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性奴系図2


 圭子は、着替えを済ませた。
鏡台に向かって軽く化粧を済ます。
ルージュをひいて濡れて光る唇は、男性ならば、その柔らかな感触をじかに味わってみたいと
思わずにはいられないだろう。
艶やかな髪にブラシを入れ、後ろで束ねた。
高級バックを手にして、寝室を出ると、階段を駆け上がった。
階段を上がる圭子のスカートからのぞくストッキングの光沢に光るふくらはぎから足首にかけて
キュッと締まっている。2階の高校2年生の娘の部屋のドアをスッと開けて中に入った。
若い女性特有の甘い香りがただよう娘の暗い部屋を、ドアから漏れる廊下の明かりを頼りに進む。
「静江、起きて」
ベッドの上の娘の身体をピンク色の掛け布団の上から揺すった。
静江がつぶらな瞳を開けた。
母親似の顔立ちの綺麗な少女である。
つぶらな瞳に睫毛が長い。
清楚で上品な顔立ちの少女は、これも母親似の透きとおるような白い肌をもっていた。
いつも笑みを絶やさないやさしい母の、真剣な顔を見て静江のつぶらな瞳が大きく開かれていく。
「よく聞いて、静江。パパが事故にあって、城北病院に運ばれたって連絡があったの。」
「え!・・・パパが事故?パパは、パパはだいじょうぶなの?」
娘が上半身をおこした。
「だいじょうぶよ。病院で治療を受けているわ。
詳しいことが分かったら連絡するから、お留守をお願いね。
きっとだいじょうぶだから、心配しないで」
「私もいくわ、ママ」
静江が母のほそい腕をとった。
「静江には、一郎のことをお願いしたいの。電話するから待っていて。じゃあ、行ってくるから」
圭子は、静江の手をとって握りしめた。
圭子の足がしきりに震えている。
心の中で、落ち着かなければと言い聞かせているのだが、声が上ずっているのが自分でも分かる。
「ママ、気をつけて」
圭子は深くうなずいて、娘の目を見つめた。
 ガレージの白いベンツに乗り込んだ。
Sクラスの排気量5千CCオーバーのエンジンが重厚なサウンドを立てた。
シャッターが自動で上がっていく。
圭子は、アクセルを軽く踏んで、ベンツを表通りに走らせた。
深夜の道路をアクセルを踏み込んで相当なスピードでベンツを走らせた。
どうしてもあせってしまい、アクセルを踏み込んでしまう。
城北病院までの道のりはこんなにも遠かっただろうか。
赤信号が恨めしい。早く青に変わって欲しい。
黒皮のハンドルを握る手が汗ばむ。
夫の顔が浮かんでは消える。
笑顔の夫であったり、やさしく抱き寄せてくれる夫であったり、その顔がまた浮かび、そして消えていく。
信号がいつの間にか青に変わっていた。急発進をしたタイヤがきしむ。
 夫の龍夫は、意識不明の重体であった。
2階のひさしにバウンドし、植え込みの上に落下したのがクッションとなって衝撃を和らげた。
右大腿骨と右上腕部を骨折していたが、深刻なのは、頭蓋骨骨折と脳挫傷および脊髄損傷であった。
集中治療室の夫を何人もの医師が囲んで治療に当たっていた。
チラリと見える夫の顔は、まるで寝ているようであった。
今にも起きあがって圭子の方を見て手を挙げながら笑いかけてくれるようであった。
 夫の意識は戻らなかった。
人工呼吸器が命を支えていた。
夫が飛び降りて2日後、圭子への警察の事情聴取が行われた。
警察では事件性はないとの結論だと聞かされた。
形だけの事情聴取であるので、協力をお願いしたいとのことだった。
圭子の他に、事故の時刻に一緒に会社にいた副社長の藤田浩二、
そして家政婦の江島雅代に対しても警察署で事情が聞かれた。


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