keikoさんの作品


母娘 残菊物語 63



「何?あれで出演するつもり?」
「過激すぎるよ。あれじゃあ、AV女優じゃないの」
「AV女優そのものよ」
「でもいやだな。わたしたちまで同じように思われちゃうわ。これじゃあイメージダウンよ。」
女性たちがひそひそ話している声を聞きながら志乃は消え入りたい気持ちになった。
ビキニのブラを身につけた。これも小さな三角の布だ。
志乃の乳輪を隠すのがやっとのマイクロビキニだ。
背中は紐だけが交差し、全裸といってもよい。
水着に着替えた女性たちがさきにカーテンを開けて出て行った。
でるとき、志乃の顔を見てあきらかに侮蔑の視線を送った。
志乃を元女優だと思っていない。AV女優だと思い込んでいるのだ。
そしてこの出演を足がかりにグラビアアイドルとして人気を得たいと思っている女性にとって、
AV嬢と同じように見られることは迷惑だと思っているのだ。
それが侮蔑の視線となったのだ。
着替え終わった志乃もカーテンを開けて、更衣場所から出た。
出演する若い女性たちがいっせいに志乃を見つめた。
見つめ隣の女性と顔を見合わせてひそひそ話し始める。
志乃は針のむしろに座ったようなものである。
志乃の極小水着を着用した姿に、控え室の若い女性たちの視線が集中する。
非難の声が志乃の耳に届く。
志乃は先ほどと同じ部屋の片隅に座った。
横すわりをする志乃を狼狽させたのは、恥部を覆う布地がよじれて股間に食い込んできたのだ。
ただ座っただけの動きにも極小水着はその役目を果たせなくなる。
それどころか志乃の股間に食い込み責め立ててくるのだ。
あわてて股間の布地のずれを直すのだが、そのしぐさも女性たちの視線に晒されている。
「あれでよく恥ずかしくないものね」
「わたしいくらお金を積まれたって絶対にあんな水着を着れないわよ。」
「彼女、けっこういい歳しているくせに、むちむちした身体を見せつけたいのね」
「ねえ知らないの、彼女、元女優だよ。」
「え?」
「川上志乃って言う人気女優だったんだよ」
「でもどうしてもと人気女優があんな格好しているのよ」
「どうしても復帰していたって、今井さんに泣きついたそうよ。それでどんなことでもしますって言ったのよ」
「元女優なのにプライドがないのかしら」
女性たちの声が次第に大きくなる。志乃は身を縮めて畳に座っていた。
「そろそろスタジオに入ってください」
ドアを開けて顔を出したのは先ほどのジーパン姿のフロアADだ。
女性たちは次々に控え室を水着姿で出て行く。
志乃は一番後から控え室を出た。
廊下を歩く志乃は、すれ違うスタッフの注目を浴びた。
胸と股間に手をやって、歩かなければならない。
歩みにつれて、乳房が揺れ、わずかに覆っているだけの三角ブラから乳首が露出しそうになる。
股間の布がまたよじれてきたのを感じた。
陰唇が左右から飛出ているのではないかと、視線を思わず下に向けてしまう。
長い廊下を歩き、第3スタジオの鋼鉄のドアの前に来た。
鋼鉄の大きなドアは開いており、スタッフがドアの開閉のために立っている。
バイトの若い男の子だろうか。明らかに志乃の股間に視線を送っている。
スタジオに一歩足を踏み出した。
バラエティ番組によく使う手法に、対面式に観客席を設け、安い時給でスタジオ見学者を集め、
客の笑い声や拍手などの反応を盛り込んで臨場感を出すことがある。
このスタジオもそうである。すでに客席には観客が席を埋め尽くしている。
フロアADの女性が、水着姿の女性の席を指示している。
スタジオの照明はまばゆいほどに明るい。
そんな中に志乃は足を踏み入れた。
客席の視線が志乃に集まってくる。
極小水着を着た女性は志乃一人である。
白い水着から艶かしい肉体が露出しているのだ。
後姿は、背中を交差する紐だけである。
股間を割った紐が双臀の狭間をあがり、志乃のウエストにまわった紐につながっている。
それだけの水着では志乃の臀部は丸出しになっている。
ADの女性は、驚いた表情を隠しながら志乃を一番前列の司会者の立ち位置の隣の席に案内した。
司会者と絡みやすい一番カメラに映る席になる。
席に座った志乃は、客席と対面した。
観客のざわめきが消えない。
 司会者の若手漫才師が登場した。
アシスタントのグラビアアイドルの女性を含めて三人で進行をする。
会場からADの合図とともに拍手が起こり、司会者が早口でまくし立てる。
「今週の新人さんを紹介しましょう」
新たに加わった水着女性は2人だ。
真っ赤なフリルつきのビキニの女性は十代後半だろうか。
ふくよかな胸をした童顔の可愛い女性である。
そして、志乃も立ち上がって前に進み出た。
「川上志乃さんは、今は引退されていますが、元女優として活躍されていましたよね」
司会者が話題を振ってきた。
「ええ・・・・」
志乃はぎこちない微笑を浮かべてうなずいた。


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