どらごんさんの作品

性奴系図外伝(佐藤敬吾篇)

第3章  脆い友情


その夜。
山野邸の広大な庭で、料理を並べたテーブルはつつじを鑑賞できる位置に置かれている。
男女が続々と集まってきていた。
「ほんとうに藤川さんを見たときはびっくりしたわ。
ボディペイントしてて、歩行者天国のところで、排便しちゃうんですもの」
地味な風情の中年女性が同じような年頃の女性の集団にまくし立てている。
「私も矢野さんと一緒に見たんですの。目が点になってしまいましたわ」
別な中年女性が同調する。
矢野文枝と墨田貴子は繁華街で買い物をしているときに、瑠美たちに引き連れられた
圭子を見かけたのであった。
文枝と貴子は圭子と同じスポーツジムに通っていた。
スポーツジムの仲間同士で、山野瑠美からの招待に応じたのである。
同じスポーツジムからは十人程度参加していた。
「でも、私は信じられないよ。あんな高貴な圭子さんが性奴隷になるなんてね」
女性弁護士である棚橋澄子が文枝たちの話に懐疑的な視線を向けた。
「他人の空似じゃないの?まさかね……」
圭子の夫が破産したとき、圭子から澄子に法律的な件で相談を受けたものの、
ほとんど圭子の苦境を救えなかったことを申し訳なく思っていたと澄子が言った。
「私も信じられないよ」
会社を経営している土屋由香も目をひそめた。
「本当に、圭子は性奴隷なんですよ」
中年女性たちの会話を立ち聞きしていた高校生の瑠美が話しに割って入ってきた。
「私の言うことを何でも聞いてくれますよ」
瑠美は丁寧な口調で応対する。
「本当にあの圭子さんが奴隷やっているの?」
スポーツジムで毎日のように圭子のトレーニングを見ていた玉井春実が口をとがらすようにして聞いた。
「本当ですよ。もうすぐ分かります」
瑠美は自信満々で言った。
「それにしても、佐藤。お前はよくこのような短期間でこんな多くの人間の連絡先を調べ上げたな」
慶蔵が招待客を見回して、敬吾の調査能力を誉めた。
「旦那様。旦那様のお言いつけを守っただけでございます」
敬吾は表情を動かさず静かに頭を下げる。
強烈なサーチライトに、圭子は立ちくらみを覚えた。
また今日も大勢の招待客の前で晒し者になるのである。
圭子はあわれにも全裸姿である。大きくなった腹部をかかえ俯きながら歩いている。
股間を惨めにも貫くリングに通された紐を家政婦である雅代に引かれて客たちの前に引かれてきた。
「ああ、圭子さん、まあ、なんてあさましいお姿に」
スポーツジムで圭子と仲の良かった重役夫人の千村梨佳が悲痛な声を上げた。
聞きなれた梨佳の声で圭子が顔を上げた。
「あああ……そんな……ああ……恥ずかしい……」
性奴としての生活に慣れ切ったはずの圭子も、かつての仲間たちの目の前で恥ずかしい姿を晒すことに、
封印していたはずの羞恥心が蘇ってくる。
圭子は恥ずかしさのあまり、思わず股間を手で隠して、立ち止まってしまったが、
先を歩く雅代に淫核を強く引っ張られ、ちぎれるかと思うほどの激痛に身がよじる。
その圭子の姿を見て、鶴代たち旧藤川建設社員たちがからかうような声を上げた。
その嘲りの声が圭子の心に突き刺さる。
「皆様、ようこそ。今日は楽しいショーをご用意しました」
主人の山野慶蔵が来客に挨拶する。
「圭子、皆さんにご挨拶しなさい」
家政婦兼調教師の明美の鞭が圭子の尻にぴしりと当てられた。
圭子は土下座して、性奴としての挨拶を口にする。
圭子はあまりの羞恥に身体ががくがく震え、舌がもつれながらも、しつられた挨拶を口にする。
「本日は、このいやらしい牝奴隷圭子のみだらな肉体をこころゆくまでご堪能下さい」
もう十年以上も法律の世界に身を置いていた澄子も、あまりの光景に言葉も出なかったが、
法律家としての良心がかろうじて、
「圭子さん、何を言っているの。かわいそうに。
