sinさんの作品

えり 断章〜16〜 中



 江田聡の、えりの膣にたった今精を放ったばかりのおちんちんを、
舌で掃除するのを見ながら姉ヶ崎奈美枝は考えていた。
 (表情がとぼしいわね)
 先刻、母親と男子との会話を聞かされながら2本のおちんちんに貫かれ翻弄された時、
一瞬だけ全身の動きが止まった。
それでも顔は悲しいでも苦しいでもない、あえて言えば諦めのような、ちからのない無表情だった。

 かつて、1991年の湾岸戦争で戦った兵士のドキュメントを読んだ事がある。
イラク軍の捕虜になり過酷な拷問を受けたイギリス兵が、戦後解放され母国で軍医に診療を受ける。
ただ肉体的な治療だけでなく心の治療も必要だった。
その軍医の言葉だ。
「捕虜になり拷問を受けた人間に、その時の事を聞いてはいけない。
それは本人だけが自分と話し合う事で、他人に話す事ではない」
 おそらく、イジメやレイプを受けた人間も同じようなものだろう。  
 過去に何があったかを語る事は、実際に受けた苦痛と同じかそれ以上の苦しみを、
本人に与える事になるのだ。

 「じゃあ、次はお前が電話をかけるんだ」  島純一がかってにえりの携帯を持ち出してきた。
  「お前の友達に藤本明子ってのがいるだろ。
そいつに電話する。相手が出たらな、こう言え。 
あたしは中学生のとき、性処理肉奴隷だったの。
毎日毎日、口とまんこに何本もちんぽを入れてもらってたの。てな」
 今度こそ、えりは反応した。弱弱しく首を振った。
「それ、、、だけは、お許し下さい。  藤本さんは、、関係ありません。
他の事でしたら、、、何でもいたします。お願いです」
 必死の懇願だった。おでこを床にこすりつけ、何度も繰り返す。
が、7人の男たちの答えは冷笑だった。
「何でもするってんなら、じゃあ、ダチじゃなく母親にかけて同じことを言わせてやろうか?
それならできるんだろうな? それとも、虫けらの分際でウソついたんじゃねえだろうな」
 えりは言葉に詰まった。
 奈美枝が助け舟を出してやる。
 「母親よりもマシでしょ。今のことじゃないのよ。
昔の事を、友達に聞いて欲しいなんて、よくあることよ。それでもイヤ?」
 「甘いんじゃないすか?」
 島が言いかける、奈美枝はそっちを見もしないで、言葉をたたきつけた。
 「やるの?やらないの?」 
 えりには、選択肢はない。 奴隷に自由はない。そのことに、気がついたのか。小さな声を搾り出した。
 「やります。藤本さんに、、、電話します。させてください」
 島が不服そうに、えりの携帯のボタンを押す。
 「わかってるだろうな。ダチにしっかりと、てめえの過去を聞かせてやれ。
気取った言葉を使うんじゃねえぞ。ズバリと言えよ」
 携帯を渡されたえりは、ゴクリとのどを鳴らした。
 そのまわりを、土居が剣山を持って、藤巻が山型クリップを手に、
河本が唐辛子スプレーを、原田がうろこ剥ぎをもって、取り囲んだ。
 えりが藤本明子と話をしている間、その奴隷のカラダを痛めつけようと待ち構えているのだ。


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