えりさんの作品
再会 その10 えりの気持ち編
辺りはすっかり暗くなっていた。木村君が玄関のチャイムを鳴らすと、
インターホーン越しに馬場君の声が返ってきた。
「よぉうユウ。鍵は開いている。入ってリビングで待ってろよぅ。」
言われた通り、私たちはリビングのソファーに座る。程なくして、馬場君が現れた。
「よぉうお二人さん。良く来てくれたぁ。再会ついでに会わせたい奴がいるぅ。おぃ、お前達。」
パチっと指を弾くと、二人程リビングに入って来た。
私は目を疑った。
一糸纏わぬ女性が二人、四つん這いで入って来た。
二人は這いながら馬場君の傍に着くと、口から舌を垂らし、犬のちんちんのポーズをとる。
一人には見覚えがあった。
昔私と一緒に虐めてられていた虫１号のルリだった。もう一人は……まさか！？
馬場君がニヤつきながら喋りだした。
「紹介しよう。俺のペットの虫１号と虫０号だぁ。
１号は皆も知っているよなぁ。
で、０号ってのは、１号の親だ。他にも何匹かいるぅ。おらぁ、お前達、客人にご挨拶しろよぅ。」
馬場がクイっと顎を突き出すと、二人は立ち上り腰を前に突き出し、陰唇を両手で開閉しながら話し出した。
「お久しぶりです。木村様。えり。馬場様に飼って頂いている虫１号のルリです。
また昔みたいに可愛がって下さい。」
私は、思わず目を伏せてしまった自分を恥じた。
でもルリの表情の変化が相変わらず乏しいのに気づいた。
奴隷の顔だ。
かつての私と、同じ。
次は母親の番だ。
「初めまして。木村様。えりさん。娘達同様、馬場様に飼って頂いている虫０号の留美です。
存分にこの体をお嬲り下さい。」
やっぱりルリのお母さんだった。
ルリを十代の頃に産んだという噂は聞いていた。
馬場君は、どうやってお母さんまで奴隷にしたのだろう。
二人は挨拶が終わると、四つん這いになって、足を組んで座っている馬場の突き出された足を
懸命に舐め始めた。
二人の突き出された尻の左側には虫の文字。右側には、それぞれの番号１と０が書いてあった。
馬場君は笑いながら木村君に言う。
「奴隷に焼印は、普通だろぅ？」
彼らのやり取りは、途中から耳に入っていなかった。
私はただただ、目の前の母娘の存在に圧倒されていた。
昔、奴隷どうしは普段口もきかず、目も合わせなかった。
同じ境遇なのを、お互い恥じていたのだと思う。
まさかルリと再会できるとは思っていなかったけれど、もしそういうことがあったら、
私は虫２号として、今度は向き合えるのではないかと思っていた。
そんな妄想上の自信は一瞬で崩れ去った。
でも、昔の自分は奴隷であることに恥じていたが、いまの自分は恥じる部分が違うことにも、気づいていた。
私は頭が混乱した。