R子さんの作品

続・告白1



 私は、私立の女子中学に勤める35歳の教師だ。
この学校もあと十日で夏休みに入る。
 私は今、生徒指導室で書類の整理に追われている。
仕事の合間、私はふと、あの少女の顔を思い出してしまう。
一月ほど前、私が保健室で痛めつけはずかしめた、まゆ子という1年生の女子生徒だ。
苦痛と恥辱に懸命に耐えていた、痛々しいほどに健気な姿が忘れられないのだ。
 あの後校内で何度かすれ違ったけれど、こちらから声をかけることはなかった。
まゆ子が私を避けている、いや私にまだ怯えているということが何となく伝わってきたからだ。
 ふふっ、かわいい子ね。またいつか、痛めつけてあげるんだから・・・。

 昼休みに用があったので、生徒指導室を出て階段を下りた。
すると、そこで階段を上ってきたまゆ子と鉢合わせをしてしまった。
「こんにちは」
 まゆ子はそう言って、会釈をした。
私は驚いた。
礼儀正しいその少女は、どの教師に対してもしっかりとしたあいさつをする。
だが、それを私に対しても同じようにするとは思わなかった。
それでも、顔を上げたまゆ子の口元は引きつっていた。
やはり、まだ私を怖がっているということは伝わってきた。
 本当に生真面目な子ねえ。だからあんな目にあったりするのよ・・・。
「ねえ」
 立ち去りかけた少女の背中に、私は言った。私はまゆ子に聞きたいことがあったのだ。
「はい・・・」
「あんなことをされて・・・それでもまだ、後悔してないの?」
「してないです」
 ためらいもなく答えた。
それでも、すぐに頬が赤らみ、それを恥じ入るかのようにまゆ子はうつむいた。
かしこくて強い子ではあるけれど、まだ12、3の少女だ。
あの体験は、そう簡単に忘れられるほど軽いものであるはずがない。
 それでも後悔していないというのか。
「約束、守ってくれましたから」
 うつむいたまま、声を絞り出すようにまゆ子は言った。
「お父さんとお母さんに黙っててもらえたから、わたしは・・・」
 その後は、言葉にならなかった。少女のまぶたから、一筋の涙がつたう。
ふと、唇のあたりが少し腫れていることに気づいた。まだ新しい。
「ねぇあなた、唇のその傷・・・」
 あれ以来、この生徒が体罰を受けたという話は聞いていない。
本来はそんな対象になるはずもない模範生だ。
この前だって、本当は体育教師の言いがかりのようなものなのだ。だとしたら、やっぱり家庭で・・・。
 まゆ子は大きくかぶりを振った。顔を上げて、か細いではあるがきっぱりと言った。
「何でもないんです。ほっといて下さい・・・」
 そう言うと、まゆ子はその場を足早に立ち去っていった。
 哀れな娘だ。痛めつけられることから逃れられない運命らしい。
可哀想に・・・ふふっ、どうせなら私に、あの必死で耐える健気な顔をまた見せてちょうだい。
 残酷な欲望がわき出てくるのを私は感じた。


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