の身分で居続け、どこにも告発もしない
自分自身に罪悪感が芽生えたことも事実です。
私は3号の親に呼ばれました。
「あなたが娘と仲がいいように見えたので」と母親は言いました。
やっぱり、なにもわかってないなと思いました。
私と3号は、「仲間」や「友だち」という言葉に感じられるような、温かい関係なんかではありません。
もっと冷たい、奴隷の鎖でつながれた「身分」どうしなのです。
遺体の体中に煙草の跡やアザがあったけど、原因を知らないかと母親は訊いてきました。
私はもちろんその原因を知っています。
私がそのことを口にすれば、すべてが明らかになるのです。