ぬりかべさんの作品

GOLDFISH(1)


キラキラキラ・・・
太陽のひかりが反射して、金色に輝く。
「だから。
昔の人はあなた達を“金魚”って呼んだのね」
日の当たる水槽をぼんやりと眺める。
静かな放課後。

一番太いのはお腹を空かせて水面で口をパクパク。
一番長いのは大きな珊瑚の置物の前でドッシリ構えてる。
一番小さいのは元気に走り回る。

私の大事なお友達。
人間の友達なんていらない。
親もいらない。
いらない。
私も金魚になりたい。
なんて。

今日は水槽を掃除してあげるね。
ずいぶん汚れてる。
私はトイレの横の水道でバケツに水を汲み、カルキ抜きの薬を入れて、日光に当てる。
また、金魚たちを眺める。

「あなた達にも名前が必要ね」

ぼんやりしてると、薬が溶けた。
金魚たちをバケツに移し、水槽を抱えて水道へ行く。

まさに、ちょうど。
トイレから5〜6人の汚い人間達が出てきた。
人間達はすぐ、私に、かまいたがる。

「あれ?なんか臭くなーい?
と思ったら、飼育係の柳瀬さん!何してるの〜?」
聞こえない。

「ねぇ、あの小汚くて臭ぁーいお友達はどこにいるの〜?」
聞こえない。

みんな笑ってる。
聞こえない。

私があまりに無反応だから、ヤツらは強行作戦に出た。
私を無理矢理トイレに連れ込み、押し倒した。
顔をあげると上から水が落ちてきた。
水槽をひっくり返したのだ。
水が喉に入ってむせる。
小石が投げ付けられる。
水草が髪に絡まる。

「さらに臭くなったわね!
柳瀬さん、お似合いよ」
みんな笑ってる。
咳が止まらない。

面白がって、今度は服を脱がしにかかる。
抵抗は虚しいだけ。
大勢の力には勝てない。
便器のブラシで顔を擦られる。
「や、めて・・・」
笑い声にかき消される。
気付くと私は、パンツとくつ下だけの格好になっていた。

早く!早く!
私は、早くこの地獄の時間が過ぎることだけを祈っていた。

たくさんの足が私の体に降りかかる。
苦しい・・・
私は仰向けに倒れた。
モップが顔を覆い尽す。
息ができない。
笑い声が遠くなる。

突然、トイレのドアが開いて、声が飛び込んでくる。
「教室にバケツあったよ!
柳瀬さんのお友達入りー!」

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