セブンティーン
<16>
翌日、典子と美紀は、彩に呼び出された。
裕子を連れてくるように言われている。
中3の典子と美紀が中1の彩の命令に逆らえないのは、同級生の美咲と香の存在がある
からである。
美咲や香に逆らって、ぼこぼこにされて泣きながらパシリにしてくださいってお願いす
る同級生や先輩を何人も見ているので、逆らう気はさらさらない。
ぼこぼこにされる前に自分の意思で美咲と香に媚を売って、パシリになっている典子と
美紀なのだ。香の妹の彩に逆らえないのは当然のことなのである。
彩の家に着いた典子たちは、彩に招き入れられて部屋に入った。
「入りな」
「はい、失礼します」
「ねえちゃんは、塾行ってるから、安心しなよ」
部屋に入ると、彩のベッドに見知らぬ少女が座っている。
彩はその少女の隣に座り、典子たちに床に座るように言った。
「この子はね、智美って言うの」
「……」
智美は、無言で典子たちを見下ろしている。
「智美とはね、街で知り合ったんだ、なんとなく馬が合ってね」
「そうなんですか…」
典子たちは、床に正座したまま、彩の言うことに相槌を打っていた。
「ねえ、こいつら挨拶もできないの?」
智美は、足で典子たちを指差しながら横柄に言った。
「そうだね、挨拶してないね、お前ら挨拶ぐらいしろよ」
「あ、はい、あの、智美さんって、何年なんですか?」
典子にとっては、彩に命令されるのは、仕方ないとしても、見知らぬ少女にまで頭を下
げるのは、耐えられないと思っていた。
「うっせ〜、何年でもいいだろ、挨拶しろよ、ボケが」
「あ、すみません……」
智美の一喝に典子は、気おされて謝ってしまった。
「智美は、私と同級生だよ、A学院中等部の1年、年下に挨拶すんのいやなんだ、典子」
「あ、はい、いえ、智美さん、典子といいます、よろしくお願いします」
典子は、面倒くさいことになる前に、口惜しいのを我慢して、ペコリと頭を下げた。
「典子か、よろしく」
智美は、横柄な態度で言う。
「お前は?」
智美は、今度は、あごで美紀に挨拶を促した。
「はい、美紀です、よろしくお願いします」
「ほい、そいつ」
「裕子です、よろしくお願いします」
「ところでお前ら、何年?」
人には、聞くなと言っておきながら、自分は聞く。
それに逆らえないのが、典子たちの辛さである。
「典子」
「はい、V女中等部3年です」
「2こ上か……美紀、お前は?」
「はい、私もV女中等部3年です」
「ふ〜ん、お前も?」
「いえ、私は、S女1年です」
「高校なんだ」
みんな自分より先輩だと聞いても、さげすんだ目は変わらない。
「こいつらみんな、私のねえちゃんとねえちゃんの友達の美咲さんのパシリなんだよ」
彩が誇らしげに自慢する。
「へ〜〜〜すごいね」
「すごいっしょ、美咲さんのには、高校生の奴隷とか、大人の奴隷とかいるんだよ、裕子
もその一人だけど、一番下っ端だから、私が調教任されたんだ」
「すごい」
「この街で、美咲さんと私のねえちゃんに逆らったら生きていけないんだよ」
「私も?」
智美は、少しムッとした表情で聞いた。
「やだ、智美は友達じゃん」
「よかった」
智美は、まだ不満げな表情をしている。この街を彩の姉とその友人が占めているって、
納得が行かなかった。
自分の不良仲間の先輩たちの立場はどうなるんだと釈然としない気持ちが続いていた。
「そうだ、裕子の調教を典子と美紀に丸投げしてたんだった、典子、裕子に何かやらせて
みろ」
「はい、裕子、全裸!」
典子は裕子に向き直って、全裸になるように命じた。
裕子は、彩にぼこぼこにされてからは、度重なる暴力と人格を無視された命令をこなす
うちに、すっかり従順になっていた。
人間としての思考が止まっているので、屈辱を感じることもなく、ただ、命令を忠実に
こなすことが、唯一のやすらぎになっている。
逆らわなければ、必要以上の屈辱や苦痛を受けることもないからである。
裕子は無表情のまま全裸になって、典子の前に正座した。
「お座り!」
裕子は、すばやく犬のお座りの姿勢を取った。
「お手!」
「おかわり!」
「ちんちん!」
「おまわり!」
裕子は、次々と命令されることをこなしている。
智美は、目を丸くして、中3の命令に従う高1の全裸の裕子を見ている。
「へ〜、よく教育したじゃん」
「ありがとうございます」
彩の言葉に典子が頭を下げてお礼を言う。
「まじ〜?」
智美が、汚いものでも見るように裕子を見ている。
「はい、こいつ、絶対逆らいませんよ」
典子が智美を振り返って言った。
「ほんと?」
「はい」
智美は、半信半疑といった表情で、裕子を手招きした。
「ほら、こっち来い、裕子」
「はい」
裕子は、智美の前に正座した。
バシッ!!!
