sinさんの作品

えり 断章〜17〜 下



 扉を開けた明子が見たのは、想像以上にむごい金田えりの姿だった。
 天井から、両手首を束ねたロープで吊るされ、乳首とクリトリスを
クリップにつないだ紐で引き伸ばされていたのだ。
紐の先にはかごがぶら下げられ、中には錘が入っていた。
大きなバストが乳首から重力以上の力で、床に向かって歪んでいる。
えりの全身からにじむあぶら汗が、苦痛を物語っている。
「えり、大丈夫?今、助けてあげる!」 明子は駆け寄り、クリップをはずそうとした。
  が、えりはブンブン首を振った。
その激しい動きに糸が連動し、さらにえりを痛めつける。
「ねえ、聞いて。あたしえりを助けたいの。
えりがどんな酷い目にあってきたか、この前聞いたわ。
今もこのサークルの連中に同じようなことをされているのね。
脅されているんだと思う。
でもね、もう大丈夫よ。
姉ヶ崎さんと約束したわ。
私がえりを信じてるって事、えりも私を信じてるって事、二人の信頼関係を彼女に見せれば、
もう解放してくれるって。ねえ、お願い。一言、言って。私を信頼してるって」
 熱心に、えりに語りかける明子だったが、最初から空回りしていた。
 むろん、えりにはわかっている。
サークルのメンバーがえりや明子と対等な勝負をするわけなど無いということを。
えりは島純一に、一切声をだすな、と言いつけられている。
明子はえりに「信頼している」と言わせろといわれている。
えりが勝てば明子は負け、明子が勝てばえりはお仕置き。
奴隷に勝ちはない。
持ち主を楽しませることだけが、存在理由なのだ。
 まだそんなことなど想像もしていない明子は、必死にえりに向かって話しつづける。
 「どうして、答えてくれないの?脅迫されているんでしょ?でも、本当に大丈夫なのよ!」
  「勇気を見せてちょうだい!」  
「こんな状態から抜け出すのに必要なのは、えり自身の力だけなんだよ!」  
「初めて会ったときのこと、覚えてる?オリエンテーションでさ、」  
「授業に遅れたえりがくるまで、あたしが課題の質問を続けてさ、
15分も時間を稼いだことあったじゃない」
 時間は、5分しかない。明子は全身でえりに訴えた。 
えりの一言で事態は変わる、自分を信じてほしい、と。
 えりは乳首とクリが千切れそうな痛みに耐えながら、目だけで明子を見つめる。
 もう、手遅れなの、どうしてわたしのことをほおって置いてくれなかったの?

「はい、タイムアップよ」
 姉ヶ崎奈美枝が、冷酷な声で宣言した。
「藤本さん、金田さんは言ってくれた? 信頼とやらを」
 明子は最後の望みをかけて、えりに近寄り肩をつかんで話しかけた。
「お願い、えり、言って!信頼してるって」 
 明子の力で揺さぶられたえりはロープとクリップの痛みを味わいながら、、、、、。
 黙って首を横に振った。


メニューへ 妄想小説へ 次へ進む

動画 アダルト動画 ライブチャット