sinさんの作品

えり 断章 番外編  藤本明子の憂鬱 1



 念願の大学に入って、自分でも充実した学生生活を送っていると藤本明子は思っていた。
勉強はそれなりに楽しいし、友人もできた。
家が裕福ではないので、アルバイトを掛け持ちしながら、
なんとか頑張って4年で卒業したいというのが明子の今の目標だった。
 だが、夏休みの前、ちょっとした変化があった。
同じ授業をとっている金田えりという女の子が、おかしくなってしまったのだ。
友達の中では一番気が会うと思っていた彼女が、お昼も一緒に食べなくなったし、
怪しげなウワサのあるサークルに出入りしているらしい。
思い切って、登校途中に待ち伏せて話しかけてみた。
「なんでもないの」というのが、彼女の答えだった。
 とても心配だったが、もう大学生なのだし、本人がそういうのだから。
寂しかったが忘れようと思った。
いや、本当はその時点で、「えりはなにかマズイことに巻き込まれているんじゃないか」と感じていたのだ。
明子はそれにかかわりたくない、と思ったのだ。

 中学や高校と違い、大学では本人のやる気しだいでいくらでもやる事があった。
忙しい毎日の中で明子はしだいにえりの事を忘れかけていた。
 しかし、秋の始まりの真夜中に、かかってきた電話がすべてを変えた。
「わたし、中学生のとき、性処理肉奴隷だったの」 
えりの電話は、彼女が過去にどんなイジメ、性的虐待を受けていたか、という告白だった。
それも、あきらかに強制されている。
 なにかとんでもないことが起こっている。そう、明子にもわかった。
 電話が切れてから、居ても立ってもいられず、大学の旧サークル棟へと向かった。
そこにえりがいる気がしたから。


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