黒い森さんの作品

復讐 一章4



フローレン二号店がオープンして3ヶ月が過ぎていた。
その日の販売戦略会議で良江は苦々しい思いをしていた。
「これはどうかしらね。センスはいいんだけど・・。」
由梨子は良江が独自に買い付けようとしている商品に待ったをかけていた。
「これまでの販売実績から見ても、行けると思いますが・・。」
良江が抵抗すると、他のスタッフ達も由梨子に同調し始めた。
「そう、センスはいいけど、ちょっと古い感じがします。」
「ほんとね・・。」
良江はもうそれ以上何も言えなかった。
「じゃあ、これらは採用しないことにします。良江さん、ごめんなさいね。」
由梨子が冷たく不採用を決定した。良江は何も言わず膝の上で拳をぐっと握りしめていた。
 開店当初、由梨子はいろいろと戸惑っている事もあった。
だがすぐに仕事を覚え業務をこなしていった。
良江は由梨子の実力に正直驚いていた。
3ヶ月たった今では店長としてスタッフ達を上手くまとめ、明確な販売戦略を立てられる一人前の店長になっていた。
皆の信頼も厚かった。
良江は由梨子のミスに漬け込む隙もなく、
それどころか次第に自分のこの店での存在価値がなくなってきているのを感じていた。
店長がきちんと業務をこなせば、元々副店長などというポストは不用である。
良江は自分の存在価値を示そうと色々と意見してみたが、今日のように悉く却下された。
良江だけがこの店で中途半端な存在だった。
それに由梨子が来て以来、香川との関係も絶望的になっていた。
あの日、由梨子が初めてやってきた日・・。
たった1日で由梨子は香川の心を掴んでしまった。
良江が何年もかけて香川との距離を近づけてきたのを嘲笑うかのように。
「なんで、なんであんな女が私の近くにいるのよ!」
良江は一人愚痴った。
由梨子のような女は良江の知らないどこか遠くで、金持ち同士で暮らしていればいいものを、
何故不幸な良江からさらに何もかも奪って行こうとするのか。良江はどうしても許せなかった。
「きっといつか、あの女にも私以上に悔しい思いをさせてやる・・。」
そう心に誓うのであった。


メニューへ 妄想小説へ 次へ進む

動画 アダルト動画 ライブチャット