マルティニークの子供さんの作品

心の壊れる音がきみにきこえるか 13


  (12の続き)

 僕は椅子から転げるように床へ這いつくばり、ゴホゴホ咳き込んだ。
 「今、やめろって言ったよな。お前は被害者の女の子がやめてって叫んだ時、どうした?」
 何も言うまいと思っていたが、思わず言い返した。
 「弁護士はまだかよ! こんなことしてタダですむと思ってるのか!警察官が高校生に暴力をふるって、、、」
 いきなり僕の顔面に、ナニかがぶちあたりジーンとしびれた。
 島本のパンチが、僕の顔を襲ったのだ。
 あまりの衝撃に痛みを感じたのは数十秒も経ってからだった。
 「警察官が高校生に暴力をふるっていいのかって? じゃあ女子高生を男子高校生がリンチして
 レイプしてもいいのか? ああ? 答えろよ」
 ツーっと、冷たいものが唇を濡らした、鼻血だ。
 「うっ、、訴えてやる、、、こんなこと、、」
 今度は蹴りが、僕の言葉をさえぎった。僕は壁のところまでゴロゴロころがった。
 「訴えてやる? そうだな、被害者もそう思っただろう、でもお前たちはどうした?
 訴えられないようにヒドイ写真を撮ったり、もっとひどい目にあわすぞって脅迫しただろ。
 それで、、、どうするね、まだ訴えると言うなら、、」
 転がって血を流している僕の、背中や頭や足に容赦ない蹴りが叩き込まれる。
 イタイ、痛くて、熱くてどうしょうもない。
 「ごめんなさい、訴えません、、やめてください、、」 泣きながら叫んだ。
 とたんに、攻撃はやんだ。 しかし、その後すぐに言葉がつづく。
 「お前らは女の子がそう言って泣いた時、どうしたっけ? やめたか?
 なあ、答えてくれ、女の子が泣きながらやめて、と言ったとき、どうした?」
 なんとも言いようがなく、ただただ「ごめんなさい、やめてください」と繰り返した。再び蹴りが襲ってくる。
 「なあ、やめなかったんだよな、こういうふうに。
 むしろ泣いてあやまる女の子を笑いながら、、こうしたんだろ」
 左腕のひじに蹴りが集中し、今まで以上の痛みが僕をつらぬいた。
 ひじから先の感覚がなく、しびれたように痛む。
 「いた〜い、痛いよ、、骨が折れたよ〜〜、許して、、病院に連れてってよ」
 「ああ、、女の子もそう言ったらしいな。検死のとき聞いたよ、女の子は鼻の骨や肋骨
 足の指の骨が折れてたらしい。
 お前らはリンチをやめて病院に連れて行ってやったか?どうだ?」
 「なんで、僕ばっかり、、、僕じゃない、コータが、、藤井浩太がやれって言ったんだ。
 僕はなにもやってないんだよ」
 「そうかぁ」 蹴りがやむ・
 「は、、はい。僕は何もしてないんです。 ィ、イタイ」
 「女の子も何もしていなかった。
 ただ、お前らに目をつけられただけだ。なんにもしていない女の子を嬲り殺したんだよな、お前らは」
 もう、背中も頭も耳も腕も足も、全身が数倍にも膨らんだように腫れ上がり、
 うずくまったからだに痛くないところはどこにもなかった。
 「なあ、他人をいたぶるのはオモシろいなぁ。何を言おうがおかまいなしだ。 理由なんかいらないよなぁ。   なんで彼女が殺されなきゃならなかったのか? そうだろ、理由なんかないんだろ?」
 「ごめんなさい、もうしません、、許してください、、ごめんなさい」
 「あたま悪いなぁ、あやまっても何を言ってもお前らは聞く耳もたなかったんだろ?
 なんで無駄なことするかなぁ」
 後頭部に強い衝撃があり、意識が遠くなる。
 島本が何を言っているのか、もうわからない。
 「全部言います、僕がやりました、、罪を認めます、、なんでもします、、だから許してください、、
 もう蹴らないで、、」
 しばらく、沈黙がつづいた。
 カチッ。
 「なんでもしますから、、、もうやめてください、」
 「ヒャハハハハ、、なんでもするってよ」
 「バーカ、なんでもするんなら、今から俺たちがてめえのからだでキックボクシングやるから、
 そこに立ってろよ」
 「なんでもするなら、死ぬまでそこを動くな!」
 「なんでもするなら、黙ってやらせろ!」
 「ハーハハハ、なぁ、もうあきらめろや、なに言ったって、お前は死ぬまで俺たちのオモチャなんだよ」
 カチッ。


                    14に続く
 

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