霧裡爺さんの作品

恥罰学園 21



 理沙が女子生徒に標本の罰を与え始めたちょうどそのとき、
鈴原奈菜は部室へと重い足取りで歩いていた。
その足が思わず脇にそれ、理事長室の前で止まる。
(どうしよう――)
うな垂れたまま重そうな扉を見つめ、小さな溜息を漏らす。
その室内では理事長の千鶴が全裸の直立不動で、同じようにうな垂れていた。
乳首の一方を教頭の鎌木に摘まれ、捻り上げられたままで。
わずかの間、当人たちはそうとは知らずに、木製の厚い扉を隔てて向かい合っていた。
「あれぇ? どうしたんですか、センパーイ」
不意に呼ばれた奈菜の首がビクリと震えた。
少し離れた場所で、部活の後輩である1年生の2人が笑顔で立っていた。
にこやかな表情とは逆に、奈菜を刺すような険しい目つきで。
「そっち、違いますよ……まさか、部活に出ない気ですかぁ」
「あ……ち、違うの。あの……私ね――」
駆け寄ってきた2人に素早く両腕を組まれてしまう。
「もちろん出ますよね。みんなセンパイが大好きで、部活の時間が待ち遠しいって言ってるんですから
。帰ったなんて聞いたらガッカリして怒り出す人もいるかも――」
「さあ、一緒に行きましょ。部室まで連行します。強制連行。ふふっ。離しませんよ」
少し甘えたような言い方だが、両腕は痛いほどに強くつかまれて引っ張られてゆく。
抵抗できない。
まるで屠殺場に引かれてゆく家畜のようだ、と奈菜は自分で思った。
もしもあと少し扉の前に立って耳を澄ましていたなら、奈菜にも聞こえたかもしれない。
理事長の千鶴が、教頭の鎌木に尻を無抵抗にぶたれる音が。
そのまま秘部を弄られ、耐え切れず漏らす哀れな呻きが。
  
 吹奏楽部の部室に入ったとたん、奈菜は2人の1年生に突き飛ばされて床に手を着いた。
ドアが閉まり、鍵のかかる音が響く。
20を超える女子部員たちの冷たい視線が一斉に突き刺さる。男子は部にいない。
――おっせぇぞ!
3年生が苛立って叫んだ。
演奏の大きな音を出すために、部室は学園内ではなく離れのような小屋にある。
十分とは言えないまでも一応防音も施されている。
大声を出したところで問題無いのだ。それが悲鳴であっても。
「聞いて下さいよ、先輩。こいつったら――」
奈菜を連れてきた1年が3年たちに話し出す。
「オラッ! 部室に入ったら最初にどうすんだよ」
奈菜は同学年の2年に背中を足蹴にされた。味方はいない。
「は、はいっ。すぐに――」
部室の隅に行って、机の引き出しから大きな黒い首輪を取り出した。
ナナ、と記されている。
皆の前で自分で宣言して書かされたものだ。
それを首にはめる。
じわっ、と惨めさが胸に広がる。
急いで制服を脱ぎ出した。
躊躇している間は無い。遅いと罰せられるだけだ。
靴下も脱ぎ、ブラも外し、パンティーも一気に下ろす。
同性だけとはいえ、ここまで脱ぐのは辛い。しかも自分1人だけがだ。
後ろや横を向いてもいけない。
身体の正面を晒して笑われなければならない。
いわゆる幼児体型だと自分では思っている。
胸は小さい。
くびれなんか無い。
下腹は緩く突き出ていて寸胴で、色が妙に白い。
透き通るような白さではなく、運動不足で出不精の白さだ。
足だって太い。
白い太腿と下腹の間に生えている黒毛が目立ってしまう。
長くて太くて縮れている恥ずかしい陰毛がたくさんある。
自分で見ても不細工な身体だと思う。
それを気をつけの不動の姿勢で、1年から3年の全部員の前で晒さねばならないのだ。
首輪以外に身につけることを許されているのは眼鏡だけ。
外すとほとんど見えなくなるので、与えられる指示を見逃してしまうからだ。
「姿勢っ!」
背筋を伸ばし、身体の横に付けた指先をピンと伸ばす。
「は……い」
恥ずかしさと緊張で声が絡まる。
「聞こえなーいっ」
何かが顔に当たって落ちた。
丸められた使用済みのティッシュだ。
「下ばっか見てないで顔上げろって言ってるだろ。同じ事、何回も言わすなバーカッ!」
1年からも平気で暴言が飛ぶ。
部室に一歩入った途端に、奈菜は鈴原奈菜という17才の女子から、
ナナと呼ばれる吹奏楽部所有のペット兼家畜の身分に堕ちるのだ。
誰からも見下される存在であり、自由も人権も尊厳も無い。
――ペットは裸で当然。
そう言われている。
「あの……遅れてしまって申し訳――」
人語の使用は認められていた。
ワンとかブーなどの鳴き声だけを強要されたときもあったが、すぐに飽きられた。
「てめえ、サボって帰ろうとしただろっ!」
横から頭を叩かれた。
「お仕置き決定。ねぇ、何にする?」
「こいつナメてるみたいだから、重いのがいいんでない」
「やっぱ外で散歩させようよ。どっか公園とかでさー」
「ペットの基本だよね」
「でも騒ぎになったらヤバイでしょ。夜とかにする?」
「うん。酔っ払いとかホームレスとかなら見られても平気じゃない」
「口封じにこいつの身体使わせるとか、どう?」
「いいねー、それ。ナナのバージンはホームレスにあげるわけだ。あはははっ。カワイソー」
全裸で怯えて許しを請う奈菜当人の声は無視して、部員たちは暴走気味に盛り上がってゆく。
「まあまあ。とりあえず挨拶させよう。お仕置きはそれから――早くやれよ、ナナ」
3年の部長が有無を言わせぬ口調で命じた。
「はい……」
あれを、と思うと惨めさに目が眩む。
意識的に焦点をどこにも合わせていない瞳に、ぼやけて見える部員たちが滲んで揺れた。
実際にも彼女らは、笑いをこらえて肩が揺れていた。
味方はおろか、同情を寄せてくれる者もいない。
その中で和式トイレで用を足すように、しゃがんだ。
さらに必要以上に膝を離して、恥ずかしい股間を自ら晒す。
上半身は両肘を曲げ、両手の指を垂らすように軽く折り、胸の前で広げる。
犬のチンチンのポーズ。
「……な……ナナは人間以下の……牝です――」
言いながら腰を前後に振る。
ドッ――と、笑いに包まれた。
あまりの恥ずかしさに身体が火照り、汗が吹き出す。
「ナナを……厳しく調教して……下さい。そして――」
今度は左右に腰を振って、ぐるりと回すようにもした。
「ナナを使って……皆さんで遊んで下さい……お願いしますぅ、あぁ――」
半泣きの声が震える。
まぶたを開けていても何も見えない。
耳と肌で感じる辱めの爆笑に心が押し潰されてゆく。
いっそのこと心なんか無くなってしまえばいい。本気でそう思った。


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