R子さんの作品

手記(1)



「ゆか子さん、ここに来なさい」
 顧問の先生に呼ばれて、わたしは、体操部の部員達が集まっている
バスケットリングの下の辺りに行きました。
部員は全員で十五、六人くらいで、上下体操服姿で体育座りをしていました。
 顧問の先生は、20代後半くらいの女の人で、わたし達1年生の体育の担当もしていました。
先生にあいさつするように言われて、わたしは学年と名前を言って、
「よろしくお願いします」と深く頭を下げました。
 頭を上げると、先生がわたしに目を向けていました。
「これで、あなたも体操部の一員よ。だから・・・わかっているわね」
 にらむような目をしたので、わたしはビクッとしました。
「体操部は・・・特に1、2年生のうちは、ちょっと恥ずかしくて嫌なことに耐えなきゃいけないのよ。
その覚悟は、できているわね」
「・・・はい。我慢・・・します」
 わたしは、自分でも決意をかためるつもりで言いました。
それでも、これから耐えなければいけないことを思うと、とても憂うつな気分になりました。
鼓動が速くなってきた感じがして、息が苦しくなりました。
「それじゃあ」
 先生は、一瞬だけ笑みを浮かべて、またすぐに怖い顔になって言いました。
「早速だけど・・・その嫌なことを、この場でやってもらおうかしら」
 えっ、もうですか? みんなが見ている前でですか? 
そう言いたかったけれど、先生が怖くて口に出すことができませんでした。
 先生は、低い声で何だか威圧するように言いました。
「上を脱いで、素足になって、短パン一枚になりなさい」
 怖れていたことが現実になって、一瞬頭の中が真っ白になりました。

 わたしは一月前、ある私立の、女子だけの中高一貫の学校に入学したばかりでした。
入学する直前に交通事故にあって足をケガしていたわたしは、
一月の間は部活動に参加することができませんでした。
体操部に入ることは、入学する前から決めていました。
小学生の時からずっと体操をやっていて、中学で思い切り体操ができることを楽しみにしていました。
 だから・・・友達から、
「体操部って、裸で練習させられるんだよ」という話を聞いた時は信じられませんでした。
そんなことあるわけないって思いました。
 でも、その後顧問の先生に相談しに行って、本当の話だって分かりました。
「うちの部活はね・・・1、2年生のうちは、体の動きがよく見えるように、上着と靴下を脱いで練習するのよ。
あなた、それに耐えられる?」
 とてもショックでした。
いくらなんでも、中学生になってそんな恥ずかしいこと、できるわけありません。
 だけど・・・わたしの両親は、わたしに体操を続けて欲しくて、
わざわざお金のかかる私立に入れてくれました。
それに・・・他の部活はシゴキとかいじめがひどいという話も聞いていました。
だから、他の部活を考えるのも難しかったのです。
 結局、わたしは体操部に入ることを決めました。
裸で練習させられる、恥ずかしいことに耐えなきゃいけないということを承知の上で・・・。


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