tikoさんの作品

実験の館1


 ミカはいつも通りテニスコートに足を運んでいた。
高校2年の夏休みももうすぐという、初夏の頃。
テニスラケットを片手に、少し先のテニスコートに目をやる。
そこでは部活仲間がすでに何人か集まっており、おのおの話をしていた。
テニスコートに近づくミカに、その中に一人が気づき「おーい!」と手を振って呼んでいる。
ミカは小走りにコートに向かった。

 ミカ「なに?」
部員A「ミカ聞いた?1年のサナエちゃん」
ミカ「サナエちゃんがどうかしたの?」
部員B「ほら、先週から部活来てなかったじゃない。どうやら家出しちゃったらしいわよ」
ミカ「家出?そんな事するタイプかなぁ」
部員A「でも、部活だけじゃなくて学校自体に来てないんだって!家に電話してみたら結局ずっと
帰ってないってのが分かったみたい」
部員B「そうそう、母親の携帯にメールで”しばらくそっとしておいて。しばらくしたら帰るから”って、
サナエちゃんから連絡あったらしいよ」
ミカ「そうなんだ。困るわねぇ!夏休みには大会があるっていうのに…」

 それからすぐに顧問がやってきて部活動がはじまった。
 
 部活を終えたミカは、下校の道すがらサナエの事を考えていた。
明るく天真爛漫なサナエがどうして家出などしたのか?
実は密かに悩み事でもあったのではないか?
入部から何かと面倒を見てきたミカにとって、サナエの家出はショックな出来事であった。
そんな事を考えながら歩いていたせいで、ふとすれ違いの男性にぶつかってしまった。

 ”ドン!”
ミカはしりもちをついた。相手の男性もふらっとよろけて転んだ。
ミカ「…痛って〜…」
男性「…大丈夫?」
ミカ「あ、こちらこそすいません」
男性「・・・!!あ!!もしかして、山本ミカさん?」
ミカ「え?あ、そ、そうですけど・・」
男性はおもむろにスーツのポケットから写真を取り出した。
その写真は、今年の春にテニスの親善試合を終えた後、部活のみんなで撮ったものだった。
男性「実は、この写真は中村サナエさんから預かったものなんですが」
ミカ「サナエちゃん?!」
さっき家出の話を聞いたばかりだったミカは、いきなりの事にとにかく戸惑っていた。
男性「どうやら、僕の知り合いの家に勝手に上がり込んでしまって、もう1週間も帰ろうとしないらしくて…。
説得したらこの写真に写っているあなたを指差して、話をしたいと。
連れてきてくれたら考える、と言っているそうなんです」
明日は土曜。急いで帰ることもないと考えたミカは、その男性について行くことにした。
それにしても、サナエはいったいどうしたのだろう?
ミカの胸は高鳴っていた。


メニューへ 妄想小説へ 次へ進む

動画 アダルト動画 ライブチャット