ナナさんの作品

日曜日の街でT


流行りの洋服に身を包み、人の賑わう街で。

「あれェ??」
「あぁ沙織ー!!何してんのこんなとこで!」

背後から、聞き慣れた無邪気な声が聞こえた。
無論その声の主は有希と彩花で、あまりに無邪気だったのであの出来事は嘘だったのではないかと
沙織は嬉々として振り返ったが、向けられていた視線はあまりに残酷だった。
彩花が沙織に駆け寄る。

「なになに? どうしてこんなとこにいるの?なんでこんなとこで沙織に会わなきゃいけないの?
最悪なんだけど」
「……ただ、買い物に来ただけだよ?」

答えながらぎこちない笑みを浮かべる。どうみても媚びているようにしか見えない。
ほんの数日前と変わらない態度で交わされた言葉が、沙織にとってどんなに重たかっただろう。
さりげなく掴まれた手首に意識をやる。
―またいじめられなきゃいけないの?
沙織はそう思い、それが不本意にも顔に出てしまった。その顔が有希と彩花の気に障った。

「…ねぇ、また何かしてほしいの??」
「ぇ」
「顔でわかるもん。今さァ生意気なこと考えてたよね」
「ッ、、ち…違…ッ…」
「ホラ、これ、あの時の…」

有希が携帯をいじりだす。

「あ、あった」

沙織の顔が瞬時に紅潮した。
携帯を取り上げようかとも思ったが後でどうなるかはわかっている…。

「『ぁっぁっあっぁっあっ!ぁ、あぁんっ!!あっ、ぃやぁっ!!』
 『こら、あんまりでかい声出すなよ』
 『ご…ごめっ…んぁっ!!』
 『なんか…いろめかしいっつーか…しどけないっつーか。イヤラシイ』
 ♪キーンコーンカーンコーン、、
 『ぁ、予鈴』
 『じゃあ今日の放課後、またここに来てね、沙織。』」

道行く人々が訝しげに3人を見ている。
恥ずかしさで口を覆って顔を真っ赤にしている沙織と、それを傍目に見て薄笑いを浮かべている彩花。
そして携帯を持って沙織の一番知られたくないことを大勢の人々に公開している有希。
いずれも端正で幼さを残す顔立ちをした女の子だったけれど、
背はクラスでも高いほうだし、メイクはしているしでどう見ても中学1年生には見えない。
それをわかっていてか、有希が沙織に提案した。

「ねぇねぇ、うちらさぁ買い物しまくっちゃってお金困ってるの」
「そ、そう…、?」
「だからさぁちょっと頼みがあるんだけど…それ聞いてくれたらこの録音消してあげるから」
「本当ッ!? 頼みって…?」
「お金、稼いできてよ。 うちらはあの店で適当に時間つぶしてるから」
「稼ぐって…。どうやって?」
「だからァそこらへんのオジサンつかまえてパンツ売りつけたりしてさ、おこづかいもらうのッ」
「それ…稼いだら絶対録音消してくれるよね?」
「もちろん♪ じゃね、パンツなくなったらそこらの店で買いなよ。 2、3万稼いだら戻ってきて」

それだけ言うと有希と彩花は人ごみの中へ消えていった。
沙織は、今はそれほど絶望的な気持ちじゃなかった。
『言うことを聞いていれば…せめて傍にいさせてくれるかもしれない』
そんなことありえないって、ちゃんとわかってる。でも希望も持たずにやっていける自身が沙織には無かった。

有希が言っていたことを思い出す。
『だからァそこらへんのオジサンつかまえてパンツ売りつけたりしてさ、おこづかいもらうのッ』
…パンツなんて買ってくれる人、いるのかな…
こんなに人がたくさんいたら売ろうにもパンツを脱げないことに気づいたので
とりあえずあまり人がいないほうに歩き出してみる。
すると、しばらく歩いたところに公園があり幸いあまり人はいなかった。
しかも都合のいいことに公衆トイレまである。

かかとの高いサンダルを履いて歩いてきたので沙織は少し疲れていた。
とりあえず近くのベンチに腰を下ろし、はぁ、と不安だらけのため息をつく。

どうしよう。

沙織の頭の中はパンツを売ることだけでいっぱいだった。
パンツを買ってほしいだなんて、どう頼めばいいんだろう。
ふと顔を上げれば80mくらい離れた向かいのベンチにスーツを着た30代くらいの男性が座っている。
とりあえずパンツを買ってほしいと伝えてしまえばいいのだ。
そうだ、きっとあぁいうオジサンはわがままな女の子が好きなんだ。
じゃぁタメ口でいいのかな。

…よし。

心を決めて立ち上がり、まっすぐ向かいのベンチへ歩いていく。
男性の目の前で立ち止まり、彼が顔を上げるのを確認すると、沙織は言った。

「おじさん、あたしのパンツ買ってよ。」

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