霧裡爺さんの作品
恥罰学園 1
「見て、あれ。カマキリ……笑ってるよ――」
「なんか気持ち悪いね」
「ヤバい。こっち来た」
明光学園教頭の鎌木義男は、足早に生徒達の横を通り過ぎた。
以前の自分なら、カマキリなどと言われて黙ってはおかないだろう。
ネチネチと説教をして、何らかの罰を与えていたに違いない。
よく、そういう体罰めいたことをして、理事長に叱責を受けたものだ。
(理事長か……くっくっ――)
無意識に口元が緩む。
「鎌木です。お呼びでしたか、理事長」
厚い木製のドアをノックする。堅い感じの女性の声が応じた。
広い理事長室の中に誰も邪魔者がいないことを見て取ると、後ろ手でドアをロックした。
「あんたから呼ぶとはな。俺の――」
生徒や同僚教師の前では、決して使わないぞんざいな口調である。
「て、天王寺さんから連絡がありましたので」
学園の最高責任者である理事長が女性で、しかも36歳という若さは異例のことであった。
「来週から田村香織先生を……復帰させるそうです」
「復帰ねえ……解放と言ったほうが正しいんじゃないのかい。
あの清純そうなお嬢様先生がどんなふうに変わったか楽しみじゃないか」
「…………」
「それで?」
「あの……あなたに伝えるようにと言われたので……」
「ふん。どうせ毎晩会ってるんだから、そのときでもいいじゃないか」
「そ、それが……あの……」
女理事長は理知的な美貌をわずかに歪めて立ち上がり、困ったように両手を揉む。
約2年前、前理事長夫妻が事故で亡くなり、学園を引き継いだのが娘の神埼千鶴、現理事長だ。
理事長と教頭という表の関係に、裏の関係が生まれたのは約2ヶ月前のことだった。
「今夜10時に必ず一人で理事長室に来て下さい。お願いします」
そう言われて部屋に入った鎌木は、信じられない光景を目にした。
真っ赤な犬の首輪でつながれた理事長が俯いて立っている。
その隣には天王寺麗美が首輪のリードを握って、微笑んでいる。
「今晩は、教頭先生。ふふ」
「なっ――」
冗談事では無い、異様で淫らな空気が漂っていた。
「ほら、始めなさい」
クスクス笑いながら麗美が理事長の頭をはたく。
わずかに屈辱の呻きを漏らしながら、上着を脱ぎスカートに手をかけてゆく。
(まさか……)
理事長が冷たそうな外見とは逆に、気性の激しい女だということを鎌木は知っている。
両親の死の直後、この赤字の私立学校を売却せよという周囲の声に猛然と反発し、
一人で闘って勝ち取った女だ。
この学園を奪うなら私を殺せ、と親戚縁者や債権者に啖呵をきって追い払ったほどだ。
その彼女が今、目の前で20才も年下の女生徒の言いなりになっている。
頭をはたかれ、犬の首輪をはめられ、ストリップをしている。
理解不能な状況下で鎌木は声すら出せなかった。
30半ばとは思えぬ整った身体が徐々に現れてゆく。
「おばさんにしてはいいよね。崩れてないし、肌もキレイでしょ。
ほら見て、この胸。大きいわりに垂
れてない。先っちょも黒くないし。生意気だよね、こいつ」
最後の一枚。白のパンティに指をかけたときだけ、わずかな躊躇を見せた。
が、目をつぶり一気に足首まで下ろして抜き取ると、両手で股間を押さえて立つ。
やがて諦めの吐息とともに、その手も身体から離れていった。
「あっ!」
鎌木の驚きと麗美の笑いが重なった。
「おもしろいでしょ。36にもなってツルマン。惨めよねー。あははははっ」
現実感が鎌木の中から失われてゆく。
麗美の手が上がり、ペチンと高い音が二つ三つ鳴った。
あの理事長が姿勢が悪いと怒られ、全裸の尻を無抵抗にぶたれている。
無毛の股間も豊かな双乳も晒したままうな垂れて。
首輪一つで打たれる様は、まるでペットや家畜のようでもある。
「まだでしょ。さっさとしなさい。千鶴っ!」
呼び捨てにされた学園の最高責任者は、そろそろと足を広げてゆく。
両膝の間隔は肩幅まで開き、見やすいように軽く腰が突き出され、
無抵抗を示すように両腕が後ろに回
った。
「あぁっ……ど、どうぞ……見て、ご覧に……うっうっ――」
遮蔽物の無い無毛の股間は、ぷくっと盛り上がった恥丘の具合や、
その中央を縦に走る肉裂の様子や、
そこからはみ出してしまっている秘唇までもが晒されていた。
「ふふっ。こいつはね――」
と、麗美が髪をつかんで仰向かせ、恥辱に染まった表情をも晒す。
「私の奴隷になったの」
ゆるゆると秘唇が開き、奥から湧き出す蜜汁が光るのが見えた。