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性奴系図5


圭子は立ち上がって山野家当主を迎えた。
慶蔵はどっかと恰幅のいい体をソファに沈めるとテーブルの煙草を慣れた手つきで取り上げて
高級ライターで火をつけた。
「まあ、坐りなさい」
圭子は和服の脚をぴたりと揃え、手を膝の上に置いて坐った。
背筋をまっすぐにした姿勢で慶蔵を見た。
「とうとう、あなたを手に入れた。
もう15年前になりますかな。
私はあなたに求愛した。
覚えていらっしゃるかな?あのときは、あなたにはすっかり振られましたな」
慶蔵が言っているのは、圭子が大学生の頃の話だ。
慶蔵と夫の龍夫は交友関係にあった。
龍夫の恋人の圭子の美しさは際だっていた。
透きとおるような白い肌をした日本人形のような美少女であった。
慶蔵は、龍夫の恋人と知りながら圭子に交際を申し込んだ。
山野財閥を継ぐ慶蔵は、これまで思い通りの人生を歩んできた。
異性関係も同じであった。金の力で何人もの女性を抱いた。
その慶蔵が圭子に一目惚れした。
圭子は、慶蔵の求愛をあっさりと断った。
龍夫との愛を育んでいる圭子にとってそれは当然であった。
友人の恋人と知りながら求愛する慶蔵を圭子は胸の中で蔑視していた。
恋人の龍夫と比べて何という不潔な男性かと毛嫌いした。
これが慶蔵にとって唯一挫折感を味わった瞬間であった。
慶蔵は圭子にふられ、それ以後侮蔑の表情を浮かべる圭子の存在を人生の汚点と考えるようになった。
 慶蔵は、圭子にふられてから、美しい女性を金の力にまかせて縛り、
美しさを穢すことに悦びを覚えるようになっていった。
圭子への復讐心は他の女性への加虐心となって、陵辱していった。
そしてこの日、とうとう人生唯一の屈辱を与えた圭子を手に入れたのだ。
「実に美しい。あなたの美しさはあのころのままだ。いや、さらに磨きがかかっていますな」
慶蔵の視線がまとわりついてきている。
圭子は嫌悪感で鳥肌がたった。
視線を和服の両膝に重ねておいた両手に落とした。
結婚指輪が光っていた。
圭子は結婚指輪をこれからははずさなければと思った。
この身体は今日から目の前の男性のものになるのだ。
私は蹂躙されるためにここにきたのだ。
子ども達を守るためにはこれしか道はないのだ。
もう圭子はこの運命に逆らう気持ちはなかった。
自分を押し殺して慶蔵に全てを献げる決意をしていた。
慶蔵がテーブルの呼び鈴を押した。
 先ほどの運転手とお手伝い風の若い女性が入ってきた。
二人は、応接間に入って慶蔵の斜め前に立って会釈した。
若い女性のほうは、ソファの圭子を表情を変えないまま、ちらっと見た。
「紹介しておこう。これが運転手の佐藤だ。そしてこっちが家政婦の宮本」
二人は圭子を見て軽く頭を下げた。
圭子はソファからすくっと立ち上がると
「藤川圭子です」
と会釈した。
「佐藤敬吾です」
「宮本明美です」
運転手と家政婦も名前を名乗った。
30代半ばほどに見える佐藤敬吾は、長身で180cmを超えているだろうか。
細身だが、筋肉質で浅黒い肌をしている。
明美と名乗った女性は、20代後半であろうか。
明美も女性にしては長身でスレンダーな体躯であった。
黙って立つ明美の整った顔に、冷たさが感じられた。
突き刺すような目線がそう感じさせるのだろうか。
締まった鼻梁がつんと上向きな感じで、それも明美のぞくりとするような冷たい感じを演出している。


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