かとうこういちさんの作品

県教育委員会いじめ実態調査報告

市立A中学校 2年生斉藤麻衣子(仮名)の場合

斉藤麻衣子へのいじめは、遅くとも2005年の夏までにはクラス全員によるものになっていたと思われる。
当初いじめに加わらなかった者たちも次第に傍観者から加担者へ変わっていったようだ。
いじめの中心は同クラスの男子生徒3名であり、彼らは暴力でクラスを支配していたようだ。
彼らの暴力は女生徒にも向けられており、おそらく自分へいじめの矛先が向くのを恐れたのだろう、
彼らに同調する女子が数名いたようである。
6月初旬と思われる日の放課後、2年B組の教室で一連のいじめ問題の発端となる事件が起こった。
担任教師が立ち去ってすぐ、一人の男子生徒が3人に殴る蹴るの暴行を受けた。
同生徒の証言によれば、3人から自慰をして見せるように強要されたという。
これを拒否したとたんに暴力をふるわれた。
一人の生徒は椅子を持ち上げかの生徒に投げつけたとのこと。
同生徒は全治1ヶ月の打撲症を負った。
結局同生徒は、教室でズボンと下着を脱ぎ、自慰行為を行った。
ほとんどクラスの全員がその場に居合わせたが、止める者はなかったという。
「出るまで、続けろよ。」
「おい、みんな、こいつが発射するところよく見とけよー。」
そう言ってクラスの全生徒を同生徒の周りに集合させ、射精の時を待ったらしい。
この時斉藤麻衣子は、自分も興味深く後ろの方からこの様子を眺めていたと証言している。
同生徒は泣きながら射精した後、床に飛び散った自らの精液を舐めさせられた。
 この事件の翌日、今度は斉藤麻衣子がいじめの標的になる。
ごくおとなしい性格の斉藤麻衣子はクラスでも目立たない存在だった。
いじめの標的にされた直接の原因は特定できなかったが、同姓の間から「媚び女」という評価を受けており、
やや舌足らずな言葉使いなどから反感を買っていたと思われる。
実際クラスの中で彼女に同情する声はあまり聞かれなかった。

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