霧裡爺さんの作品

恥罰学園 50



 理沙は生徒たちにぶたれながら全裸のまま、のろのろと這い回った。
 すでに生徒たちの方に恐れのようなものはなく、むしろ心の底から楽しみながら叩いていた。
自分たちと同じ生徒である麗美が理沙を弄ぶ様子を見て安心したのだ。
自分たちもいいのだ――と。
 一方、麗美はすでに興味を失ったように理沙を囲む一団から離れていた。
満足そうに体育館全体を見回し、壇上の千鶴と鎌木を見て、壁際に他の教師と並んでいる香織にも目を向けた。
 ドッ――と、理沙を囲んでいる生徒たちが沸く。
――ははっ。ざまあみろっ!
 何をされても無抵抗でいる理沙に、生徒たちは今までの恨みとばかりに痛みと屈辱を与えてゆく。
尻を叩き、足蹴にし、唾を吐きかけ、頬を打ち、乳首や性器やアナルまでも責め立てた。
――泣け! ほら、何とか言ってみろ!
――おもしろーい。見て、あの格好。
――こいつにゴミ食わさせようぜ。
――私に。私にもやらせてっ。
 誰も理沙に同情する者はいなかった。それどころか激しさを増してゆく。
――逃げるな。こら!
 理沙は暴行を受けながらも必死に這い歩いた。
逃げるためではなく、今まで麗美の命令で罰してきた生徒たちを探して、自分に復讐してもらうために。
 理沙もまた、この日が来るのを待ち望んでいたのだ。
支えにしてきたと言ってもいい。あの麗美がい
つまでも自分をサディスト役の教師として使い続けることは考えられなかった。
いつか墜とされる時がきっと来る、と。
そのときこそ何倍にでもして返して――と、強く願いながら生徒たちに鞭を振るい、辱めを与えてきたのだ。
むやみに人を罰するくらいなら罰を受ける方がマシだと思い知らされ、何度も学園のトイレで隠れて涙を流した。
やっと今、冷たいサディストの仮面を外して本来の自分に戻り、泣くことができるのだ。
「おいっ! おまえら、いいかげんに――」
 エスカレートしてゆく集団暴力に危険を感じ、鎌木が演壇を叩いて怒鳴った。
 が、我を忘れて今までの仕返しに熱中している生徒たちは止まらない。
「やめろっ! そこまでだ!」
 死なない程度に調節して下さいね――と、麗美に言われていたのを鎌木は思い出した。
そうなっても不思議でない状況に近づいている。
「ヒィッ――」
 細く甲高い理沙の悲鳴が響いた。取り囲んでいた生徒たちの動きも一瞬止まり、
壇上から今まさに飛び下りて止めに入ろうとしていた鎌木も足を止めて様子をうかがう。
 と、包囲を狭めて理沙を責めていた生徒たちの輪が急に広がり、かすかな水音が聴こえ、
悲鳴と爆笑がそれに続いた。
――うわっ! きったねぇ。こいつ漏らしてるよー。
――ちょっと、押さないで! ついちゃうじゃない。
 理沙は失神と同時に失禁していた。
  
  
 この日を境に明光学園は大きく変わってゆく。
それまで理沙から非人道的な扱いを受け、一方的な被害者だった生徒たちは、
理沙への復讐を通して加害者でもあるという一面を持たされたのだ。
そうなるとなかなか学園のことを外部に訴え出ることは難しくなる。
少しぐらいのことなら漏れたとしても麗美の家の力を使えば握り潰すぐらいは訳もないのだ。
 そして理沙への復讐に熱中していた生徒たちは誰一人として気づく者はなかった。
体育館の正面に向かって左上の位置にある、校歌の歌詞と共に掲げられている
学園の精神を表す3つの言葉が変えられていたことに。
【自由】は【責任】に。
【平等】は【義務】に。
【博愛】は【忍耐】に。
 それは学園の行く末を暗示していた。


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