えりさんの作品
再会 その4 えりの気持ち編
二年の刑期を終えて、木村君は少年院の外に出た。
そのとき、彼を迎えに来たのは誰だろうか。
そんな妄想をめぐらしてしまう。
昔の仲間は来たのだろうか。千田君だろうか、馬場君だろうか。
なんとなく馬場君の顔が浮かんだ。
他の仲間は要領よく過去のことは忘れそうだけれど、馬場君は木村君とは悪友でいいコンビのように見えた。
悪いことはとことんまでつきあう二人。高校まで仲が続いていてもおかしくない。
真里が死んだ前の日、一番真里のことを殴っていたのも馬場君だった。
どんどん無表情になっていく真里とは逆に、馬場君のどんどん楽しそうになっていく顔は忘れられない。
拳や蹴りが当たったときの感触が馬場君の血を燃えたたせるようだった。
まだ免許も持っていないのにお兄さんのバイクを乗り回し、男子のいじめられっこの両手を縛った
ロープの先をバイクの後ろに結びつけ、引っ張りながら走る遊びをやっていたこともある。
その男子ははじめは走ってバイクに引っ張られていったが、やがて転んで倒れたまま引っ張られる。
木村君は私の身体に爪を立て、愛撫しながらそれを楽しそうに見物していたが、
そんなことよりもバイクを乗り回すことが好きな馬場君。
スピードと暴力が、馬場君を勃起させるようだった。
馬場君は、私たち奴隷を抱くよりも殴るほうが好きみたいだった。
興奮するとオーバーなくらい大きな声を出す。
そんな馬場君のことだから、たとえ木村君が少年院で真人間に更正していたとしても、
また彼を獣の世界に呼び戻してくれるのではないだろうか。
その獣の世界で弱肉強食の餌食になること。
それが、今の私の希望。
私にはとても懐かしい世界。
二度と帰りたくないといくども思ったはずなのに。