S・Pさんの作品

再会 その9(仮)

この小説はえりさんの再開をS.Pさんがリレー小説として引きついた作品です。



 沈黙の中、雨音だけが辺りに響く。
その場から逃げ出したくなるような沈黙を、えりが破った。
「許すには、条件があります。」
「条件?」
俺は反射的に聞き返すと、えりはこくりと頷いた。
「木村様。私を、再び虫2号として扱って下さい。
そうして下されば、過去の事は全て許します。おねがいします、また奴隷にして下さい」
俺は自身の耳を疑った。何故?虫けら以下の扱いをしていた頃に戻りたい?何故?・・・頭が混乱する。
訳が分からないまま、俺は携帯の番号をえりに渡す。
「少し時間が経ってから連絡をくれ。」
と、だけ言い残し、俺はその場を後にした。
 混乱の中、俺は馬場に連絡をとった。
「よぉう。ユウじゃねぇかぁ。元気にしてたか?で、今日は、どぉしたぁ?」
俺はさっきまでの出来事を、思いつくままに馬場に話す。
「なるほどねぇ。お前さん、混乱しているのか?ま、取りあえず家に来なよ。
それまでに多少は落ち着いているだろぅ?」
言い終わると携帯は切れた。言われるがままに、馬場の家へ向かった。
 馬場の家に着き、チャイムを鳴らす。
ガチャっと戸が開くと、バスローブ姿の馬場がいた。
そのままリビングに通され、ソファーに腰掛ける。
「少しは落ち着いたか?で、改めて話しを聞こうか。」
俺は再び、先程のえりとのやり取りを説明した。
顎鬚を撫で、頷きながら馬場が答える。
「それってよぉぅ、お前さんが昔の世界に戻ってこいって言う、
神様の思し召しじゃぁねえのか?当の本人のお前さんは、どぉなんだ?戻る気はあるのか?」
「戻るも何も、あんな環境が今更ある訳がないだろう?」
馬場は、いきなり何を言い出すのか?と思いながらも、問われるがままに答える自分がいた。
馬場はニヤリと目元で笑いながら言った。
「今夜、再び家に来なよ。虫2号を連れてなぁ。色々と、話しでもしようじゃねぇか。」
「無茶を言うな。さっき気まずく別れたばかりだし、連絡先も分からない。」
「なら、そん時ゃぁ一人でも構わない。俺も何かと忙しいからなぁ。今宵また会おう。」
話しの全てが見えなかった。
馬場は何かを隠しているとも思った。
夜になれば分かる事と思い、馬場宅を後にした。
 一旦、家に戻り、午前中の出来事を頭の中で整理し考えた。
謎ばかりが頭の中を廻る。
そんなこんなで時を過ごしていると携帯が鳴った。
電話に出てみる。
「もしもし?」
「木村君?さっきはごめんなさい。突然変な事を言って・・・」
えりからだった。
「否、良いよ。こっちも混乱しててさ。
どう対処したら良いのか分からなくって、あんな事になったけど・・・そうだ。
今夜もう一度会えないかな?あの後、馬場と会ったのよ。
えりと話しがしたいって言ってた。
無理には誘わないから、嫌ならいいよ。馬場も出来ればって、言ってたし。」
「分かりました。何時頃、待ち合わせしますか?」
意外だった。断るとばかり思っていたが、あっさりとOKだった。
待ち合わせの場所と時間を決めて、電話を切った。
何故OKしたのか?色々と考えたが、答えは見つからない。
 待ち合わせの場所に行った。
えりはもう来ていた。
午前中の会話の意味をきいてみたが、答え辛そうだったので、馬場の家で何かあったら俺が守る。
と、だけ伝えた。二人で馬場邸へ向かう。
今にして思えば、この後に開く扉が復活への扉だったのかもしれない。


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