ゾロさんの作品

班長には逆らえない


<10>


「ほら、ひとみ、いつまで尻の穴丸出しにしてんの?ここに座りなさい。佑子達もこっち来て」
 紀子は、長椅子に腰掛けて、目の前の床にひとみを正座させて、佑子と由香里を自分の隣に来るように言った。
 長椅子に紀子、佑子、由香里が座り、前の床にひとみが下半身裸のまま正座させられている。
「ひとみ、半年前は、逆だったよね」
「はい……」
 ひとみは、うつむいたまま唇をかんだ。
「人の顔見て返事しなさいよ」
「あ、はい……」
 ひとみは、少し怯えた泣きはらした目で紀子を見た。
「ひとみ先輩、怖かったな〜〜〜、『紀子、こっちいらっしゃい!』って、ここに連れてこられて、
パンツ脱がされてお尻叩かれて、泣いて謝ってるのに許してもらえなかった」
「……」
「あのとき痛かった〜〜〜、ひとみ先輩のこと怖くて顔もみられなかった」
「……」
「ひとみ、せ、ん、ぱ、い」
「うう……昔のこと……」
「ん?昔のことは言うなって?」
「あ、いえ、すみません……」
「そりゃあ、そうよね〜〜〜、昔と比べるとみじめ過ぎるもんね〜〜〜せんぱい?」
「うう……」
「ひとみせんぱい、私のこと怖い?」
「え、あ、はい……」
「年下の後輩に叱られて泣かされるの、怖い?」
「はい……こわい……です……」
「じゃあ、何度もドジ踏んでないで、ちゃんとやれよ!こら!」
「ひっ!はい!ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……」
 ひとみは、ぴくっとはじかれたように何度も頭を下げて謝った。
 紀子に頭を叩かれて大声で怒鳴られて、完全に怯えている。
 半年前の威厳もへったくれもないみじめな姿である。
「でも、こんだけみじめに叱られても、またやるんだよね」
「も、もう、しません……」
「おまえのそのせりふ、聞き飽きたよ」
「すみません……」
「今度へまやらかしたら、どうしてやろう。ねえ、佑子なんかいい罰ない?」
「そうだね〜、余程の罰あたえないとひとみのドジは治んないよね〜〜〜」
「……」
 19歳の佑子に馬鹿にされても、ひとみは、じっと耐えるしかない。
「真っ裸で仕事させるのは?」
「ははは……それ、いいかもしんない」
 由香里が調子に乗って口に出した提案に紀子が笑いながら同調する。
「ひとみ、由香里が素っ裸で仕事しろってよ。ひとみにぴったりの罰よね」
「え……そんな……」
「今度の罰は、素っ裸に決定!」
「え?そんなのできません……」
「下半身丸出しのくせに、何言ってんの?」
「あ、恥ずかしい……許してください……」
「由香里に言いなよ。由香里が提案したんだから、由香里に取り下げてもらわないと実行することになるよ」
「でも……」
「ていうか、もうドジ踏まなきゃいいんじゃん」
「はい……でも……」
「自信ないの?」
「……」
「いい年して、またドジ踏んでお仕置きされるかもしれないって思ってるの?」
「は、はい……」
「おまえ、ばか?」
「……」
 ひとみは、うつむいて震えている。いくら上司とはいえ、年下の紀子におまえ呼ばわりされて、
ばかと言われるとさすがにこたえた。
「今から、素っ裸になる?」
「え?いやです……」
「じゃあ、由香里に許してもらいなよ。『もう、ドジしませんから素っ裸で仕事するのは許してください』って」
「そ、そんな……」
 ひとみは、100歩ゆずって、紀子に許しをこうのは、仕方のないことだと理解できる
が、無関係の後輩に頭を下げるのは納得がいかない。
「由香里のこと、私だと思ってお願いしなさい。私の代理だからね、由香里は……」
「く……はい……」
 ひとみは、由香里の可愛らしい顔を見上げて、決心しようと努力したが、くやしさが前面に出てしまって
由香里の顔をにらみつけてしまった。
「ひとみ先輩、こわ〜〜〜い、なに、その目〜〜〜」
「……」
「素っ裸になってもらおうかな〜〜〜」
「あ、由香里さん……」
「なに?ひとみせんぱい」
「あっと……由香里さん、あの、許して……」
「ねえ先輩、由香里様って言ってみて。ものを頼むときは、それくらいの方がしっくりくると思いますよ」
「そんな……」
 ひとみは、さらに自分を屈辱のどん底に陥れようとする由香里が怖くなってきた。
「ははは……由香里、いじわる〜〜〜」
「そうよね〜、人にものを頼む時はそれくらいでないとね〜〜〜」
「ほら、ひとみ、由香里様にお願いしなさい」
 紀子と佑子が面白がって、はやし立てる。
 ひとみは、信じられない屈辱で体を震わせて、すすり泣いている。
「ねえ先輩、泣いてないで早くお願いしたら?さっさと終わらせてパンツはきましょうよ」
 由香里がサディストの目になって、ひとみの髪の毛を掴んで顔を上向かせ、顔を近づけて囁いた。