貴女は犯罪被害者だわ。これは強制わいせつよ」という言葉を叫ばせた。
だが、澄子の叫びは山野一家や鶴代たちから嘲笑をもって迎えられた。
慶蔵は山野財閥総帥としての貫禄を静かに見せながらも、澄子に微笑んだ。
「圭子のアソコを御覧なさい。アソコの毛も剃ってしまっているし、ほら、見なさい。
濡れてきているでしょ、こんなに」
慶蔵は圭子を立たせると、足を広げさせて、股間の女の部分が丸見えになるようにした。
確かに、圭子の蜜壷は甘い蜜であふれんばかりになっている。
「まあ、いやらしいわね。圭子さんがこんなひとだなんて……」
会社経営者の由香も驚きの表情をしながらも、股間を食い入るようにして見ていた。
「圭子ちゃん。何なのよ、これ。それに貴女は妊娠しているの?」
高校時代の圭子の親友だった友永博子が久しぶりに会う親友の変わり果てた姿に当惑していた。
「そうなんです。誰の子供だと思います。なんと自分の息子の子を妊娠しているんですよ」
無言で俯いている圭子に代わって、瑠美が応えた。
「ま、まさか」
「圭子はそういう淫乱な女なんですよ」
驚きのあまり言葉のない博子に対し、瑠美は言い切った。
「ほら、見てください。圭子はね、こんなに、いっぱい濡らしているでしょ」
瑠美は圭子のびらびらを捲り、花核のリングを指で弄んだ。
博子の圭子に対する視線がみるみる軽蔑の視線に変わって行った。
「あーあ。圭子ちゃんの正体がこんな変態だったなんて。田舎のみんなが聞いたら、びっくりすると思うわ」
博子はぴしゃりというと、圭子の元を離れた。
圭子の双眸から涙がぽつりと垂れた。
「圭子、また友達なくしちゃったね」
瑠美がからかうように圭子を見た。
恥辱に満ちた淫芸を圭子は次々に披露していく。
当初は引き気味であった観衆も、圭子が被虐の美に肉体を紅く染めていくのに比例して、
圭子の痴態ぶりに興奮するようになっていた。
鶴代たち旧藤川建設の社員たちがかつての社長夫人の転落振りを楽しんで嬉々としていたぶるのに、
他の招待客も群集心理で影響されているのも大きかった。
圭子もさすがにかつての仲間たちの前で淫芸をしていくのはつらかった。
屈辱に歪み、被虐の快感に打ち震え、また恥辱に顔を紅くしたりと、
圭子の表情が猫の目のようにくるくると変わっていく。
「ああ……つらい……」
圭子はつらさを感じながらも、肉体は快感に打ち震え始めている。
圭子の吐く息は甘くせつない。
圭子のその当惑した表情が慶蔵や瑠美にとっては楽しくてしかたがない。
他の招待客と比べ、澄子はまだ釈然としない表情をしていた。
「お姉さま。まだ何かご不満なことでもあるのですか」
高校生の瑠美がテーブルの片隅で表情を硬くしながら、淫靡なショーを見ている澄子に話しかけた。
澄子は三十代半ばとはいえ、まだ独身のせいか十歳近く若く見えた。
「こんな、こんな卑猥な見世物は許されるべきではないわ」
澄子の声は怒りで震えている。
「しかたないですわね」
瑠美は澄子をすぐ側の木陰まで誘導すると、澄子の清楚なスカートの中にいきなり手を突っ込んだ。
「何をするのよ」
瑠美はかまわずに、そのまま澄子の下着の中に手を入れた。
「なんだあ、お姉さまも楽しんでいらっしゃる。その証拠に、ほら」
大人びた態度から高校生のような無邪気な表情に一変させた瑠美は、
透明な粘液で濡れる指を澄子に突きつけた。
「あ……そんな」
澄子ははずかしさのあまり顔を真っ赤にした。
青春時代を勉強一色でつぶし、また弁護士になってからも激務に追われていた澄子は
清楚な雰囲気を持つにもかかわらず、
男性とのつきあいはほとんどなかった。
「お姉さまは頭がいいんだよね」
瑠美はいたずらっぽく微笑んで、澄子を見つめた。
「お姉さま。私の部屋で勉強を教えてくださらない。お願いしますわ」
瑠美は俯いたまま無言でなすがままになっている澄子の手を取って、屋敷の方へと歩いていった。

