マルティニークの子供さんの作品
心の壊れる音がきみにきこえるか 14
(13の続き)
「こんなにわかってるじゃないの。 罪を認める? お前に罪なんかないと思うぜ。
罪があろうがなかろうが関係ないんだ。お前は死ぬまでオレのオモチャなんだからな。ヒャハハハハ」
蹴りつける足がとまり、僕はもう何も考えられず、腫れ上がった顔で島本の方を見た。
その顔は楽しそうにニヤニヤ笑っていた。まるで女をリンチしているときの藤井浩太にそっくりだった。
「なあ、こっちを向けよ」 島本は腰のベルトから黒く光るモノを取り上げた。拳銃だ。
「残念だけど、このタノシい時間もおしまいだ」
この痛みから逃れられるのなら、もうなにがどうなってもよかった。
「さぁ、口を開け」 僕は言われるままに口を開く。 何本も折れた歯と血でひっついた唇が痛かった。
グイッと銃口が押し込まれる。
「右手をだせ、ここを握れ、、そうだ。 じゃあな、オモシろかったよ」
今、やっとわかった。 島本は僕をいじめていたのだ。
役割が変わっただけ。 あの時はイジメっ子、今はイジメラレっ子。
僕がこの世で最後に聞いたのは、脳に直接響く銃声だった。
**警察署の発表によると、市内で起きた女子高生集団暴行致死事件で逮捕された5人の少年のうち、
1人が取調べの最中に警察官の拳銃を奪って自殺したということです。
担当者の話では、少年は自分のやった事を反省し死んで詫びるなどと口走っていたと言う。
同警察署長は「未成年の容疑者ではあるが、取調べに落ち度はなかったと確信している」と
コメントしている。
終わり