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性奴系図104


圭子と出産いた子どもの消息は、分からないままであった。
圭子は、警察によって静江が救い出さる半年ほど前に、外国に産んだ子供と一緒に売られていた。
明美が「圭子は、雄ロバ専用の交尾牝になるのよ」と檻の前で言ったのだ。
圭子と子どもは一緒に売られていった。
別れの日の圭子の悲痛な顔が静江の頭から離れない。
圭子の行方は、分からなかった。
闇の世界に堕ちた肉奴隷は二度と表社会に戻ることはない。
圭子もそうであった。
闇と闇の隙間に落ちていった圭子は、その存在のすべてを消し去られ、
肉奴隷としてのみ生きるしかないのだ。
そこには警察の捜査の手は届かない。
警察権力と司法権力と裏社会が結びついているのだから、捜査の手など届かないのだ。
父親の龍夫も殺害されていた。
遺体は、中庭の中央の静江が排泄を強制させられていた場所に埋められていた。
雅代の自供通りに、静江の排泄場所を掘り起こすと、白骨化した遺体が掘り出されてきた。
佐藤敬吾だけは、忽然とその姿を消していた。
敬吾の部屋からは、短波放送を受信するラジオと、乱数表が発見された。
その後わかったことだが、佐藤敬吾は偽名であった。
パク・チョルジンが敬吾の本名であった。
パク・チョルジンは、北の工作員と断定された。
そして慶蔵殺害容疑と不法監禁罪および麻薬取り締まり法違反の容疑で全国指名手配となった。
慶蔵は北からの指令で、麻薬取引や人身売買に関わる口封じに殺害されたのだと憶測された。
 静江とともに救い出された一郎は、しばらくは一緒に生活したが、
やがて、風俗の世界に身を置くようになった。
ニューハーフ専門の風俗店である。
そして、静江との連絡を完全に絶っていた。
静江も一郎と肉の交わりをした事実に苦しめられることより、離れて暮らすことを選んだ。
 静江には、司法当局から藤川から相原へと改姓し、別人として生活できる配慮がなされた。
マスコミや週刊誌がこの性奴隷として監禁されていた一連の事件を報道し、
静江たちの人権は蹂躙されていたのだ。
静江は、全く別の土地で新しい生活を茜と二人ではじめた。
 「いってきまーす!」
茜がすらりと伸びた脚を紺色のスカートから覗かせて玄関を走り出た。
「茜、待って!ハンカチ、持ったの?」
静江が茜を呼び止める。茜がぺろっと舌を出した。
静江は微笑んでアイロンがけした花柄模様のハンカチを茜に手渡した。
静江は茜の後ろ姿をじっと見送った。


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