「ああ……」
「さあ、早くお願いしなさい、ひとみせんぱい、ぐずぐずしてんの嫌いなの、わたし」
「……」
 目を見開いて、由香里の顔を信じられない気持ちで見つめていたひとみは、徐々に追い詰められて、
怯えた表情になってゆく。
「さあ、はやく……怒るわよ」
「あ、はい……すみません……」
 紀子と佑子は、意外な展開に目を丸くしてお互いの顔を見て首をすくめた。
 ロッカー室の空気が張り詰めて、由香里のペースになっている。
「お願いがあるんでしょ?ひとみ」
 由香里は、ひとみのあごに手を掛けて、ぞっとするような冷たい視線でひとみを見下ろした。
「あ、はい、由香里様……もう、ドジはしません……しませんから……裸で……裸で仕事させる罰は許して……
許してください……お願いします……」
「どうしようかな〜〜〜」
「由香里様……」
「ふふふ……許してあげる、ひとみせんぱい」
「あ、あう……」
 由香里に頭を撫でられて、安堵感もあってか、ひとみの目から大粒の涙があふれた。
「お礼は?」
「え?」
「許してもらったお礼でしょ?そんなこともわかんないの?ひとみは……こら!」
 由香里が馬鹿にしたように、ひとみの頭を小突きながら言う。
「あ、ありがとう……ございました……」
「ん?誰に言ってるのかな?」
「え、あ、由香里さん……です……」
「誰だって?」
 由香里は、大仰に耳に手のひらをかざして、わざとらしく聞く。
「あ、すみません……由香里…様……です……」
「誰が許してもらうのかな?」
「わ、私です……」
「ん?聞こえない」
「私です……」
「違うでしょ?27歳のドジな私でしょ?」
「あ、はい……」
「最初からどうぞ、せんぱい」
「はい……由香里……さ…ま……27歳の…ドジな私を許してくれて、ありがとうございました……うう……」
「あ〜あ、泣かせちゃった。由香里っていじわるなんだ〜〜〜」
 あきれたように紀子が由香里の顔を見て言った。
「紀子さんが、やらせたんじゃないですか〜〜〜、私、紀子さんの言うとおりにやっただけです〜〜〜」
「でも、すごいいびりだよね〜、由香里」
 ひとみは、三人の軽口を聞きながら、屈辱に耐え切れず声を出して泣いている。
 みじめな自分がくやしくて、三人の年下の後輩に見られながら泣いている。
「ひとみ、反省した?」
 紀子が、ひとみの泣き声をさえぎるように聞いた。
「あ、はい……」
「今回は、いつもよりきつかったもんね。ドジなひとみでも、こたえたでしょ」
「はい……」
「二度とへまやらかすんじゃないよ!」
「は、はい!」
 紀子の声の調子がきつくなると、ひとみは、はじかれたように背筋をのばして、怯えた声で返事をした。
 おどおどとして、先輩としての威厳など全く無く、後輩の叱責に怯えて、従順に後輩の命令に従い、馬鹿にされる……
 ついこの間、入社して挨拶にやってきた、新人の、全く無関係の由香里までもが怖くなって、
逆らえない気持ちになってきた。
「ひとみ、これから凸凹運輸に行って謝ってきなさい。
私が行ってもいいんだけど、あなたのためにならないし、自分の不始末は、自分でけじめつけて来なさい」
「はい……」
「ほら、急いで!」
「は、はい」
 ひとみは、急いでロッカー室を出て行こうとドアノブに手を掛けた。
「あ!」
 下半身裸のままで外に出るところだった。
「ははは……ひとみ、どうしたの?」
 紀子が笑いながら、わざとらしく聞いた。三人の笑い声が響く。
「あの……パンツ……」
 ひとみは、ドアの前で立ちすくんで恥ずかしそうに言う。
「あはははは……ドジねえ、ひとみは……下半身裸で事務所に戻るかと思ったよ」
「……」
 ひとみは、顔を真っ赤にして陰毛を両手で押さえ、うつむいて立っている。
「スカートはいらないの?」
 佑子がひとみの脱いだスカートをひらひらさせて言う。
「いります……」
「はははは……笑っちゃうよ、こいつには」
「ひとみ先輩、お尻丸出しじゃあ、風邪引いちゃいますよ」
 ロッカー室に三人の笑い声が響いた。
「はい、せんぱい忘れ物よ」
 ドアの前のひとみのところへ由香里がスカートと脱いで丸まったパンストとショーツを持っていった。
「あ、どうも……あ!」
 ひとみがそれを受け取ろうとすると、由香里は床にわざと落とした。
 ひとみは、しゃがんで床の上のスカートに手を伸ばしたとき、
由香里がスカートを室内履きのサンダルで踏みつけた。
「!」
 ひとみは、あまりの仕打ちに驚いて由香里を見上げた。
「ふふふ……冗談ですよ」
 由香里は、不敵な笑みでひとみを見下ろしている。
 ひとみは、由香里に得体の知れない恐怖感を抱いた。この子、怖い……


つづく

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