えりさんの作品

えり断章〜17〜下 明子の気持ち@



  私があの忌まわしいサークルの言いなりになったとき、
えりから「これからは……髪は切らない方がいいよ」とアドバイスを受けた。
 だから、いまはもう私は肩まで髪がある。
普段はえりと同じように三つ編みにして、束ねている。
ほどくとおヘソあたりまで垂れる。

 「藤本さん、<女>になったね」
 えりが言う。
 何を言っているのだ。私の性別ははじめから男ではない。
 だが髪が伸びたら、私が見違えるほど色気が出てきたとえりも言う。まるでため息をつくように。
 色気?
 そんなもの、いったい誰のためにあるのだろう。少なくとも私のためにはない。
「お前は俺たちに女にさせられたようなもんだよなあ」と得意げにサークルの男子も言う。

 奴隷は長い髪がいいらしい。
 ボーイッシュに短い髪をしているのは、「女」らしくないという彼らの理屈なのだろうかと思ったが、
もっと単純な理由だった。
 逃げようとしたら髪の毛をつかめばいい。
髪を引っ張られたら痛いから、それだけでもいたぶりになる。
彼らからしたら使い勝手がいいのだ。
 長い髪を三つ編みにすれば縛りや吊るしにも重宝する。
だから私もえりも三つ編みにしている。
奴隷を縛って片足立ちにさせるとき、三つ編みを上に引っ掛けて吊ることが出来る。
髪の毛に体重がかかると激痛が走るので、奴隷はつま先を必死に突っ張るしかない。
部員たちは虫のそんな滑稽な姿を笑うのだ。
 部員達のいじめのアイデアも沸きやすいようだ。
 今朝も、えりこと2号と並んで逆さ吊りされながら、三つ編みに大きな石をぶら下げられて、
二人で必死に耐えていた。
 これは残酷な藤巻のアイデアだ。逆さに吊られたままの2号に指を突っ込み、
抜いた藤巻は舐めてニヤリとした。
 「アコの方はどうなってるかな」
 私の表情に嫌悪感が浮かんだのを藤巻たちは見逃さなかった。
藤巻は加虐的な笑みを浮かべた。
しかし、私のアソコはえりと変わらなかったようで、指を抜いて舐めた藤巻はまたニヤリとした。
 私は悔しさをかみ殺した。
強姦されるとき、女性は恐怖から濡れるという。
以前の私ならそう自分に言い聞かせただろう。

 だが私は悟ってもいた。
 えりと、すっかり同じ立場になったことを。
 自分だけは違う、などとは思わない。
むしろ、えりが受けるのと同じ屈辱を受け、同じ痛みにもがき、同じ態度で隷従したかった。
息を合わせて……。
 それはかつて安易に「友情」だの「信頼」だのを口にした、自分自身に課した刑だった。
サークルの部員たちは、私が私に課した刑を手伝っているだけ……私はそう思おうとした。
「ほうら、お前たち、すっかり息が合ってるじゃねえか」
逆さになった私と2号の身体を軽く蹴っ飛ばして揺すりながら、
藤巻は私たちのさかさまになったアソコに右手と左手の指を
同時に突っ込みながら、かき回している。
 頭の先で揺れる石の重みに耐えながら、
身体の中心をまさぐられ続ける私たちの喘ぎともため息ともつかぬ声は、
ひんやりとしたサークル棟の地下室に響いている。
 地獄の底のような場所で、私は自分がこうなった最初のきっかけを思い出していた。


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