霧裡爺さんの作品

めぐの淫夢 8



(あれは……?)
何度となく祐子とベッドの上で身体をまさぐり合い、互いに幾度も果てた後に、
めぐは奇妙なものを部屋の隅に見つけた。
「入ってみたい?」
視線に気づいた祐子が声をかける。
いつからそこにあったのか、鉄柵で組まれている大きな檻がそこにあった。
中は空っぽだが、相当に大きな犬でも楽に入れそうである。
「人間用よ。あれ」
「え……?」
ゆっくりと身体を起こした祐子がいたずらっぽく笑う。
「あそこにはね、私のペットを入れる予定なの。人間の……牝のペットをね」
顔は笑っているが、声には本気が滲んでいる。
「私のいいなりになってくれる娘をあそこに入れて飼って、そして……」
そこで祐子は言葉を途切らせ、少し寂しそうに目を伏せた。
そんな顔の彼女を見るのは初めてだった。
「もう帰りなさい、めぐ。今日は久し振りに楽しかったわ。高校のときみたいでね。
ああ、そうそう、服なら私のを――」
「嫌です……」
なんだか、たまらなく切なくなった。
わずかな間、言葉を交わさず視線のみを交わして察し合う。
「私、あの檻に――」
「ダメッ!」
2人の呼吸がシンクロして絡まる。
「……帰りなさ――」
「帰りたくありません」
閉じ込めて欲しいと願った。かごの鳥のように。
繋いで欲しいと願った。飼われる牝犬のように。祐子さんになら――。
ベッドから這い降りて進む。檻へ。
「ダメだって言ってんだろ!」
床に押さえつけられた。
それでも目が檻に吸い付けられて離れない。
「な、なんでもします。しますからっ!」
ここを出されて、どこへ行けばいいのだろう。
もう、帰るところなんて無い気がした。
「ふざけんなっ!」
仰向けにされて馬乗りに押さえられた。
「ふざけてなんか……私、本気です!」
「だ、だったら――」
祐子の目つきが変わってゆく。
「なんでもするって言ったな。私のトイレにでもなれんのかよ!」
「……はい。やります」
小さく頷いて答えた。寂しそうな彼女の目は嫌いだ。
「ほ、本気で飲ますぞ!」
「はい。いいです」
馬乗りにめぐのお腹の上に座っていた祐子が、膝立ちで前に進んで顔を跨ぐ。
「逃げろよ」
彼女の顔を見ながら首を横に振った。
「じゃあ、言ってみろ。トイレになるって。おしっこが飲みたいってよ!」
鼻息が荒い。目に力がある。彼女はそうでなくては。
そのためなら――。
「……私を祐子さんのトイレにして下さい……お、おしっこを飲ませて下さい」
言いながら彼女に気づかれないように、そっと右手で自分の秘肉を撫でてみる。
(フゥッ……)
そこはすでに濡れ始めていて、甘い愉悦が走った。
――どうして私は、こうなんだろう。
「言ったな!」
彼女の声は昂ぶり、嗜虐の悦びに瞳を輝かせていた。
――どうして彼女は、そうなんだろう。
互いの歪みが互いを求め、必要としていた。重なり合う凸と凹のように。
「口を開け! 避けるんじゃねえぞ!」
頷いて口を開く。
「バカッ! もっと大きくだよ。ガバッと開け!」
これ以上は無理というところまで大きく開いて、目をきつく閉じた。
「……いくぞ……」
狙いを定めた祐子の腰が、めぐの口に近づく。
実際は人の顔に向かっての放尿など簡単にできるものではない。
また、いくら覚悟を決めても尿を口で受け止めて飲むなどできるものではない。だが――。
シュッ――と、小さな射出音が鳴り、口の中への放尿は開始された。
(うっ! あああっ!)
仰向けで口を大きく開けたままという姿勢で飲み込むのは無理があった。
しかも放たれる尿を直接にである。
「何やってんだ。トイレなら、ちゃんと飲んでみせろ!」
すぐに「ガボッ、ゴホッ」とむせて吐き出すめぐに怒りながらも、祐子の声は楽しそうだった。
放尿も止まらない。
それどころか苦しみながらも必死に飲もうとしているめぐを笑って、
その顔にまんべんなくかけてやろうと腰を動かすのだ。
「ほら、ほらっ! どうしたトイレちゃん。飲みたかったんだろう。あはははっ」
やっと止まったとき、めぐの首から上は頭のてっぺんまでも全てが尿まみれになっていた。
「自分からトイレになる、なんて偉そうなことを言っといてなんだい。
全部床にこぼしてるじゃないのさ。これ、どうしてくれんのよ。え? めぐ!」
「……ご、ごめんなさい」
尿をかけられた方が、かけた方に謝る。あまりに理不尽な図である。
「悪いと思うなら舌できれいにしな。私の身体からよ」
「はい……」
舌を彼女の股間に伸ばして舐め清めると、尿とは違う粘っこい汚れも付着していた。
そしてそれは自分の股間も汚してしまっているのが分かる。
「床を汚した責任を取ってもらわなきゃね。お金? それとも身体で払いたい?」
祐子のその言葉に被虐の心が疼く。
「……あの、か、身体で……」
「身体で? お金で弁償するなら、そうね100円でいいわ。
ああ、今持っていないなら後ででもいいし。でも身体で払うとなると相当ひどいことになるわよ。
あなたは淫乱なだけで単価はすごく安いんだ
から。しょうがないよね。トイレの役にも立てない粗悪品なんだから。
それでも……身体で払いたい?」
「は、はい……」
