黒い森さんの作品

復讐 一章 3



「失礼します。」
そう言って入って来た女を見て、二人はその美しさに一瞬息を飲んだ。
その女、九条由梨子はにっこりと微笑んで二人に軽くお辞儀をした。
均整のとれた見事な肢体に合わせたビジネススーツがとてもよく似合っている。
膝上丈のミニスカートから綺麗に伸びる長い脚。
女性らしさを印象づけるふくよかなバスト。
艶やかな黒髪。
そして美しさと知性を兼ね備えた目鼻立ちは男性の心を捕らえて離さないだろう。
「香山さん。ごめんなさいね。父が無理な事を申しましたようで・・。」
「あ、・・ああ、いや、いいんですよ。ハッハッハッハッ」
由梨子に見とれていた香山は慌ててその場を取り繕った。
「私、別に店長じゃなくていいんですよ。なんでも致しますわ。」
由梨子はそう言った。店長というのは由梨子の父が無理やり頼んで来た事なのだろうか。
だが香山はすっかり由梨子が気に入ってしまったようだった。
「でも、まあ叔父さんとの約束を破る訳にも行かないから、やってみようよ。」
「本当によろしいのですか?」
そう言ってはいるものの、由梨子の話し方や態度は自信に溢れていた。
「ええ・・。あ、こちらはここの主任の茂野さん。
2号店で副店長をしていただく事になっているから、分からない事はなんでも彼女に聞いて下さい。」
「はじめまして。九条です。宜しくお願いします。」
「茂野です。宜しく・・。」
短く答えた良江は酷く惨めな気分を味わっていた。
 まず容姿においてどれを取っても良江は由梨子に勝てるものはなかった。
これほどあからさまに女性としての魅力の差を見せつけられるとは・・。
裕福な家庭に生まれ、何不自由なく育ち、最高の教育を受け、
おまけに生まれながらに類い希なる美貌まで与えられている由梨子に比べて自分はどうだろう。
小さい時から貧乏暮らしで高校も中退、安い給料で働きづめに働いてきた。
やっとの思いで勝ち得たこの店の店長ですら全てにおいて恵まれている由梨子に奪われようとしているのだった。
 良江はもはやこの女を1日も早く店長の座から引きずりおろすしか無いと考えていた。
そうしなけば、あまりにも自分が惨めだ。
いくら教養があると言ってもいきなり店の切り盛りが出来るはずが無い。
良江には自信があった。


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