タカさんの作品

班長には逆らえない


<11>

 ロッカー室で何があったか良く知りませんが、あの後から、由香里ちゃんの態度は益々大きくなり、
自信に満ちたものに成ってきました。
特に、福村さんに対しては凄いんです。
ちょと前まで「郁子先輩」て言っていたのが今では「郁子!」と呼び捨てで完全に顎で使ってます。
福村さんの方も由香里ちゃんに対してはもうペコペコしちゃってて全然昔の態度ではありません。
だけど、私や小夜子さんに対してはあまり以前と変わりなく接していました。
私もその方が良かったんですけど・・・・。
 
 「福村さん、大変ですね。」と私は近づいて行って小さく声をかけました。
「そんな呼び方しなくったっていいわよ。怒られるよ。」
「大丈夫ですよ。 聞こえてないですよ。 それより、頑張って下さいね。 私、今からコピー撮りに行くんですけど、
何かあったら一緒に撮って来てあげますよ。」
「有り難う。 それじゃ、此れと此れは二枚ずつ。
そして此れは一枚でいいわ。宜しくね。」と済まなそうに小声で頼まれました。
私は、福村さんの手助けになって喜んでくれると思ってして上げたんですが・・・・。
 この光景を由香里ちゃんはチラチラと見ていました。
私がコピー室から戻ってコピーの束を福村さんにそっと手渡した時、「郁子!」と由香里ちゃんの怒鳴り声です。
福村さんは「ハイ!」と勢い良く返事をしたきり、
(どうしたんだろう。何なんだろう。何か失敗でしでかしたかなとオロオロした態度をしていると、
「お前見習いでしょ!」と声を荒げて椅子から立ち上がって「な〜に上司にコピーなんか撮らせてんのよ!」と
口を尖らせて私達の所にやって来ました。
「それは、副..いや、郁子が頼んだんじゃなく、わたしが勝手にお節介で撮ってきてあげたんだから、
そんなに言わなくても・・・」
「美佳先輩は黙ってて。私は郁子に言ってるんだから。」と私の口を遮っておいて
「お前上司に対して尊敬の念を持って接してるの?」と問われて、入社してまだ数ヶ月しか経っていない、
しかも三つも年下に嫌悪こそ抱けど、とても尊敬など持てるはずもなく「はい」と言えずに黙って俯いていると
「ドウなのよ! 返事できないの? だから平気で上司にコピーなんか頼めるんじゃないの?」
「・・・・」 福村さん、なにも言い返す事ができません。
「お前ネ〜、もう少し自分の立場考えて行動したら? 顧客も持たされていない、
アシスタントの下の見習いなんだよ、お前は。 分かってんの?」 福村さん可哀想です。
『悔しくて、悔しくても反論できない自分の立場に涙をグッと抑え、堪えるしかないんだもの』と思っていると、
今度は私に「美佳先輩。 コピー撮りなんかアシスタントにやらせないと駄目じゃないですか。
そんなに暇なんですか?」
「そ、そんな事ないけど。」と咄嗟の返事に戸惑いながら答えると「それじゃーアシスタントをうまく使わないと。」
と言い終わると今度は小夜子さんの方を見て「あなたもそれぐらいの気配りがないと駄目じゃない!
正木さんが仕事し易いように動いてあげるのがアシスタントでしょう
そういった先を読んだ気使いできなくちゃ駄目じゃん。
だからアシスタントまで落されたんじゃないの? あなた、元ここの班長だったそうね。
ちゃんとしなさいよ!」 言っちゃいけない事まで嫌味たらしく言うもんで
私はハラハラしながら気まずい雰囲気の中、どうしようと戸惑っていました。
でも、流石 、小夜子さんは大人です。あんな挑発に乗らずに黙って我慢していました。
この時までは。

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