それじゃあ――と、一呼吸空けて祐子が薄く笑いながら続ける。
「めぐ。今日からあなたは私のペットになってもらうわ。私を楽しませるためだけの存在になって、
どんな命令にでも従うのよ」
「はい……」
「ペットなんだから、ずっと裸のままで暮らすんだよ。あの……あの檻の中で」
「はい……祐子さん」
「今日みたいに裸で外で。もっとひどく恥ずかしいことも……もっと、もっと。
それでも、いいのかよ」
彼女の声が上擦っている。可愛いと思った。なんでも叶えてあげたい。
「はい。かまいません。私を自由にして下さい」
「……ずっと。ずうっとだぞ!」
頷いた。涙があふれてくる。抱きついてキスしたかったが、
顔中彼女のおしっこまみれなので我慢した。
「はい、お願いします。祐子さん。あなたが望む限り何時までもいます。
どんなことでも従います。ですから私を飼って。捨てないで下さい。あっ――」
唇を塞がれていた。彼女の唇で。
「……めぐ。自分で入るんだ。檻に。這って」
頷いてそのとおりにした。目の前にある檻の扉を開ける。
「いいんだな。本当に、本当にいいんだな。逃げるんなら今のうち、最後のチャンスだぞ。めぐ」
檻の中に身体半分入ったところで、後ろから声がかかった。
それに答えずに奥まで這い進み、自分で扉を閉めた。それが返事だった。
「めぐ……めぐ、めぐ――」
彼女が檻の中の私を見て、顔をくしゃくしゃにしている。
「私のペット……逃げたりしたら承知しないからね……」
「逃げたりなんかしませんよ……祐子さん」
何だか、とっても幸せだった。満ち足りていた。
暖かくて柔らかな光に身体が包まれてゆく。
そして――。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
(ん……まぶしい……)
いつもの布団に包まれている。いつものベッドの上で。
見えるのは見慣れた部屋。囲んでいてくれてた檻の鉄柵はどこにもない。
祐子さんの姿も。
(ああ、そうか――)
あたりまえの現実にめぐはひどく落胆した。
もう少しだけ――と、枕に頭を埋めて目を閉じてみても失われた世界は戻って来なかった。
カーテンの隙間から射し込み、目の辺りを直撃してくる明るい陽光がたまらなく恨めしい。
それでもしばらくは、見ていた夢を忘れないようにと記憶の中で反すうしていたが、
やがて上半身だけを起こして深い溜息を1つ吐いた。
(どうして……)
何に対してなのか自分でも分からないまま、その言葉だけが幾つも浮かぶ。
さらに、もう1つ溜息をついて目を伏せると泣きそうになっていた。
やがてある感触に気づき、右手をスェットの中に入れてみる。
(やっぱり……)
股間の部分を中心に、信じられないほどにパンティーが濡れていた。
経験したことはないが、眠りながら何度かアクメに陥ったのかも知れない。
が、今はそこに触れても何の快楽も認められず、むしろ悲しくて空しいだけだった。
しかたなくベッドからもそもそと這い出るが、何をどうしたらいいのか分からない。
肉体は確かに現実世界にあるのに思いはまだ夢を向いているままで、
めぐの心はピントの合わない映像のように微妙にブレたままであった。
寝起きということもあって、ひどくボーッとしていて思考が鈍い。
とりあえずヌルヌルの股間をなんとかするために浴室へ向かい、何も考えずに、
いや考えられずに機械的に服を脱いでゆく。そのとき――。
(!)
突然に玄関のチャイムが大きく鳴り響いた。
すでにパンティー1枚にまで脱いでいてめんどうなので無視しようと思ったが、
いっこうにチャイムは鳴り止まず、それどころか怒っているように激しさを増してゆく。
(な、なんなの……?)
おそるおそる玄関へ近づいてみる。
ピタリとチャイムが止まった。
耳を澄ましてみてもドアの向こうに人の動く気配が感じられない。
諦めて帰ったのかと思い、背中を向けた瞬間――。
ダン! ダン! ダン! ダン! ダン!――。
ドアが激しく叩かれていた。
めぐは悲鳴を呑み込んで、その場で座り込む。
一言も発せずに叩き続けられるドアからは、強烈な怒りが伝わってくる。
まるで意味が分からない。恐怖で胸がいっぱいになった。
(……恐い……助けて、助けて…………誰か、ゆ、祐子さ――)
「あ……」
その名を思い浮かべた刹那、全てが理解できた。
彼女が来た。来てくれたのだ、と。
『逃げたりしたら承知しないよ』
そうだ。そう、彼女は言ってくれたではないか。
逃げ出したペットである私を連れ戻しに来てくれたのだ。
だからこんなに怒って――。
叩き続けられているドアを見つめるめぐの瞳からは、すでに恐怖の色は消え失せている。
それどころか口元には笑みさえ浮かんでいた。
(今……今、開けますから)
迷いは無かった。すべきことは分かっている。
ペットには不要な物であるパンティーを脱ぎ捨てて全裸になった。
(祐子さん……)
めぐは彼女に所有してもらえる歓びに胸を、そして淫らな期待に秘部を疼かせながら
ドアのロックを外し、その場にひれ伏して自身を差し出した。
  



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