猫背さんの作品

「絶望の碑」 第1話


 あの頃の私は、まあ今もそうなのですけど、とても引っ込み思案で、自分の意見をちゃんと
言えない弱虫でした。自分に自信がなく、他人との衝突を怖がっていました。
こんな事言ったらクラスのみんなに嫌われてしまうんじゃないかと思うと、つい目の前で話しかける
子の顔色で、ころころと自分の意見を合わせるような生徒。
八方美人って言うんでしょうか。
 どうしてなのかはよく分からないのですけど、とにかく学校の中で仲間はずれになるのが
嫌だという脅迫観念みたいなものを心の奥に隠していました。
本音が言えずにその場その場を適当にごまかすような態度と自分の性格の曖昧さが
「変な子」という評判に始まり「うざい」「むかつく」という悪口に変わり、
最後は「こいつなら何をしたって大丈夫」になったんだろうと思っています。
あの子たちに目をつけられ、格好の攻撃目標になったのも当然といえば当然のことなんです。
それに上手く対処できなかった私の弱さが悪いのです。
ええ、そうです。弱い子は強い子にいじめられて当然です。
これは自然な事なんだと思いませんか?狩猟犬もいれば負け犬だっているんです。
無理やり心に折り合いをつけてるんですけどね。
 えっ、現在ですか?
引っ込み思案だった中学生は3年経った今、本当に引っ込んでいます。
この自分の部屋だけが唯一の居場所ですね。
もちろんコンビニに行ったりはしますけど。
 もし今、誰かに裸になれって命令されたら、すすんでやります。
それ以上の事だってかまいません。
やれと言われた事は全てやり遂げてみせます。
貧弱で傷物で汚らしい身体ですが、どうか気の済むまで存分にどうぞっていう気持ちです。
どうなってもいいっていうあきらめのよ
うな心に支配されているんです。
拒んだってどうせやられるって記憶がそうさせます。
何かを守ろうなんて思えば思うほど苦痛が長く続くんですよ。
刻み付けられた身体の傷もそう言っています。
 いいえ!恥ずかしくないですね。
恥なんて言う人間の感情はもうとっくに捨てました。
いじめられていた頃、そんな感情がどれだけ私を苦しめたか分かりますか?
捨てなければ耐えられなかった。
逃げ場の無い絶望の中での選択は2つだけ。
捨て去る事と受け入れる事しか無いんです。
それ以外はありませんよ。
神様に助けを求めたって無駄です。
そんなもの、どこにも居ない。
羞恥、屈辱、プライドなんていうキレイな感情は邪魔なだけ。
さっさと捨てれば楽になれます。
無理やり強制された事は全て受け入れればいいんです。
自分自身がそれを望んでると
思えば気が楽でしょ。要は遊び感覚で楽しめばいいんじゃないでしょうか。
我慢せずにいっちゃえばいいんです。
私はそうやって1年間の地獄を耐え抜きました。
 
 口の中が苦くなってきちゃった。
思い出すといつもこうなるんです。
あ、ごめんなさい。
ええ、大丈夫です。

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