やがて1時間ほどが経ち、圭子の恥ずかしいショーも終わりに近づいていた。
「そういえば、澄子さんはどうしたのかしら」
由香が他のジム仲間に尋ねたが、だれも知らなかった。
「あ、あそこにいるわ」
澄子は屋敷の方から歩いてきていた。
心なしか歩幅が乱れ、いつもはきちんと整えられた髪もほつれている。
「ど、どうしたの?疲れているみたいだけど」
「な、何でもないわ」
澄子の目はどことなくとろんとしていた。
警視庁の出井智也警視正は、かなり大きなヤマを追っていた。
闇社会で暗躍しているという大掛かりな人身売買組織のことである。
国内の暴力団だけではなく、海外とのリンクも噂されていた。
今の段階では、あくまでも噂の域を出ていない。
ただ、山野慶蔵という名前が複数の出井が付き合っている情報屋から漏れ伝わってくるのである。
(情報屋からの情報だと、多くの人身売買案件に山野慶蔵が関与しているようだが……。
ただ、身柄を押さえるだけの証拠がない)
出井は天井を仰いで嘆息した。
(そうだ、思い切って当ってみるか…………)
出井警視正は慶次を訪ねた。
暑さで、ほんの十分ほど駅から歩いただけで、出井のワイシャツは吹き出した汗で重くなっていた。
二人は市庁舎の屋上に近いところに位置している喫茶室で会っている。
「君がこんな郊外までやって来るなんて珍しいな」
慶次は、出井の大学の先輩であった。
「実は、先輩」
まだまだ日は高いが、すでに退庁時間まで1時間ほどしかない。
喫茶室には二人以外にほとんど人がいなかった。
出井はいちかばちか賭けてみることにした。
出井が声を細めて語りだした。慶蔵の人身売買疑惑の件についてである。
慶次の顔色が変わった。
「このままでは山野家もおしまいですよ。今の時代は、もう政治権力で抑えきれるもんじゃないでしょう」
確かに出井の言うとおりであった。
あくまで慶蔵の周囲でしか慶蔵のいかがわしい趣味が知られていないと思っていた
慶次はショックを受けている。
慶次は呻いた。
「考えさせてくれ、出井」
出井は深々と先輩に対して礼をした。
数ヶ月が経過した。
慶次は東京の中枢に位置している与党本部に行った。
大物政治家の笹村佳泰を訪ねたのだ。
かつて幹事長や大臣も経験したこともある笹村は、与党でもかなりの実力者であった。
笹村の父親は慶次の祖父とは親交が深く、笹村家を山野財閥はかなり資金的にも支援してきていた。
出井との約束もあり、出井が話したことは慶次の胸に留めておくつもりであったが、
慶蔵について、笹村がどのように感じているのかを探りたかったのである。
「慶次はん、お兄ちゃんの悪い趣味はバレないようにせなあかんで」
笹村が向かい合わせに座っている慶次の膝を叩いた。
「せっかく慶次はんはクリーンなイメージ持っとるのに台無しやで、ホンマ」
次の衆議院での出馬に関心を示している慶次にとっては、与党のバックアップを得るためにも
笹村の支援は不可欠であった。
クリーンな市政という明るいさわやかなイメージで売っている慶次にとり、兄の人身売買疑惑はおろか、
性奴隷を飼うという趣味だけでも致命的である。
何とかして問題が発覚する前に止めさせなければならなかった。
下手をすると政治生命が完全に断たれるであろう。
「週刊誌にでも書かれてみなはれ。おしまいでっせ」
笹村がおどけるような笑いをした。
慶次は近いうちに兄をなんとかして説得する必要があると強く感じた。


メニューへ 妄想小説へ 次へ進む

動画 アダルト動画 ライブチャット