智美が、裕子の横っ面を思いっきり引っ叩いた。
「ありがとうございます、智美様」
「まじかよ、こいつ、ビンタされてうれしいの?」
「はい、うれしいです」
「きもっ」
ぺっ
智美は、裕子の顔に唾を掛けた。
「きもいよお前」
ぺっぺっ
「ああ、ありがとうございます、智美様」
「もういいよ、あっち行け」
智美は、裕子の顔をルーズソックスの足で押して、裕子を転倒させた。
裕子は、潰れたカエルのように大また開きで倒れたが、すぐに四つんばいになって、部
屋の奥へ這って行った。
「お前ら、こっち来い」
「はい」「はい」
智美が、典子と美紀を呼んだ。
「お前らが、裕子をあんな風にしたんだ」
「いえ、あの、彩さんに命令されて、調教したんです」
「命令されたにしても、お前らがやったんだろ?」
「はい」
「お前がやられたらどんな気持ちがするよ」
智美は、典子のあごに手を掛けて詰問する。
「私がやられたら……いやです」
「お前は?」
今度は、正座する美紀の太ももにルーズソックスの足を乗せて聞く。
「ああ、はい、私もいやです」
「お前ら、ひどいことするよな」
「あ、いや、だから、彩さんの命令なんです」
「うるせえ!お前ら、全裸!」
「え?あ、え?」
「彩さん……」
典子と美紀は、助けを求めるように彩の顔を見た。
しかし、彩はにやにや笑うだけで、突き放した。
「智美が脱げって言ってんだから、脱げば?」
「え?」
「お前ら、命令が聞けねえのかよ!」
「ひっ、いえ、あ、脱ぎます」
典子と美紀は、なんで知らない年下の子に命令されて全裸にならなきゃいけないのかと
思いながらのろのろと制服を脱ぎ始めた。
「ぐずぐずすんなよ!こら!」
「は、はい」
全裸になった典子と美紀は、並んで気をつけの姿勢を取らされた。
目の前に智美が立って、二人の顔を交互に見て言った。
「お前ら、年上をいじめて喜んでたけど、今、年下に全裸にさせられた気分ちはどうだ」
「は、恥ずかしいです」
典子は、自分より小さい智美に見上げられて、なんとも情けない気持ちで言った。
「お前は」
「はい、私も恥ずかしいです」
美紀も少し震えながら、うつむいて言った。
「裕子の気持ちがわかったか」
「はい、でも、彩さんの命令でやっただけです」
「こら、お前、年下の彩のせいにすんのかよ」
「だ、だって……」
「お前、彩よりおねえさんだろ?」
「は、はい」
「おねえさんが、年下の女の子に罪を押し付けんの?おかしいだろ」
「え?は、え?」
「おかしいだろ!」
「は、はい、おかしいです!」
「誰が悪いんだよ!」
「あ、え、あ、えっと……」
「年下には、正しい道を教えなきゃいけない立場の典子と美紀が悪いんだろ?」
「?ん?え?はい、私たちが?」
「どっちなんだ!!!」
「はい!私たちが悪いです!」
訳がわからないまま、押し切られた感じで、典子と美紀は頭を下げた。
彩は、ベッドの上で笑い転げている。
「お前ら、自分の罪を認めるんだな?」
「あ、はい」「はい」
認めてしまった……
「反省してるのかよ」
「はい」「はい」
「罪を償うか」
「はい」「はい」
「お前ら、いつも仲いいのか」
「はい」
「典子は美紀が好きか」
「あ、はい、好きです」
「美紀は?」
「好きです」
「お前ら、仲良しなんだ」
「はい」「はい」
「じゃ、レズれ!」
「へ?」
「お互い好きなんだろ?」
「あ、はい、好きですけど、それは、友達として…というか…」
「うるせえ!キスしろ!」
典子と美紀は、顔を見合わせて、顔を赤らめて、お互い目をそらせた。
「何、照れてんの?お前ら、さっさとやれよ」
「でも……」
「やれ!!」
「はい、美紀、行くよ」
あきらめた典子は、目を閉じて美紀に抱きついて唇を押し付けた。
「あ〜はははは…キスしたよこいつら」
「お前ら、レズだったのかよ」
年下の子に笑われながら、典子と美紀は唇を合わせて、屈辱に震えている。
典子と美紀は、彩と智美にからかわれながら、その後もお互いのオマンコを舐めさせた
り、肛門に指を入れさせたり、信じられない屈辱を受け入れた。
裕子は、部屋の奥で全裸の正座で、二人のレズプレイを無表情で見つめていた。
典子と美紀は、智美にビンタされて泣きはらした顔で智美の足にキスして、もう二度と
年上をいじめないことを約束させられて、開放された。
帰り際、彩に裕子の調教を引き続き頼まれた。
この矛盾を指摘できる立場にない典子と美紀は、受け入れる他はない。
つづく