イブさんの作品

第2章 2年生処刑 その1:ミチル(1) 

 2学期が始まってすぐに1年女子の仕切屋たちを次々に「お仕置き」していった
ハルのことは、当然ながら上級生達の耳にも入っていた。
中には下級生のことは気にとめないという者もいたが、たいがいの者は
いずれ校内を征するために、ハルが邪魔だと考えていた。
中でも2年のミチルは上下関係に口うるさく、
ハルが「2年でも3年でも来ればいい」と言ったと聞き、不満に思っていた。
しかしそれですぐにどなり込んでも、ユキやナナの二の舞になるのは目に見えている
ので、ミチルはしばらくハルたちの様子を観察し、どこかに弱点を見つけてから
行動に移すことにしたのだった。
しかしその情報は、カナコにすぐにばれていた。
「ねえ、ハル。ここんトコ、2年のミチルって人がうちらをずっとマークしてるよ」
「もしかして、茶髪の、ショートカットの女?指輪はめまくりの」
「うん、多分それ、ミチルだと思う。2年の間ではかなり威張ってて、
ユキもあの人には前に軽くしめられたことがあるんだ。
ユキの場合はそれ以来あいつにペコペコしてたからそれからは何もされなかった
けど、逆らった人の中では退学したり、不登校になってる人もいるみたい」
 カナコの言葉に、ユカリは心配そうにうつむいた。
ハルは冷静に、「どうして?」と聞く。
「相手の恥ずかしい写真を撮って、言うことを聞かないとそれを校内に
貼り出すらしいの」
「うわっ…悪質。私、その人を敵にしたくないな…」
「そう?楽しそうじゃん。逆にそいつの恥ずかしい写真撮って貼り出してやりたい」
「そうだよ、やっちゃってよ、ハル!」
 カナコの反応に、ハルが一瞬無口になり、カナコをじっと見つめる。
「あのさ、カナコはあいつに、何か個人的な恨みでもあるの?」
「……ばれた?実はさ、ユキと一緒にいた頃、その、ユキがしめられた時に、
私も一緒に恥ずかしい写真撮られてね。
まあ4ヶ月も前だし、多分もう捨てただろうけど」
「ふうん。じゃ、そのお返しをしてやらなきゃね」
 ハルがニコッと笑った。

 その日の帰り、やはりこそこそと後ろから近づいてくるミチルの影を感じたハル
たちは、階段を下りたところで隠れて、ミチルが降りてくる瞬間を待った。
近くの掃除用具入れから柄の長いホウキを手にする。
そして、ミチルが降りてきたところで、ホウキで通せんぼうをした。
「…っげ!マジで…!?なんでバレて…」
 焦ってそう呟くミチルを、ハルがにらみつける。
「気付かないとでも思ったかよ、バーカ。
こそこそ人のあとをつけやがって、お得意の盗撮でもしてたわけ?」
 ミチルはその迫力に多少怯えながら、それでも強気で言った。
「ホウキをどけて、私について来なさいよ。いいもの見せてあげる」
 ミチルが向かった先は写真部室だった。
写真部は去年廃部になり、ここは空き教室だったが、ミチルが勝手に使っているのだ。ミチルはその奥にある棚から、一本のフィルムを取りだした。
 ハルがニッと笑った。
「それ、カナコの恥ずかしい写真でしょ」
「ええっ!?」
 もう捨てられているとばかり思っていたカナコは焦って顔を赤くする。
「そうよ。私に逆らったら、いつでもこの写真をばらまくからね」
 ミチルが強い口調でそう言い、カナコは無言になってしまった。
「そんなフィルム、力ずくで奪っちゃうから関係ないね」
 ハルがそう言うと、ミチルは大声で笑い出した。
「あはははは。やれるもんなら……やってみなさいよ!」
 そう言ってミチルは右手をハルに近づける。バチバチッという音がした。
ミチルの右手には、スタンガンが握られていた。
しかしハルは寸前でそれをかわす。
ハルはホウキをしっかり持ち直すと、それを振り回し、ミチルの足に引っかけた。
足を取られ、ミチルがバランスを崩す。
その瞬間に、ハルはミチルのスタンガンをホウキではじいた。
「ああっ!!」
 最大の武器を失ったミチルが、顔面蒼白で大声を上げる。
「ちょっ…ちょっと待ってよ。落ち着いて」
 たじたじと後ずさりながらハルにそう声をかけるが、
当然聞いてくれるはずもない。
ミチルからフィルムを奪うと、それをカナコに渡す。
カナコはフィルムを伸ばすと、はさみでばらばらに切った。
「さ、今度はアンタが撮られる番よ」
「いっ、嫌ああああああああああ!」

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