黒い森さんの作品

復讐 二章2



「ご苦労さま。じゃあ後はお願いね。」
九条由梨子は1日の業務を終え、オフィスを後にした。日々忙しいが、充実した毎日だった。
若き女性社長として脚光を浴び、その美貌にもますます磨きがかかっている。
 オフィスを出た所で携帯が鳴った。
「九条さんかしら・・?」
それは聞き覚えのある声だった。
「あなたは・・・?」
「茂野ですよ。」
「よ、良江さん・・?!」
「ふっふ・・お久しぶりね。由梨子さん。」
「あの・・何でしょうか・・。」
「由梨子さんの妹さんの事でお話しがあるのよ。」
「なんですって・・!」
「まあ兎に角今すぐ来てくれない?場所は・・」
 妹の理恵子と連絡が取れなくなってから、5年にもなっていた。
理恵子がよからぬ連中と付き合っているらしいと言うことは聞いていたものの、これまでどうする事も出来なかったのだ。
「分かりました。すぐに行きます。待っていて下さい。」
由梨子はタクシーを捕まえてすぐにその場所へ向かった。
(金星ビル・・3階・・でも何故良江さんが・・)
由梨子はドアを押して中に入った。
 事務所のようなその部屋にいた厳つい男達が一斉に由梨子を見た。由梨子はその迫力に恐れをなしたが、気を持ち直して尋ねた。
「すいません、あの、こちらに茂野良江さんはいらっしゃいますでしょうか?」
「あんた誰だ?」
「わ、私は九条と申します。」
それを聞くと男の一人が
「こっちへ来な。」
と言って由梨子を奥の部屋へ促した。
 奥の部屋に入るとそこに良江が立っていた。
その部屋は、真ん中あたりに絨毯がひいてあり、ソファーが一つ置いてあるだけで、その他には何もなかった。
「随分と羽振りが良さそうね・・。」
良江の嫌みな言葉を由梨子は無視して尋ねた。
「妹の話って何なの?」
その時奥のドアが開いて妹の理恵子が入って来た。
「理恵ちゃん・・。」
久しぶりに見る理恵子の人相はすっかり変わり、生気のないやつれた顔つきになっていた。
この5年間、やくざのような奴らと付き合って、随分と荒れた暮らしをしていたのではないかと由梨子に思わせた。
「姉さん・・。久しぶりね。」
理恵子は小さな声で答えた。
「どうして、こんな所にいるの・・?」
「私、良江さんには借金があるのよ。だから・・。」
一体、妹と良江にどんな関わりがあったのだろうか。
それにあの真面目な社員だった良江がこんなやくざのような連中と付き合っていたなんて。
由梨子にとって驚く事ばかりだった。
「妹さんは借金を返すために、今日から風俗店で働いて下さるそうよ。」
良江のその言葉に由梨子は愕然とした。
「そんな・・!良江さん!借金っていくらなの?」
「5百万よ。」
「そんなに・・。」
由梨子は何故理恵子がそんな借金をしたのか分からなかったが、とにかくここから理恵子を連れ出したかった。
「良江さん・・。妹の借金は私が必ず返します。ですから妹と一緒に・・」
由梨子が言いかけたのを理恵子は遮った。
「姉さん、私帰らないよ。」
「理恵子・・ど、どうして・・!」
理恵子は恨めしそうに由梨子を見た。
「姉さんは私の事を捨てた。私にこんな傷を与えて・・。」
そう言って理恵子は右の義手を外し床に投げつけた。
「ああ・・!」
由梨子は思わず目を背けた。
「違う!違うわ、捨ててなんていない。」
「じゃあ、本当に私を連れて帰りたいと思っているの?」
「勿論よ‥。」
「それが本当か、姉さんの気持ちを見せて欲しいわ。」
「どういう事・・?」
「お金を返すなんて、今の姉さんにとっては簡単な事よね。もっと違う方法でよ。」
「違う方法って・・。」
「私の代わりに、良江さんの望む方法で償って見せて。」
「そんな・・理恵子・・。」
 由梨子はどうしていいか分からなかった。
だがこんなになってしまった妹に対する責任を由梨子はずっと感じていたのだ。
「あっはっはっはっ・・由梨子さん。どうなさるの?可愛い妹さんのために私の言う事を聞いて下さるのかしら?私はそれでもいいのよ?」
二人のやりとりを聞いていた良江は勝ち誇ったように由梨子に言った。
「良江さん・・。あなたの望みは何ですか?店に戻りたいのですか?」
恐る恐る尋ねる由梨子を良江は鼻で笑った。
「ふん、誰が今更そんな事。」
「では、一体何を・・。」
「毎週1回、私の所へ来て、私の奴隷として仕えるのよ!」
良江は残酷な要求を由梨子に突きつけた。


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