keikoさんの作品
keikoさんのメールはこちらから

性奴系図4


 そんな時に、圭子に接近してきたのが、山野慶蔵であった。
慶蔵は、筆頭の債権者であった。
他の債権者から一任を受け付け、債権を一元化し、全ての債権を所有した。
それだけの力が慶蔵にはあった。
暴力団とのつながりも深い地元の有力者である慶蔵に異論を唱える者はいなかった。
夫が創り上げた会社や自宅などの抵当は慶蔵名義になった。
慶蔵名義になった自宅に圭子達親子がそのまま住むことを認めてくれた。
銀行の借金も肩代わりし、弟夫婦に被害が及ぶことを防いでくれた。
その見返りに圭子は山野慶蔵の自宅に住み込みで働く条件を呑んだ。
子ども達の生活費や学費も面倒を見てくれるといわれて、圭子は決心した。
高校を中退して働くと言い出した静江を今まで通りに高校に通わせてやることができる。
子ども達の生活費も何とかなる。夫の入院費や治療費も慶蔵は出してくれた。
住み込みで働くことの意味を圭子は痛感している。
慶蔵にこの肉体をゆだねるのだと云うことぐらいは世間知らずの圭子にも分かっていた。
「じゃあ、後のことはお願いね、静江と一郎で力を合わせてがんばるのよ。何かあったら連絡をくださいね」
圭子は藤色の和服姿であった。アップにまとめた艶やかな黒髪のうなじが美しい。
「ママ・・・」
静江が目に涙をためていた。
泣きたいのを懸命にこらえている。
決して遠くに離れるのではない。
慶蔵の自宅は、車で20分ほどである。
つぶらな瞳を濡らしている静江がいじらしくてたまらない。
圭子も泣き出しそうであった。
夫の自殺未遂から何もかもが変わった。
静江は、これから母親と別れて暮らさなければならない。
その寂しさや心細さが涙を流させていた。
その静江の気持ちが、圭子にはいたいほどに分かった。
これまで気丈にふるまっていた静江である。
夫の看病も学校帰りに静江がしていてくれた。
母の前では努めて明るく振る舞ってくれていた。
それが圭子には嬉しかった。
静江の優しい気持ちが痛いほど分かった。
静江の後ろで一郎も唇を噛んで沈んだ表情をしていた。
静江を抱き寄せた。
後ろの一郎を招き、二人の子どもを抱きしめた。
「瑠美さんのお宅だからだいじょうぶよ。」
慶蔵は、娘の静江と同級生である瑠美の父親であった。
娘の同級生の父親に囲われることに、かなり抵抗感はあたっが、仕方がなかった。
今の圭子にはそれにすがるしかなかった。
選択肢はないのだ。
子どもたちを路頭に迷わせるわけにはいかなかった。
 迎えの車が玄関の門扉前に止まった。
チャイムが鳴り、圭子は抱きしめていた二人を離した。
玄関のドアを開けて、庭道を通り、門を開けた。
圭子の姿を確認した運転手が、黒塗りの大きな輸入車の後ろのドアを開けていた。
その長身の運転手が、圭子の手にしたスーツケースを受け取って後ろのトランクに入れた。
圭子は会釈するとその車に乗り込んだ。子ども達が門扉まで見送りに出ている。
窓越しに手を振った。
窓ガラスに隔てられただけなのに、向こうの子どもたちとは遠い存在になるのだと思った。
この車に乗った圭子は、もう夫の妻として、そして窓ガラスの向こうで心配そうに
見ている子どもたちの母親としてだけ生きることはできなかった。
ひとりの女として、慶蔵の慰み者になるのだ。
性奉仕をする女になりさがるのだ。
藤色の和服の下で身震いした。
発車した車から後ろを見た。
いつまでも子どもたちは門扉の前に立っていた。
圭子は子どもたちの姿が見えなくなると、そっと目を閉じた。涙が流れ落ちた。
 圭子を乗せた車は、山野家の重厚な門をくぐり、広い庭の玄関前に止まった。
長身の運転手の後ろを歩き、大きな玄関を上がった。
そのまま長い廊下を通り、応接間に通された。
運転手が下がり、圭子一人になった。
どっしりしたソファに腰掛けて山野家の主、慶蔵をを待った。
しばらくすると、和服姿の慶蔵がやってきた。
でっぷりと太った大柄な体躯の男性だ。
あげ上がった額がてかてか脂ぎっている。
「圭子さん、ようこそいらっしゃいました。お待ちしていましたよ」
慶蔵の顔がにこやかに圭子を舐め回す。
赤ら顔の慶蔵の視線が絡みついていく。
この男に今日からこの身体を蹂躙されるのだと思った。
そう思うとまた悲しくなった。
圭子はその悲しみを表情に出さないように堪えた。


メニューへ 妄想小説へ 次へ進む

動画 アダルト動画 ライブチャット